以下の投稿で「インターネット社会学(The Sociology of the Internet)」なる概念に辿り着きました。
Wikipediaによれば学術的に実在するジャンルとしては「デジタル社会学(Digital Sociology)」に該当する模様。最近の投稿がこの辺りの話題で堂々巡りを起こしてるので少しばかり掘り起こしてみた次第。
デジタル社会学はデジタル技術が人間の日常生活における行動や社会的関係や自己認識にいかなる影響を与えるか研究する新たな学術的研究分野。
- ここでいう「デジタル」は従来の様な「(サイバースペース認知学やサイバーアイデンティティ人格心理学を含む)Cyberculture論」や「Cybersociology(オンラインコミュニティの社会学)」にさらにWeb 2.0、ウェアラブル技術、拡張現実、スマートオブジェクト、IoT(Internet of Things)、ビッグデータなどの要素を加えたものである。
- 題名に初めて「デジタル社会学」を冠した学術資料は2009年に登場。そこで論点となったのは「デジタル技術の発達は社会学的調査方法と教育の分野にいかなる影響を与えるか」だった。
- リチャード・ニールの2010年著作は「デジタル社会学は(本の出版を通じ)オンライン社会を成長させてきたバズメトリックに関するグローバルなビジネス的関心の高まりと学術的研究の成果を橋渡し、人類の知覚力拡大を目指す」としている。
*バズメトリック(Buzzmetrics)…Buzz(ネット上のつぶやき)とSociometric(心理学分野における人間関係療法)の合成語。- 実際に「デジタル社会学」の題名が冠された最初の純粋な学術書が発行されたのは2013年になってから。そこでは「経験が概念と空間形成に及ぼす影響」「地域社会や人間関係の疎密さの構造」「学術分野や教育分野におけるデジタル技術の活用」「デジタル技術が保健、金融、戦争、ジェンダーや社会的不平等に与える影響」などがトピックとして扱われた(?)。
*正直翻訳に自信なし。そもそも、どの概念がどの概念に結びついているかについて常識が通用しない。とんでもない坩堝状態だという事だけは伝わってきた。- 2015年には「デジタル社会学」の最初の学術会議がニューヨークで開催されている。
ただしまだまだ市民権を得たとは到底言えない状態にある。
関心範囲が多岐に渡り過ぎてコメントに困る…
もっと絞って考える必要がある様です。
例えばSNSというのは物理的実体としては点(Node アカウント)と線(Edge 各アカウントのフォロー関係)で構成されていて、各投稿はこの構造に沿って流れていきます。Facebook技術者などのSNSエンジニアの間では、こうした構造を数理的に扱う代数幾何学(algebraic geometry)などの習得が必須教養とされているとか。
- まぁ実際、LAN上においてはデータの流れ方そのものが端末から端末にかけてHUBやGatewy経由で流れていく。途中経路数(Metric)と各経路のコストから最適伝送経路を算出するとかシステム工学の基本。
- 「NoSQL(Not Only SQL DB)」あるいは「構造型ストレージ (Structured Storage) 」と呼ばれる次世代DBのうちでも、Neo4jやInfiniteGraphといったグラフ型DB(Graph Database)はこういうタイプのデータを効率的に扱う事を主目的としている。
- 構造上、社会的集団を「点(各個人)と線(人間関係)の集合体」とみなし、各個人間の「魅了」と「排斥」の関係を明らかにしようとする心理療法「ソシオメトリー(Sociometry)」と極めて相性が良い。特にFacebookのザッカバーグCEOや元ナップスター社長のショーン・パーカーはそう考えているらしく、実際しばしばそういう立場から発言している。
問題は3番目の「ソシオメトリー(Sociometry)」。おそらく「デジタル社会学(Digital sociology)」の主題の一つとされる「BuzzMetrics(バズメトリクス)」の発想の源流。
「ソシオメトリー」とは、モレノ,J.Lにより提唱された社会的集団の構造と機能に関する理論です。
その集団の構成員の心理的・感情的作用に注目して把握し、それらの作用による集団の構造化と秩序、及び関係性の維持や、その再構成に関して、数学的に明らかにしようとするものです。
その大きな特徴は、集団構造の既存の役割関係や制度的側面に焦点化するのではなく、集団の構成員による心理的・感情的な作用による側面に焦点化するという点です。
