諸概念の迷宮(Things got frantic)

歴史とは何か。それは「専有(occupation)=自由(liberty)」と「消費(demand)=生産(Supply)」と「実証主義(positivism)=権威主義(Authoritarianism)」「敵友主義=適応主義(Snobbism)」を巡る虚々実々の駆け引きの積み重ねではなかったか。その部分だけ抽出して並べると、一体どんな歴史観が浮かび上がってくるのか。はてさて全体像はどうなるやら。

【欧州中世風ファンタジーの世界】「ハーレクイン的世界観」ではこうなる?

何故世界には「欧州中世風ファンタジー」の世界観が無数に存在するでしょう?

ナーロッパでいこう! ~中世欧州風ではなくゲーム的近世風のすすめ。すぐに使える通貨風習文明技術のお話

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実は欧州における元イメージからしてそうだというお話…

バイキングというのは「北方の人」という意味。北ヨーロッパスカンディナヴィア半島、ユトランド半島)に定住していたノール人ノルウェー)、デーン人デンマーク)、スウェードスウェーデン)などを指します。

バイキングというと荒荒しいイメージを持つのは、北に住んでいた彼らが、植民定住)、略奪、征服を繰り返し、南へと勢力を広げていった民族だからでしょう。フランス、イタリア、ロシアや北米まで、バイキングたちはその勢力を急速に拡大していきます。その代表的な例が『イングランド』。

イングランド5世紀半にサクソン人の王たちがアングロ・サクソン7王国を建国。サクソン人が支配していましたが、9世紀後半からノルマン人(バイキングとも、デーン人ともいう)が侵攻。サクソン人の王国をつぎつぎと配下に入れます。この間のノルマン人とサクソン人との戦いも文学上よく描かれます。中でも有名なのがサクソン人の王、ルフレッド大王(在位871年~899年)。デーン人と勇猛に戦い、イングランド統一の基礎を築いた名君です。しかし結局ノルマン人の勢いを止めることはできず、1066年、ヘースティングズの戦いでノルマンディー公ウィリアム(ノルマン人)がイングランドを征服。初代国王ウィリアム1世として即位します。これを歴史上、ノルマン・コンクェスト(征服)といいます。ノルマンディー公というのは、10世紀にフランスのノルマンディー地方に領地を与えられたノルマン人バイキング)の王のこと。イングランドの国王となっても、フランスに広大な領地を持っている。こうしてサクソン人の王国だったイングランドは、ノルマン人によって征服されてしまうのです。

5世紀、ローマの支配力が失われたブリテン島には、諸民族が次々になだれ込んできた。最初に侵入してきたのはサクソン人アングル人ジュート人といったアングロ・サクソンと総称される人々であった。彼らは各地に独自の王朝を数多く築いたが、8世紀後半にはヨーロッパで猛威を振るったヴァイキングがこれらの王朝を脅かし、その一部を占領した。そして1066年に勃発したへースティングスの戦いで勝利したのは、ノルマンディー公ギヨーム(ウィリアム1世)であった。このとき、イングランドの支配はアングロ・サクソン人からノルマン人の手にわたったのである。本書は、5世紀~11世紀ブリテン島で、生き残りを賭け熾烈な闘争を行ったサクソン人ヴァイキング、そしてノルマン人を解説している。彼らはどのように歴史に登場し、どのような武器を持って戦ったのだろうか、流血と混乱に彩られた彼らの姿が浮かび上がってくる。

 そんな歴史的背景を知って見る(読む)と面白いおはなしを紹介。このおはなしはハーレクインではなく、イギリス文学の傑作ともいわれる、れっきとした文学作品ですが…ロマンスファンなら絶対おすすめ。

