諸概念の迷宮(Things got frantic)

歴史とは何か。それは「専有(occupation)=自由(liberty)」と「消費(demand)=生産(Supply)」と「実証主義(positivism)=権威主義(Authoritarianism)」「敵友主義=適応主義(Snobbism)」を巡る虚々実々の駆け引きの積み重ねではなかったか。その部分だけ抽出して並べると、一体どんな歴史観が浮かび上がってくるのか。はてさて全体像はどうなるやら。

【Big Dragon is Watching You】今そこにある未来?

f:id:ochimusha01:20190626061905j:plain

f:id:ochimusha01:20190628201847j:plain

ニュースピーク(新語法、Newspeak) - Wikipedia

ニュースピークはジョージ・オーウェルの小説「19841949年出版)」に描かれた架空の言語。作中の全体主義体制国家が実在の英語をもとにつくった新しい英語である。その目的は、国民の語彙や思考を制限し、党のイデオロギーに反する思想を考えられないようにして、支配を盤石なものにすることである。

概説

小説『1984年』は、執筆時点からは未来に当たる1984年に、世界を3つの超大国が分割支配し管理社会を建設している様を描いている。ニュースピークは小説の主要な舞台となる「オセアニア」という超大国かつての英米をはじめとする英語圏を主要な支配地域とする)の公式言語であり、オセアニアを支配する「党」が英語(作中では「オールドスピーク」、「旧語法」と呼ばれる)をもとに作成を進めている新しい言語である。

その目的は、党の全体主義イデオロギー「イングソック」、Ingsoc、映画版では独裁政党の名前でもある)にもとづいて国民の思想を管理し、その幅を縮小し一方向に導き、イングソックのイデオロギーに反する思考(「思考犯罪」、thought crime、ニュースピークでは「crimethink」)ができなくなるようにすることである。ニュースピークは国民の思考を単純化するために、辞典の改訂版が出るたびに旧語法に由来する語の数を削減しており、オーウェルは作中で「世界で唯一、毎年語彙の数が減ってゆく言語」と述べている。

オーウェルは小説の末尾に「付録・ニュースピークの諸原理」と題するエッセイを載せ、この中でニュースピークについての基本原理を過去形の形で述べている。

オーウェルの思考の起源

ニュースピークにつながるジョージ・オーウェルの思考の起源はエッセイ「政治と英語Politics and the English Language、1946年)」に表れている。ここで彼は同時代の英語の貧困化を嘆き、メタファーの劣化、気取ったレトリック、意味のない言葉などが思考のあいまいさや論理的思考の欠如の原因となると述べている。エッセイの終わりでオーウェルは述べている。

……私は、われわれの言葉の堕落は治療可能だと先に述べた。これに反対する者は、もし真っ向から議論するのなら、言葉は現実の社会情勢の単なる反映に過ぎず、語彙や文法をどう直接つぎはぎしても、その発展に影響を及ぼすことはできないと議論するだろう。

オーウェルの時代の英語の退廃が、話者を抑圧するために故意に悪用されている状況を比喩的に描いたものが、『1984年』におけるニュースピーク使用の強制についての描写である。

ニュースピークの原理

ニュースピークはかつての英語にもとづいているが、その文法と語彙は大きく削減され単純化されている。

もっとも完全にニュースピークだけで表されたものは1984年段階では『タイムズ』など一部の新聞などしかなく、人々はまだニュースピークだけを使って読み書きすることはできずオールドスピークを利用している。しかし、将来、『ニュースピーク辞典第11版』で語法が完成し、ニュースピークの普及がより一層進めば、2050年ごろまでにはオールドスピークは廃止されるべきとされている。オールドスピークが完全に忘れられた時代には、イングソック以前についての記憶やイングソック以前の旧思想は、少なくとも文字によるかぎり成立しないはずである。

ニュースピークは3つの群に分類できる。

A語彙群…日常用語。ただし、意味の曖昧さや政治的意味は排除され、特定の具体的で明白な概念しか持たない。たとえば、「free」からは「政治的自由」「知的自由」の意味は排除され(そのようなものはイングソックの下では異端の思想であるため存在することはできない)、「シラミからfreeであるシラミがいない)」、「雑草からfreeである雑草がない)」というような意味しか残っていない。