この理論をもとに、構成員間の心理的・感情的関係性を測定するために開発された方法が「ソシオメトリック・テスト」です。
ソシオメトリック・テストでは、構成員相互の感情的結合として「魅力」と「排斥」に基づく、ソシオメトリック構造に着目します。
このテストにより明らかにされた関係性を、ベクトル、つまり矢印にして図式化したものを「ソシオグラム」と呼びます。
ソシオメトリー (sociometry) -Wikipedia
心理療法家のヤコブ・L・モレノによって開発された人間関係の科学と測定法。これは社会的なコンフィギュレーション、あるいは構造と心理的な well-being、つまり安寧、満足度との間の関連についての研究の中から出てきたものである。
ソシオメトリーという言葉は、ラテン語の語源から由来するもので、socius は「仲間」を、metrum は「測定」を意味している。ヤコブ・モレノは、ソシオメトリーを「集団の進化と組織、その中での個人の位置づけについての研究」と定義している。彼はさらに「…集団の組織についての科学は、…それは集団の外部、つまり外皮からそれを捉えようとするのではなく、むしろその内部から捉えようとする」のである。「ソシオメトリーの研究は、集団にそのかたちを与えている隠れた構造を明らかにしようとするものである。それは、つまり同盟関係、副次的な集団、隠れた信念、禁じられた議題、イデオロギー的合意、ショーの主役を明らかにすることなのだ。」
彼はソシオメトリーを新しい科学の枠の中で発展させたが、その究極の目的は、科学ではなく、科学を超えたところにあった。評価尺度に基づいて選択を行うところで、モレノは明らかに、そして熱弁をふるって、これにより個人はより自発的になり、組織と集団は、より新鮮で、明白で生き生きとしたものになるはずだと述べている。
モレノがソシオメトリーで示した代表的な改善は、ソシオグラムを発展させたという点にある。これは、個人を点や線で、また彼等のつながりの関係もまた線で図式的に描いて見せたという点にある。モレノは、その思想、工夫、発案を大々的に書き残したが、「ソシオメトリー」と題した研究誌も創刊している。 ソシオメトリーをその考え方や感情表現、行動のパターンまでも含めた形でトレーニングされた専門家は、心理学の領域であれば、カウンセリング、あるいは組織や地域のさまざまな団体の中で管理、指導的な役割を担うことができるだろう。社会学の枠内では、ソシオメトリーには二つの部門に分けることができる。つまり、ソシオメトリー研究とソシオメトリーを応用することである。ソシオメトリー研究とは、集団の中で特殊な評価尺度を用いてその中での社会的情緒的なネットワークを研究するもので、たとえば、この中であなたは誰が自分の隣に座って仕事をしてもらいたいですか?とか、困った問題ができたとき、誰に相談に行きたいですか?厄介なプロジェクトに際してだれが満足のいく指導力を発揮できると思いますか?といった質問を用いるものである。時にネットワーク研究という呼び方もされるが、ソシオメトリー研究は、教室、職場、ご近所のようなごく小さな、個人的もしくは小集団や、それよりやや大きな集団の中での関係のパターンの研究に向いている。
ソシオメトリーの応用は、人々や集団の再検討を支援する方法をより効率的なものとし、そこに存在する関係の心理的社会的なネットワークを拡張させ、発展させるのに役に立つだろう。ソシオメトリーの二つの部門は、それをうまく活用すれば、個人や集団の自発性や創造性をより伸ばしていくことに役立つだろう。
ネットレイティングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:千葉尚志)は、インターネット上の消費者の意見を分析するサービス「BuzzMetrics(バズメトリクス)」を2009年7月30日から日本での提供を開始します。
インターネット人口は、2009年3月時点で家庭から実際にインターネットを利用した人口が4900万人に達しています。また、ひとりあたりの月平均利用時間も拡大を続けており、直近では23時間30分に達しています。今やインターネットはテレビに次ぐ第2の巨大メディアに成長しようとしています。
インターネットの量的利用の拡大と並行し、一般のインターネット利用者自らが書き込み/投稿を行うブログやSNS、電子掲示板、Q&Aサイトなどに代表されるCGM (Consumer Generated Media)が隆盛を極めています。