アイヴァンホーIvanhoe, 1820年

スコットランドの作家サー・ウォルター・スコット1820年に発表した長編小説。架空の主人公を歴史的な出来事の中に入れる手法の元祖ともいわれている。

歴史的背景

物語の舞台は、後述するリチャード1世の解放から1194年にかけての時代と思われる。

  • 1066年のノルマン人の征服のため、先住民のサクソン人貴族の多くが没落した。1086年検地帳ドゥームズデイ・ブック)では、王の直臣180人のうち旧来のサクソン系は6人、16の司教座のちサクソン系は1つのみという徹底した貴族層の入れ替えが行われる。そのため、イングランドでは封建的な豪族の上に王が載るのでない、強力な王権が形成された。

  • ヘンリー2世(在位1154年~1189年)はプランタジネット朝の始祖であり、ノルマンディー公領を中心に隣接するアンジュー伯領とイングランド王領という広大な勢力圏を持っており、アキテーヌ公の一人娘アリエノール・ダキテーヌを妻としていた。

  • 2人の間にはウィリアム(夭折)を除くと若ヘンリー、リチャード、ジェフリー、ジョンの4人の男子がいた。若ヘンリーノルマンディーアンジュー及びイングランドの共同統治)、リチャードは母親アリエノール・ダキテーヌの所有するアキテーヌ、ジェフリーはブルターニュへ婿入りとそれぞれ分配されたが、この時2歳だった年少のジョンは領土を分配されず、そのために欠地Lackland)と仇名された。ジョンは後にアイルランドを分配されたが、統治に失敗して逃げ帰っている。

  • 1183年若ヘンリーが死ぬと、ノルマンディー、アンジュー、イングランドリチャードに継承されることになったが、その際にリチャードアキテーヌ公領をジョンに譲渡することを拒否した。そのため、ジョンはまとまった領土がない状態であった。当時のプランタジネット朝アンジュー帝国)の中心地は北フランスであり、イングランドは辺境の領土であった。
    *「アイヴァンホー」で扱われなかったもう一つの辺境、それが「アーサー王伝説を伝えてきたブリトン人の地」ブルターニュ/ウェールズだったのである。

  • 1189年リチャードは父に再度反乱を起こし、ヘンリー2世を打ち負かした。ヘンリー2世は失意のうちに死に、リチャードは王位を継いだ。

  • 1187年エルサレム陥落後から十字軍結成の機運が高まり、第3回十字軍が実施された。リチャードはイングランドのあらゆるもの(土地・官職・臣従権など)を売り払って軍資金とし、1189年イングランドを発った。リチャードは仇敵のフランス王フィリップ2世と肩を並べて聖地入りすることにしていたが、足並みは揃わず、フランス王はさっさと先に帰国してリチャードの領土を侵略しはじめた。本来は神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世も参加するはずだったが、行軍中に死亡していた。フリードリヒ1世の軍勢はオーストリアオポルト5世の軍として参加したが、彼はアッコン征服の際にリチャードに体面を傷つけられて恨みを抱いていた。オーストリア公旗はイングランド王旗やフランス王旗に比べ格が落ちるとして、リチャードが塔から軍旗を引きずりおろしたためだという。

  • フランス王フィリップ2世は王弟ジョンを巻き込んでイングランドに対する攻勢を続けていたため、1192年エルサレム攻撃を果たせずにリチャードは帰国したが、帰途神聖ローマ帝国領内で捕縛され、オポルトの捕虜になってしまう。しかしその居所が分かると身代金が支払われ、リチャードは自由を取り戻した。フィリップ2世はこの情報をジョンに知らせたが、その描写が小説にもある。

  • また、森林法という、本来は狩猟を行うための森林を直轄領として民衆が利用するのを厳しく制限した法律が制定され、それは後に拡大していき、森林も領域を広げていった事情があった。森の義賊ロビン・フッドはアウト・ローのヒーローとしてイングランド人の中で伝説となっていた。