B語彙群…政治的目的のためにつくられた新語で、ほとんどは合成語。話者に対し好ましい思想を植え付けるためにつくられた。「Ingsocイングソック、もとは「イングランド社会主義」の略で党のイデオロギーの名)」、「goodthink正統性、正統的に考える)」、「crimethink思考犯罪、自由や平等などイングソックに反するあらゆる思考)」、「oldthink旧思想、革命前の古い邪悪な思想、客観性や合理主義など)、「crimestop犯罪中止、頭の中の思考犯罪に通じる思考を中断させること)」、「thinkpolシンクポル、思考警察)」「goodsex健全な性、純潔)」、「joycamp歓喜キャンプ、強制収容所のこと)」、「ownlife利己生活、孤独な行動など個人主義的な逸脱をすること)」、「Minipax「平和省」、軍事と戦争をつかさどる省庁のこと)」など。婉曲語法や意識的に正反対な意味の語がもちいられているのは、実態(労働者の抑圧、家族の解体、各国が世界を分割支配し結託して永久戦争を続ける)とは矛盾した用語や思想(社会主義、指導者に対する家族的愛情、オセアニアによる世界の制覇)をかかげることで、両方を意識的に信じることのできるオセアニア国の「二重思考ダブルシンク、Doublethink)」を支えるためのもの。

C語彙群…科学用語、技術用語。技術的要請のために上記の2群をおぎなうための用語。ただし、政治的意味は排除され、また「科学」という用語はすでになく、科学的思考自体が思想犯罪とされている。

語彙の整理

まず、あらゆる単語はイデオロギーに反するような意味を制限され、しかも、品詞間の転用が自在におこなえ、動詞にも名詞にも転用でき、さらに「-fulフル)」をつけることで形容詞に、接尾辞の「-wiseワイズ)」をつけることで副詞にも使えるようになっている。このため、意味の似た動詞、名詞、形容詞などが一つだけに整理されている。また、すべての過去形と過去分詞は「-ed」に単一化され、複数形は「-s」「-es」に、比較級は「-er」に、最上級は「-est」に完全に統一されている。このため、名詞の不規則な複数形や、動詞や形容詞の不規則変化や、「more」「most」といった語は廃止された。

また、否定を意味する接頭辞の「un-アン)」をつけることで反対語が表現できるほか、「plus-プラス、とても)」、「doubleplus-ダブルプラス、非常に)」、「ante-アンティ、前)」、「post-ポスト、後)」、「up-アップ、上)」などの接頭語をつけることで大半の語彙は置き換えることができたため、英語の基本語彙は相当な数が削減されている。

good良い)」は思想的に正統的で、指導者ビッグ・ブラザー(偉大な兄弟)を愛すること、というような意味に変わっており、「bad悪い)」は「ungoodアングッド)」でこと足りるため廃止されている。このため、「ビッグ・ブラザーは悪い」というような意味を表現する言葉は存在しなくなっている。正義、道徳、民主主義、宗教など異端的意味しか持たない語彙は完全に排除され、これらの概念をニュースピークで論理的に表現することはもはや不可能になっている。すべての語は二音節または三音節の短さに縮められ、スタッカートのリズムで歯切れよく発音できるように工夫されている。これは、国民が話す際に口にする言葉について深い意味を考えることなく、「明確で正しい意見」だけを早口でまくしたてられるようにするためである。用語が少なくなってゆくことも、話したり演説したりする際の語彙の選択肢を減らし、物を考えずに「正しいこと」だけを話すことに貢献する。

略語の多用作中の政府組織、党組織、公共団体などの名称は覚えやすく話しやすくするために二音節程度の短さの簡単な略語にされている。たとえば真理省Ministry of Truth)はミニトルーMinitrue)、その中の記録局Records Department)はレクデップRecdep)、創作局Fiction Department)はフィクデップFicdep)、テレスクリーン番組製作局Tele-programmes Department)はテレデップTeledep)といった調子である。