また、消費行動プロセスの中にCGMのユーザー・エクスペリエンスが大きな位置を占めるようになってきております。Nielsenが今年4月に世界50カ国で一斉に実施した「信頼できる情報源/宣伝媒体」調査によれば、「インターネット上の消費者の意見」は70%の人が信頼できると回答し、90%の人が信頼できると回答した「知人による直接の推奨」に次ぐ信頼できる情報源であるとの結果が出ています。このようなインターネット上での消費者の発言や意見が企業マーケティング全般に及ぼす影響を無視できない状況になってきています。
BuzzMetricsの高度なデータマイニングプラットフォームは多くのインターネット上の消費者の声を収集し、それを精査したうえで、お客様のニーズに最適な分析と深いインサイトを提供します。また、BuzzMetricsサービスは米国、英国、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドで各国語に対応して提供しています。また、日本と同時に中国でのサービスも開始しますので、欧米アジア圏のCGM上の消費者の声を、横断的に同一手法、同一定義によるワンストップ・サービスとして分析をご提供できます。BuzzMetricsサービスはNielsen OnlineのCGM分析専門アナリストがクライアントと共に課題に対する十分な話し合いをおこなった上で調査を設計し、分析を提供します。また、クライアント自身が日々変化する消費者の声をリアルタイムでモニターするためのダッシュボード「My BuzzMetrics」サービスも提供いたします。
「ソシオメトリー(Sociometry)」は「それを構成する各個人の人間関係に還元できない何か」を追求する社会学アプローチでなく「純粋な個人関係の積み重ねとして社会を再現しようとする」心理学的アプローチ。すなわちここで時計の針は強制的に19世紀末、すなわちフランスでタルドの模倣犯罪学とデュルケームの方法論的集団主義が正面衝突した社会学黎明期の混沌状態に巻き戻されてしまう訳ですね。
そういえばそもそも、これまで私がしばしば用いてきた「関心空間」なる用語自体、「ソシオメトリー(Sociometry)」に傾倒した元ナップスター社長のショーン・パーカーがFacebook向け“ランダム”ビデオチャットサービス「Airtime」リリースの際の以下の発言に由来していたりします。
ショーン・パーカー氏はこう語る。「あなたのあらゆるオンライン上の行動は、あなたがすでに知っている人々に縛られている。だが過去もずっとそうだったわけではない。たとえばインターネットがなければ、ファニングと私が友人になることは決してなかっただろう。わたしたちがソーシャルグラフ(人間関係を通じたネットのつながり)からインタレストグラフ(自分の興味にもとづくネットのつながり)へと進む中、世界には大きな可能性が広がっている。エアタイムでわたしたちが取り組むのはそこだ」
しかし実際には、2012年段階において「インターネット・トラフイックのメディアリッチ化(特定言語圏ごとのテキストのみの会話から、静止画、音声、GIF、動画などの国際的回覧網へ)とモバイルシフト」と二人三脚状態で急発展を遂げたインタレストグラフ(Intarest graph 自分の興味にもとづくネットのつながり)の世界は、ソシオメトリー(Sociometry)が示唆するほどソーシャルグラフ(Social graph 人間関係を通じたネットのつながり)の延長線上で語り得るものではなかった様です。
- ソシオメトリー(Sociometry)の世界観においては、あくまで「点(Node、個人)」が主で「線(Edge、人間関係)」は従。さらに「線を流れる情報」に至っては2つの点の相互影響問題(「魅力」と「拒絶」)しか扱わない。これに比べたら同じ心理学的アプローチ(方法論的個人主義)から「犯罪を引き起こす心理は、模倣を通じて人間間を伝播していく」としたタルドの模倣犯罪学の方がよほど先進的だった。
1318夜『模倣の法則』ガブリエル・タルド|松岡正剛の千夜千冊
*タルドは元来「犯罪を引き起こす心理は遺伝子的に継承され外貌からも見て取れる」とした犯罪人類学創始者ロンブローゾの犯罪遺伝学が許せなくてこの模倣犯罪学を創始しただけなのだが、ここから「それから子供を完全に遠ざければ良い子に育つ」という誤解が生じ「子供の見る番組に悪い事や汚い事は一切登場してはならない」とヒステリックに連呼する親達が登場。Hays CodeやComic Codeといった米国倫理規定が仲介した形が、模倣の過程で誤謬が累積して「黒人を作品に登場させる事自体がレイシズム」と叫ぶ市民団体が現れる取り返しのつかない事態に。ちなみにオリジナルの模倣犯罪学に従うなら、子供が真っ先に模倣するのは親の態度で、真っ先に子供が模倣するのは親の「少しでも気に入らないものには何にでも突っかかって打ちのめそうとする権威主義的態度」という事になる。