  • また、ユダヤ人に対する偏見や差別が根底にある時代であり、主人公であるウィルフレッドも過剰ではないにしろ、ユダヤ人に対する偏見はもっている。
  • 王が不在の中、フランス王の後ろ盾で横領を行うジョン、そしてサクソン人の再興を願うセドリックという状況下で小説は始まる。

ただし、作中で描かれたノルマン人サクソン人の対立は、いささか時代錯誤的なものである事を作者は認めており、本作はそれを承知で描かれたフィクションである。

あらすじ

サクソン人の郷士セドリックはサクソン王家直系の血を引くロウイーナ姫の後見者であり、同じく王家の血を引くアセルスタンとの結婚を実現させてサクソン人勢力を統合し、サクソン人の復権を願っていた。だが一人息子ウィルフレッドがあろうことかロウイーナ姫と相思相愛になってしまい、セドリックは計画の障害となる息子を勘当する。ところがウィルフレッドは、仇敵のはずのノルマン人のイングランドリチャードに従いアイヴァンホー領を貰い、十字軍に従軍してしまった。

物語はアイマー僧院長がテンプル騎士団の一員であるギルベールらとセドリックの館で一晩の宿を求めるところから始まる。同じ日にユダヤ人の親娘のアイザックレベッカ、そして聖地帰りの旅の巡礼がセドリックの館で一晩を過ごす。夕食後に旅の巡礼がロウイーナ姫に聖地で行われた馬上試合の模様を話す。巡礼は最後にギルベールが負かされた話で言葉を濁すが、ギルベールはセドリックの息子ウィルフレッドに負けたこと、そして再戦を望んでいることを自ら言う。セドリックは勘当した息子の活躍に複雑な表情であった。

その夜、巡礼はユダヤアイザックをたたき起し、すぐに逃げるように言った。ギルベール達がアイザックの身ぐるみをはがす相談をしていたのを聞いたからである。巡礼が実は騎士身分であることを見抜いたアイザックは、借りを返すため、彼が武具一式を知人から借りることができるように手配することを約束する。

馬上試合Tounament)

王弟ジョンの人気取りのため馬上試合が開かれた。1日目は5人の選ばれた騎士に対し参加者が挑戦する形式であり、2日目は2組に分かれての集団戦、そして3日目は弓の腕比べの予定であった。1日目に最も活躍した騎士は愛と美の女王を選ぶ権利が与えられ、その女性は2日目に最も活躍した騎士に対し栄誉を与えることになっていた。

セドリックロウイーナ姫アセルスタンと共に馬上試合にやってきた。アセルスタンは参加するように促されたが、やる気を示さない。

ギルベールは5人の選ばれた騎士の中でもリーダー格であった。挑戦する者たちが全員撃退され観客が失望する中、兜をかぶったままの騎士が勘当された騎士と名乗りギルベールに実槍での勝利を申し込んだ。騎士は誓約を立てているために顔を明かせないといい、そういった誓いは当時一般に認められていたため許された。勘当された騎士はギルベールを破ると残りの4人にも勝ち、王弟ジョンが苦い顔をする中で愛と美の女王を選ぶ騎士に選ばれた。騎士はロウイーナ姫を指名する。

勘当された騎士はセドリックの館に泊まった巡礼であった。セドリックの豚飼いガースを従者とし、ユダヤアイザックから約束通り武具を借り参加していた。慣習として勝者は敗者の武具を戦利品とする。4人の騎士からは武具の代わりに相当する代金を受け取るが、ギルベールからの使いには決着をつけることを望み武具の受け取りを拒否した。勘当された騎士は受け取った金をガースに託し、借りている武具を買い取る代金としてアイザックの元へ行かせた。アイザックは喜んで代金を受け取るが、娘のレベッカは父の命の恩人に対する礼として武具を貸したのに代金を受け取るのはおかしいとして、ガースに代金を返した。帰途ガースは山賊に襲われたが、勘当された騎士の従者と知られると、昼の痛快な活躍を見ていた首領が何も取らずに解放した。