これは無意識的に略称にされたのではなく、意識的に短縮されている。すなわち、勢いよく発音できること、およびそれぞれ省略される前の「真理」や「記録」などの言葉にかかわる連想を切り落とし、単なる組織体しか表さない言葉に変え、口にする際に一瞬考え込むことを防ぐためである。

オーウェルはこうした政治的組織に対する略語の例として、20世紀前半の全体主義運動における略語の多さを指摘し、ソビエト連邦ナチス・ドイツにかかわる略語の名を挙げている。コミンテルンを例にとれば、「共産主義インターナショナル」と呼んだときに、「共産主義」「インターナショナル」から連想される理想や運動は「コミンテルン」と略されたとたんに単なる組織と教義に過ぎなくなると述べている。

 新語法の専門家サイムの、主人公に対する言葉オーウェル1984年』

2050年までには - たぶんもっと早めに - 旧語法に関する実際的な知識はことごとく消滅してしまっているだろうね。過去の全文学も抹殺されているだろう。チョーサー、シェイクスピア、ミルトン、バイロン - 彼らだって新語法の版でしか存在すまい。全く異質のものに変わっているばかりではない、実際にはもとの姿とは正反対のものにさえ変わっているのだ。党の文学だって変わるよ。スローガンも変わるね。自由の概念が廃棄されたら「自由は屈従である」というスローガンの存在価値はあるだろうか。思想の全潮流は一変してしまうだろう。現実にいまわれわれの理解しているような思想は存在しなくなる。正統とは何も考えないこと - 考える必要がなくなるということだ。正統とは意識を持たないということになるわけさ。

ニュースピークの基本原理

その根幹は「表す言葉が存在しないもののことは考えることができない」ということにある。たとえば、自由の必要性を訴えたいとき、蜂起を組織するとき、これを言い表す「自由」や「蜂起」といった単語がなければ自由を訴えたり組織をつくったりすることは可能かどうかである。「われわれの言語の限界は、われわれの世界の限界でもある」ともいえる。

ニュースピークの最終版が完成し、普及した暁にはもはや党や政府に対し反抗を行うことはできなくなるであろうと考えられている。オーウェルアメリカ独立宣言の有名な一節に対し、これを原文の意味を失わずニュースピークに変えるのは困難であり、せいぜい全文を「思想犯罪」の一語に置き換えるか、絶対権力の賞賛という正反対の意味へ全訳するしかないだろうと述べている。

しかし、人口の85%を占める「プロレプロレタリアートの略、抑圧されている一般大衆)」にまでニュースピークが普及するかは疑問があるものの、プロレは政治に関わることのない下層階級として無視されている。また、過去の文学や文献を全面的にニュースピークに置き換えることは多大な時間がかかるため、旧語法の完全廃止は2050年という遠い未来に設定されている。

皮肉にも、かかる言語統制は「(ジョージ・オーウェルの期待を裏切ってプロレ」にこそ有効だった模様。実際、現在の北朝鮮語は韓国語の半分しか語彙がなく、さらに年々減少しているとの事。「洪水」を「大きい大きい水」としか表現し得ない言語体系においては「国際社会に人道主義と人種的平等主義を復活させ絶対悪ナチスの脅威から人類を解放するには、劣等民族たる黒人や東南アジア人、先天的ナチス民族たる日本人ユダヤイスラエル北朝鮮の盟友イランを隙あらば先制攻撃するので、自分も同じ攻撃を受ける恐怖心から追加されたや、先天的奴隷民族たる韓国人の全財産を接収し、女子供を残らず輪姦し尽くし、その全員をあらゆる拷問の末の悶絶死に追い込まねばならぬ世界意思が選んだ選民ながら、飢饉の都度子供を交換し合っての人肉食を強いられる極貧生活や、権力側の気まぐれであっけなく財産を奪われ輪姦され虐殺される恐怖にさらされてきた北朝鮮人民の自尊心は、かかる形で回復される)」なる矛盾だらけのプロパガンダも「正義は最終的に勝利する」的単文プロパガンダに要約可能で、全く違和感なく十分通用するという恐ろしさ? そう「思想統制による被支配者の単純化」は、支配者の思考様式も巻き添えに単純化してしまうのである…