「綺麗なものだけで育てたかったから、読む本や見るアニメを規制した、人が殺されたりエッチなシーンのあるものは見せずに育てた」とゆう中2男子のママが「映画見ても理解力が乏しい・興味ある本を自分で選べない子に育ってしまった」と嘆いているのネットで見て、自分の両親に感謝のきもち芽生えた…
— くまぞう*文フリ「象印社*D57~58」 (@cumazou3) 2016年11月4日
アメリカには「日本の市民団体はナチス並み」と考える向きがある。
- それに対して実際のインタレストグラフ(Intarest graph 自分の興味にもとづくネットのつながり)の世界においては、まさしく「線を流れる情報」こそが主役で残りは全て従なのである。ある種「カンニングし放題の試験会場」に似た側面があって状況により「正解に最も回覧が集中する」とも「回覧が最も集中するのが正解」とされ、各点(匿名アカウント)は、原則として「どうすれば最も効率よく高頻度でその状態が達成可能か」について工夫をこらす立場に立つ。
*皮肉にもこの分野では「(ジェントリー階層出身のジェーン・オスティンが教唆した性淘汰(Sex Selection)的処世術に由来する)少女漫画の世界」を知る女子の方が圧倒的に戦略的に振る舞っている感がある。
- ソーシャルグラフの発展は原則として植物的(自分を起点に不可逆的な形で知り合いの数が増えて行くだけで、その逆はない)。このスウェーデンリレー状態こそがいわゆる「SNS疲れ」の原因ともなる訳だが、それに対してインタレストグラフの発展は原則として動物的(現在欲しい情報が効率的に入ってくる様に絶えず連絡網をメンテナンスし続けている)。イーサネット (Ethernet) のHub/Gateway構造と似て相互フォーローはループ状態を引き起こしまうので原則として好まれない(自分の投稿がどう回覧されていくかの確認用として手に負える範囲で残すのがセオリー)。相互フォローは人間として守るべき最低限の礼儀で、そのルールを破って良いのは多くの人にフォローされる「人格的優位者」のみと考えられているソーシャルグラフとは、まずこの部分が決定的に異なる。
*こうした特徴を要約すると「ポケモン第二世代(金銀)のポケギア連絡網(登録数に上限があり、不要連絡先は次々と削除されていく)こそ私が最初に知り、いまだに最高であり続けているSNS」発言となる次第。確かに実名SNSでそれをやったら大変な事に…その一方で国際SNS上の関心空間では、Facebook感覚で相互フォローを求めてくる初心者が「教育される」場面が日常の一部になっている。
- そしてソーシャルグラフの駆動原理が「各アカウント間の相手を自分に従属させようとする力学」なのに対し、インタレストグラフの駆動原理はあくまで「回覧内容の系統進化」。皮肉にもFacebookでなくFacemashこそが正解だったとも。ちなみにそのプロセスは最近トレンドとなっている「機械学習(Future Learning)」と酷似しており、実際同じものではないかと推測されている。
*「フェイスマッシュ(Facemash)」…ハーバード大学の学生だった頃のマーク・ザッカーバーグがハッキングをして得た女子学生の身分証明写真をインターネット上に公開した「公開した女子学生の顔を比べて勝ち抜き投票させる」ゲーム。これが大学内で問題になって半年間の保護観察処分を受けたザッカーバーグはこの路線を諦めてFacebook開発に着手する。
全てがデジタル化された世界だから観測計画そのものは立てやすいです。データも確実に取れます。しかしそれを学術的研究対象としたり、マーケティングの材料にしたりしようとすると以下の様な問題が浮上してくるのでした。
- 確かに「国際SNS上の関心空間」では匿名性を保証された精神的開放感から投稿と回覧が活発化し「高頻度進化論(High Frequency Darwinism)」によって独特の価値観が生み出され、急速に洗練され、ネット社会全体に影響を与えていくのかもしれない。だがそれが何? 現実世界の消費者の行動にどういう影響を与えているのかなんて、まるで分からない訳でしょ?
