「崖の上のポニョ(2008年)」を鑑賞する上で欠かせないのがこの観点。
『#崖の上のポニョ』が公開された2008年は『#白蛇伝』公開50周年の年でした。
— 叶 精二(Seiji Kanoh) (@seijikanoh) August 23, 2019
実は、完成披露試写の時から「ああ、このシーンは『白蛇伝』のアレでは?」と思っておりました(笑)。https://t.co/ERvtQ1jYrT pic.twitter.com/hbFdz5qNtP
#宮崎駿「日本のアニメーションについて」
— 叶 精二(Seiji Kanoh) (@seijikanoh) August 23, 2019
「「#白蛇伝」が公開されたのは1958年である。その年の暮れ、場末の三番館で、高校三年生の受験期のただ中にいたぼくは、この映画と出会ってしまった。
どうも気恥ずかしいうちあけをしなければならない。ぼくは漫画映画のヒロインに恋をしてしまった。(続 pic.twitter.com/l0wuMWQfak
続)心をゆさぶられて、降り出した雪の道をよろめきながら家へ帰った。彼女たちのひたむきさに較べ、自分のぶざまな有様が情けなくて、ひと晩炬燵にうずくまって涙を流した。(略)「白蛇伝」との出会いは強烈な衝撃を残していった(略)以来、ぼくは真面目に何を作るべきか考えるようになった」1988年
— 叶 精二(Seiji Kanoh) (@seijikanoh) August 23, 2019
ポニョを災害の擬人化扱いするの、あっっったりまえの視点だと思ってたんだけど、そうでもないと聞いて世の中広いなと思ったな
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
ポニョほんとこわいんですよ あんな恐ろしい「好きな男に会いに行く」ある??他の異類婚姻譚の嫁たちはちゃんと自分がヒトの世界へお邪魔するのに対して、ポニョは神性が高すぎるのでそういうことができないんですよ 海という異界から抜け出すんじゃなく男の世界ごと異界へ変える
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
トンネルを抜けるとポニョが意識を失う?ところとか、向こうから現れて少しお話して去っていく小舟とか、異界化後はみんな元気になってる老人ホームとか、あまりにあからさまな描写が多すぎて何らかの教材映像みたいになってんのに駿は「かわいい人魚姫を描きたかった」としか言ってくれない
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
助けていただいたツルです…と身一つでやってくるのは「嫁入り」だけど、よくわからないものがよくわからないものたちを引き連れ「そーすけーー!!来たよーーーー!!!(呼んではいない)(大津波)(大浸水)(避難警報)(幾度となくさらわれかける母子の自動車)」ってくるのは「災害」でしょ
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
そこまでしても尚変わらず受け止めて愛してくれる「新しい人魚姫の王子様」を描きたかったのかもしれない、異界に飲み込まれることで結果的にハッピーになるならそれはそれでいいじゃんってことなのかもしれない……とは思うけど駿の考えることはわかりません
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
一歩間違えたらラブクラフト作品だぞ
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
ポニョの真名をブリュンヒルデにしたの「これと見込んだ男を異界へ連れていく」みたいな属性故だろうし、彼女の「降臨」には彼女の姉妹たち、無数の戦乙女たち(ボラみたいな人みたいなカエルみたいなやつの大群)が付き随うんだよな いや怖いんだよ 幸せな人魚姫をどの方向性で盛ってんだ
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
もし王子様がある程度やったことの分別のつく年齢(13歳以上)とかだったら「まあ気が向いたら恩返しにでも来てくれよな笑 なーんちゃって」って金魚ポニョを放流したと思うし、それが大いなる災害と異界召喚につながるから、もう完全なるホラーになってしまう
— あろえ (@tragadormidera) June 12, 2019
あ、ここでいう「災害」は特定のものを指していません。
— あろえ (@tragadormidera) June 13, 2019
311の隠喩だ、とかいうことではないです。
「人間にはどうしようもできない自然の恐怖」みたいな意味合いです。よろしく。
「陸に生きる我々」と「水に生きる彼ら」をはっきりと分けてこそ「この場の秩序」が成り立つ、という構造はどんな話にもあって
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
水に生きるもの、山に生きるもの、なんでもいいんだけど、とにかく「自分たちとは違うもの」をどう扱うか
