「十年に一人の天才」イケメンシンガーソングライター兼イラストレーターとして大人気のハチ/米津玄師…
さらには「不協和音のカレー職人」なんて二つ名も持ってる様です。
音楽が焼きまわしだのなんだの言っているやつは普通の音階、リズム、メロディに飽きてきているんだと思う。
彼はそこをぶち抜いた。
不協和音というのは気持ち悪いか気持ちいいか紙一重だ。音楽を作っている人間ならわかる話だが、使うのがとっても難しい。あまりにアクが強すぎて、ヘタに使うと楽曲が壊れる。
ゴーゴー幽霊船
あまりにナチュラルに不協和音をぶち込んでいるので、音楽をやっていない人は気づかない人もいるんじゃないだろうか。
何の記事に書いてあったか思い出せなくて引用元が出せないのが心苦しいが、『美しいものは汚したい』という旨の発言をしていたのを覚えている。
彼は意識的に不協和音を駆使して美しい楽曲を汚してきている。本当に美しいものって汚れているんじゃないだろうか。
そして変態フレーズだ。
ゴーゴー幽霊船をセクションごとに見ていく。ギターだけに限らず、変態フレーズ盛りだくさんである。
イントロ、左から聴こえる何やら奇妙な声らしきもの。幽霊を意識しているんだろうか。すごいセンスだ。
Aメロ、右のギター奇妙な位置のハーモニクス出しまくり。キンキン、とかカンカンとか聴こえるやつだ。
裏ではリバースがかかった謎の音が入っている、この音が揺れているので不協和音っぽく聴こえるのかもしれない。
女の子がテレビ君をバールのようなもので殴った後、右のギターがぶっ壊れてる、リズムも無視でぶっ壊れてる。芸が細かい。
そして何事もなかったかのようにしれっと戻ってくるあたりがこの楽曲のコミカルさを増幅させているように感じる。
サビは解放感を出すため変態フレーズを抑え気味にしている。謎の犬のような音がきになってしかたない。
何がすごいかって、破綻しないように片方が変態フレーズを弾いているときは、もう片方はカッチリ弾いている。
Vivi
この楽曲のイントロも不協和音に聴こえる。私が今傍らに置いているギターで確かめたところ、実は音が外れているわけではない。『コーラス』という音に揺らぎを加えるエフェクターをきつめにかけて不協和音感を出している。
楽曲としてギリギリのバランスを保っている。彼は逸材だ。
何が何だか訳が分かりませんが、実はむしろ逆にその「あり得ない理不尽さ」にこそ長大な歴史が存在したりするというのが今回の投稿の主眼。
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