日本で科学技術が発展したのは「漫画文化」によって養われたイメージ力?
―日本の大学や科学が国際的に地盤沈下していると指摘されています。企業の研究者からみていかがですか。
「悲観的な視点は大切だが、私はまだ日本の良さを生かし切れていないのではないかと考える。なぜ科学技術で日本が発展できたのか。この理由の一つに“漫画”があると思う。日本のアニメや浮世絵、『鳥獣戯画』までさかのぼれば800年の歴史がある。とっぴに聞こえるかもしれないが、漫画のように現象を抽象化してモデルに落とし込み、イメージを他の人と共有する。これもとに仮説を立て、実験結果を皆で解釈し体系立てていく。この力を日本は長年、文化として養ってきた」―斬新ですね。
「学生時代、電気工学を学んだ。テレビの電波がビルで反射するのを防ぐ研究だ。壁内部で電波の位相を反転させ、壁に電波を吸収させた。島津製作所では質量分析装置の化学分野を任された。計測したい物質を瞬間的に蒸発させてイオン化する。この時、グリセリンにレーザーを吸収させて急激に温度を上げる。電気と化学で分野は違うが、イメージは同じだ。研究では異分野の研究者がイメージを共有し、仮説を立てて検証する」
―抽象化したモデルが間違っていれば、仮説も間違いませんか。
「ベテランになるほど、モデルの正確ではない部分に目が向きがちだ。だが大胆にモデルを置いて、そこから自由に発想を膨らませる。この頭の柔らかさが面白い結果を引き寄せる。モデルを置くことで異分野の研究者と話がしやすくなる。複雑な現象をモデル化する力、モデルから発想する力、そして共有する力を日本人は広く備えている」
個人的には「法華経(紀元前1世紀〜紀元後1世紀成立)」に由来する能の世界も大きな役割を果たしてる気がしてます。「竜女成仏」の概念とか日本の少女漫画経由で海外に輸出されて多様性と多態性を重んじる第三世代フェミニズムに影響を与えた側面も。
*「法華経」…この文献中における「お前にはお○んちんがついてないじゃないか!!」「その気になれば何時だって生やせるもん!!(にょきにょき)」論争(?)こそが「心のお○んちん」概念の起源とも? 昔も今も「自らの男性性に執着する男性」を打ちのめす武器として有効な様だ…そういえば、一時期国際SNS上の関心空間で「ホモソーシャル傾向が眼に余る男子アニメファン・アカウントのタイムラインに延々男の娘画像を送り続ける」遊びが流行した事があるけど、真面目に狙われた相手の性的アイデンティティを混乱させるのに高確率で成功してたから恐ろしい。
ところで抽象思考については「梵我一如」の精神を追求したインドのウシャニパッド哲学も案外侮れず、特に「華厳経(4世紀頃成立)」における「海印三昧」の概念は圧巻。このサイトではこれをオブジェクト指向プログラミングやフェニックス・ガタリの「機械状(Machinique)」と結びつけて語ってきました。
日本にもそれなりには伝わってきた(古代ローマ帝国との交易などで栄えた)古代北インド資本主義文化の一つ。そして当時が残した「至高のモデル」の一つがこれ。
最初から何たる完成度…