実際これが最も困った問題なんですね。特にこの巨大システム(例えばFacebook上を流れるトレンド系トラフイックのうち4割〜6割はその影響下にあるという分析まである)を何とか学術研究やマネタイズに結び付けたい層としては。
*最大級のの落とし子の一つがSuperwholockだったりする辺りにも絶望感が漂う。
- 「老若男女のカテゴリー化は可能か?」「頻繁に利用してるプラットフォーム比率は割り出せるか?」「各アカウントの地域分布は?」…まずこうした質問への答えが存在しない。リアル割れを極度に恐れる国際SNS上の関心空間の匿名アカウントは、活動に熱心なほどそうした個人特定につながる証拠の末梢ノウハウもしっかり共有しているものである。最大の問題は、こうした国際SNSの多くが「そうしたデータを収集して第三者に開示しない」と宣言したからこそ匿名アカウントの楽園となったジレンマそのものとも。
*実際にはそうした匿名アカウントを、その行動パターンの分類によってある程度までサブグループ化する事くらいは可能。 - 「匿名アカウント」と「中の人」の言動は一致しているか?…多くの比率を占める「Facebook上では良い子にしてないといけないストレスを発散しにきた匿名アカウント」とか「肉親や知人に知られたくない趣味を堪能させに来た匿名アカウント」に関しては答えはNO。
*これって実は「実名アカウントの消費行動なら認識可能で理解可能で制御可能」という原則論も同じくらい危うい事を意味してるのだけど、それについてはあえて目を瞑る人も多い。カエサルいわく「人は自分にとって望ましい事をこそを喜んで信じる(libenter homines id quod volunt credunt、ガリア戦記 3-18)」という訳である。 - (実名アカウントの様に)各アカウントの行動には一貫したアイデンティティが見られ、それは次第に影響力を増大させていくだけか?…いいえ。「中の人」の関心が推移すればそのアカウントがフォローする相手も、そのアカウントをフォローしてる相手も多くが入れ替わってしまいます。極端な例ではほとんど総入れ替えとなるケースも。
*そうした「入れ替え作業」の手間を惜しみ、突如として削除されるアカウントもある。時々自己申告もあるが(「ごめん、彼女が出来た。間違ってもこのサイトを見られたくない」とか)、概ね厨二病かエロを堪能する系アカウントなので(残ったメンバーから)そう推察されるのである。 - 「テキスト・ベースの投稿サイトに比べて回覧内容の評価が極めて困難」…AI技術の発展によってテキストの構文解析技術は飛躍的に向上。TwitterやRedditの様なテキスト投稿サイトには、そこを流れる情報を統計学的に解明しようとする挑戦者達が群がっている。その一方でGitHubなどを眺めても「国際SNS上の関心空間」への関心は恐ろしく低い。なにしろメインで流れてるのが静止画、GIF、音声、動画で、BotやAIの類にとっては単なるブラックボックス。機械学習によるこうしたデータのパターン認識技術も急速に発展中で、そちらはそちらで人が群がっているが、逆を言えばその結果のさらなる統計処理なんて現在は夢また夢の状態とも。
*そもそも機械学習的アプローチとは、通常のアルゴリズム的アプローチでは到達不可能なものにこそ投入されるもの。かくして「人間は認識可能で理解可能で制御可能なものこそ全てと信じ、それに関心を集中させるべきである」なるプラグマティズム哲学(pragmatism)のWYSWYG(What You See Is What You Get)理念が発動中というのが現状。