翌日、ギルベールと勘当された騎士はそれぞれの組の主将となり、2組に参加騎士が分けられた。アセルスタンは婚約者のロウイーナ姫が目の前で愛と美の女王に選ばれたのが面白くなく、ギルベール側についた。集団馬上試合ではやがてギルベールたち3人の騎士に勘当された騎士が追いつめられるが、それまで試合場の隅で何もしていなかった黒い騎士が突然割り込み、助太刀をした。そのため勘当された騎士の組が勝利しギルベールは打ち負かされたが、勘当された騎士も手傷を負ってしまった。その日の最優秀騎士も勘当された騎士だと衆目は一致していたが、王弟ジョンは面白くなく黒い騎士を指名した。だが黒い騎士は試合終了後に立ち去っており、勘当された騎士が2日目も最優秀に選ばれた。栄誉を受けるために顔を明かすように言われ、勘当された騎士はやむなく顔を明かすが、それはウィルフレッドであった。

ジョンは兄のリチャード王が虜囚から逃れたことを知らされ、日程を繰り上げ、3日目の弓の腕試しをすぐ行うことにした。そこでロックスリーと名乗る者が恐るべき腕前を見せる。

ウィルフレッドの怪我は思ったより深かった。セドリックウィルフレッドを連れ帰るように命じるが、その前に観戦に来ていたユダヤアイザックの娘レベッカが看病のために連れ出していた。従者をしていたガース農奴であるために、セドリックに見つかり捕えられてしまう。

森の中で黒い騎士は1人の僧の元へ一晩の宿を借りようとする。僧は生臭ですぐに黒い騎士と意気投合し、酒盛りを始めて盛り上がる。

虜囚と解放

帰途のセドリック一行は、ウィルフレッドを連れていたアイザックレベッカ親娘が護衛に逃げられ困っているところに行きあい、仕方なく同行させる。ウィルフレッドは馬車の中に寝かせられ、誰にも気付かれなかった。しかしそこにギルベール一行が現れてセドリック達を捕え、豪族レジナルド・フロン・ド・ブーフの城に連れて行かれてしまった。一味のモーリス・ド・ブラシーはふとしたことから馬車の中の人物がウィルフレッドであることを知った。アイヴァンホー領を横領しているレジナルド・フロン・ド・ブーフが知ったら殺してしまうであろうが、騎士道のために黙っていた。一行のうち道化のウォンバと豚飼いのガースは逃れることができた。

セドリックアセルスタンは一緒の部屋に幽閉された。一方でギルベールユダヤ娘のレベッカの美しさに惹かれる。モーリス・ド・ブラシーロウイーナ姫を貰おうと考える。

弓試合の勝者ロックスリーが森の僧の戸を叩いた。ガースウォンバと出会ったロックスリーガースを逃がした森の義賊の首領であり、セドリック一行の解放を約束し、その助力を森の僧に頼みに来たのであった。黒い騎士も助力を願い出ると、アウトロー達を集めてフロン・ド・ブーフの城へ押し寄せた。

一方でウォンバは僧の振りをして告解のためにフロン・ド・ブーフの城へ入り込み、セドリックの身代わりとなり、セドリックを脱出させた。セドリックは自分よりもサクソン王家の地を引くアセルスタンを逃がすように言うが、ウォンバは自分の主人はセドリックだと主張し、アセルスタンセドリックが脱出して救出の手助けをしてくれるように言ったために、セドリックは服を交換して牢を出た。その途中、城の奥にいる老女ウルリカと出会う。老女はセドリックの父の親友の娘であり、その一族がフロン・ド・ブーフの父親に攻め込まれた際に親兄弟を殺され自身は慰み者になっていたのだった。しかし年をとり誰にも顧みられなくなっていた。ウルリカは自分のつらい人生を語り自分のみじめさを訴えるが、セドリックはなぜ隙をみて殺さなかったのかと言い、ウルリカは名誉を取り戻すためにはそれしかないとうなずく。セドリックはそのまま城を出て黒い騎士たちと合流する。

