世界的にカリスマ的人気を誇る「漫画家」荒川宏画伯には「原稿執筆スケジュール調整により出産/育児休載を回避した」物凄いエピソードがあります。これで女性作家と認識されるのが遅れたという側面も。その一方…
逆に女性(というより妊娠経験者?)でないと絶対に描けないと誰もが確信したSF漫画が白井弓子「WOMBS(2009年〜2016年、2010年第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作、2017年第37回日本SF大賞受賞作)」…何しろ主人公が転送兵(異生物の子を孕んで空間跳躍力を備えた妊婦兵士)。「腰を落とせ…まずは安定感。大地に根を下ろせ。絶対に転ぶな。次に腹を守る。一にも二にも腹を守る。貴様らの汚いツラを守ろうとするな。腹なくして転送兵なし。さもなくば死である。そいつを体に叩きこめ」ですよ…「軍曹、こんなんじゃ生理が止まってしまいます」「貴様らはここで生理を迎える予定はないはずだが?」「月経じゃなく、卵胞期から排卵を経て黄体期に至る周期の事です。移植が出来なくなりますよ」「ほぉ、一丁前に私を恫喝するか。ここは母親学級ではない。貴様らはこのウェイトベストより重い体を引き摺り、銃弾の雨の中を転送ポイント求めて這いずり回る存在だ。母性保護は産科でやれ!!」ですよ…まさかロバート・ハインライン「宇宙の戦士(Starship Troopers,1960年)」やジョー・ホールドマン「終りなき戦い(The Forever War,1972年〜1974年)」から、こんな亜種が発想し得るだなんて(涙目)…しかもそこから「座標空間へのアクセス」の話に…そう「青は藍より出でて藍より青し」。この作品はちゃんと21世紀にも通用する本物のハードSF作品でもあるのです…
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