MIT:根拠を示す人工知能https://t.co/7zeVFltRkD
— ゆきまさかずよし (@Kyukimasa) 2016年10月28日
機械学習の研究者にとってもニューラルネットはブラックボックスで動作するところがあって(モデルなしで入力と出力しかない)、どうしてこの結果出したのかを説明する部分を作り始めているらしい pic.twitter.com/dTHG7mu1dD - 「そこで生成され洗練される独自の価値観と「中の人」の実際の消費活動を関連づけて理解する事が可能か?」…そもそも各匿名アカウントと「中の人」の関係が割り出せない以上、それが「中の人」の消費活動とどう関連してるか調べる方法など原則として存在しない上、「その場で騒いでストレス発散完了(実際の消費活動と無関係)」という可能性が確かに捨て切れない。
*長期観測によって「その場ノリ」と「恒久的変化」の峻別くらいは不可能でもない。時々「ついにこれ買っちゃった」と報告して消費行動の一端を見せる事もある。 - 「広告効果が乏しいというか皆無」…そりゃ最先端のトレンドをカンニングする為に国際SNS上の関心空間に集まっている集団だもの。同ページ内に広告が掲載されてても、そちらに魅了される可能性など限りなく皆無。
*むしろ「高頻度進化論(High Frequency Darwinism)」の対象外となってる商品の方が有望とも。どの商品が有望かはAmazonの「この商品をチェックしてる人はこの商品もチェックしてます」式レコメンダシステム(recommender system)が有望そう? - 「実際にタイムライン上で物を売っても売れない」…多くのネット通販サイトが挑戦したが、最終的には全て撤退。詳細は不明だが「購入ボタン付き投稿は回覧を見合わせる事が多い」とかそういう雰囲気なら確実に感じられた。
*テリー・ギリアムがネット上で「海賊飯モンティ・パイソンを楽しんだみなさん、本当に気に入ったならDVDを買ってくれ」とアナウンスしたらDVDが爆発的に売った事がある。そうしたネットユーザー寄りの革新的発想からのアプローチが必要とも。
割と八方塞がり感が高くて、それで最近は「国際SNS上の関心空間なんて商業的にも学術的にも鶏肋」という意見が主流となりつつある始末。まぁこれは2011年から2012年にかけてアメリカ議会にSOPA(Stop Online Piracy Act)を撤回させたり、Netflixを倒産寸前に追い込んだ様な大規模な動きを以降見せてないせいもある様ですが。
*以降内部多様化が進んで当時の様な一斉蜂起が難しくなったのもまた事実。人はもう2度と動き出さないと信じられる様になったゴジラは意識の外に追い出すものだ?
個人的には、もし2010年代後半から2020年代前半にかけてネット社会にパラダイムシフトが起きるとしたら、この流れの延長戦上に発生すると考えてるんですが…まぁ相手は「アンドロメダ病原体」あるいは「ゴジラ」なので、その時は全く別の姿に変貌してる可能性も捨て切れなかったりして。
昨夜メディア界隈の方と飲んだのですが、「若年層はTwitterをインタレストグラフではなく、ソーシャルグラフ、さらに言えばクローズドグラフとして使っている」という話になった。だから共同垢ができたり、全世界に発信している自覚がなかったり。 (つづく
— 三川夏代@kakeru副編集長 (@nach33) 2016年2月2日
そこで改めて「日本固有展開」が問題として浮上してくる可能性も?