(私は)もののけ姫は怖くないんですけど、あれは双方「奴らに攻め込まれてたまるか」と戦う話だから、すごい納得が行くんだよね 激突の上で、やっぱり我々の同化は無理、離れて暮らす。でも僕たち二人は会える。という収まり方もバランスがいい
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
結果的に、数十年数百年後にはタタラ場側(人間側)が完全勝利するかもねとか(その人間勝利ルートの先はある意味「ぽんぽこ」だよねとか)思うけど、
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
とにかく「お互い戦っている」から怖くない。「自分たちの領域を広げたい、維持したい、攻め込まれたくない」という感情は納得できる。
ポニョの人間たち、戦う間もなく一瞬で取り込まれたのがめっちゃ怖い
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
そーすけのお母さんは戦っていたよなと思う。息子が海に入ろうとしてるのを止めたり、波とのカーチェイスしたり、家まで入ってこられたり、ガス電気、食べ物とか(この辺りはたくさん考察ある)
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
それでも対抗できなかったというか、作者がさせなかったというか
ポニョはそもそも「攻め込まれまいと戦う」人たちの話じゃないんですよね
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
「あっちとこっちを同化させる」がメインで、「線を超えたっていいんだ。それでも皆幸せになる、そういう話なんだ。俺の宇宙ではそうなんだ」みたいな話
異種婚姻譚や境界話のセオリーすら超え…というかぶっ壊してるの面白い
ただ作者も「それってめっちゃ怖いことでもあるよね?秩序…とは…?」とわかっているので、そーすけママの戦いだったり、色んな所で隠喩を出してくる
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
見てる側からするとその隠喩単体も怖いし、隠喩をひとつ経るたびにポニョが変化するので、なにかの儀式を見ている気分になる
「あちらとこちらが同化して、みんなひとつになる」ということへの恐怖があるか、ないか、で感じ方の変わる映画だよね
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
同化した!でも幸せそう。そういうものなんだね!と受け入れられた人は怖がっていない気がする。
子どもたちへの映画、っていうのはそういう意味もあるのかもしれない。
境界や異種〜への知識があると「えっトンネル…」「こちらの食べ物を与えたら姿が変わった…」ってビビってしまうんですよ。あまりにわかりやすく散りばめられているので。わかってやってるんだと思う。
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
そういう知識があったり、「同化なんて出来るわけないだろ…」と思っていると、なんの抵抗もなく飲み込まれて幸せです!となっているあの世界がメチャクチャ怖く思えるんだな ツッコミ不在の恐怖というか
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
「あっちとこっちを分けて、こっち側だけで暮らす。攻め込まれたら抵抗し闘う」という価値観、私はモロにそうで、自然は管理下に置きたい派だし、大切だと思うんだけど、
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
時には「いっそ同化してしまいたい『あっち』も現れる」のだろうね
魅力的だったり大切な人がいたり……
そーすけママの戦いのシーン、私はそーすけママの立場から見ちゃうので「3つの挑戦うまくいってたのに、最後の1回で失敗した…」と思ってしまうけど、ポニョの立場から見ると「2回はだめだった。でも最後で成功した!」なんだよな…
— あろえ (@tragadormidera) June 14, 2019
ただし宮崎駿は究極の変態でもあるのでヒロイン設定の難易度も高いです。何しろロマン・ポランスキー監督映画「テス(Tess、1979年)」 を観て「やっぱ萌えっていうのは、なんかこう死と隣り合わせとかじゃねぇと輝かねぇんだ」とコメントしてしまう様な人物ですからね。そりゃ天井から血の雨が降りますよ…
「風立ちぬ(The Wind Rises、2013年)」については、何故かヒロイン菜穂子について「実は療養所に残してきた同病で瀕死の夫がいる。急いで帰宅したのは彼の容態が急変したから」説が流れた。日本文化マニアが堀辰雄「菜穂子(1934年)」の内容について語って聞かせた影響らしい。つまり「人生をつまみ食いされた」のは主人公の堀越二郎の方というおそるべき解釈…
むしろ新海誠監督映画「天気の子(Weathering With You、2019年)」で「メインヒロイン」天野陽菜が決死で放つエロティズムの最大の理解者なのかもしれないんですね。