黒い騎士の指揮の下、ロックスリーたちは城攻めを開始した。ギルベールらも奮戦するが、旗色が悪い。モーリス・ド・ブラシーは戦死し、フラン・ド・ブーフウルリカが城に火を放ったために、逃れられずに焼死した。ギルベールレベッカを連れて逃げるが、自由の身となったアセルスタンロウイーナ姫を連れて逃げようとしているのだと勘違いし装備もないまま立ちはだかり、ギルベールに脳天を叩き割られてしまった。

ウィルフレッドは塔の一室にモーリス・ド・ブラシーによって移され、レベッカが看護していた。火が回って危ういところをレベッカギルベールが連れ出し、ウィルフレッドはとり残されたが、黒い騎士が助け出した。

セドリックアセルスタンの最期を聞き、助け出したロウイーナ姫を連れてロックスリーと黒い騎士に感謝を伝えた。黒い騎士はこの借りを返してもらうつもりだと言った。

裁判

レベッカを連れ出したギルベールはアイマー僧院長の元へ戻ったが、ユダヤ人の女性を連れていることはすぐに知られてしまった。ギルベールレベッカに愛を告白し、受け入れてくれるならばギルベールは今の境遇を全て捨て、中東へ行って一緒に住むとまで言うが、レベッカギルベールの愛を拒絶した。レベッカは宗教裁判で聖堂の騎士を異教徒の身で誘惑し堕落させたとして死刑を宣告されるが、見知らぬ人からの助言で代戦士を求めた。レベッカのために戦う戦士が勝てば、レベッカが正しいことが証明され無罪となる。しかしユダヤ人であるレベッカのために戦うような人物はすぐには見つからない。レベッカウィルフレッドは重傷であることを知っており、彼にはに頼めないことは分かっていた。アイザックレベッカギルベールに捕えられたことを知って僧院へ向かったが追い出されてしまう。そしてレベッカの代戦士を見つけるために出発する。

セドリックアセルスタンの居城に行き、善後策を練ることにしていた。アセルスタンの葬儀を営むが、そこへ黒い騎士ことリチャード1世が現れた。リチャード1世は勘当された騎士ことウィルフレッドの勘当を許すように求めた。そこへアセルスタンがひょっこりと現れる。アセルスタンは実は死んでおらず、回復して戻ってきたのであった。アセルスタンロウイーナ姫が自分を愛していないことを実感しており、ロウイーナ姫との婚約を自分から取り消した。そして友であるウィルフレッドロウイーナ姫の仲を祝福する。2人共が結婚を求めていないことを知り、セドリックはサクソン王家の復権を諦め、ウィルフレッドの勘当を許した。ウィルフレッドは黒い騎士ことリチャード1世に傷が治るまで動かないように命じられるが、レベッカの件を聞き、直ちに僧院へ向かった。

ギルベールレベッカにこのままではレベッカも死に、代戦士も必ず自分に殺されると言い、翻意を促していた。共に逃げようというのであるが、レベッカは頑なに拒む。ついにギルベールレベッカのために戦おうとまで思ったのである。そこへ期限直前にウィルフレッドが来ると、ギルベールは今までの行きがかりもあり、レベッカを死に追いやることとは知りながら、ウィルフレッドと戦う。しかしウィルフレッドが勝ち、ギルベールは死んでしまった。

レベッカは無罪を勝ち取ったが、ウィルフレッドを愛しつつもロウイーナ姫ウィルフレッドの仲を知っており、身を引くかのようにスペインへ向かおうと父のアイザックへ言うのであった。

 この「アイヴァンホー」の歴史観に立脚したハーレクイン小説が以下。

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九世紀半ば、風光明媚なフランスはピカルディー地方―ときの皇帝ロタールに仕える有力貴族を父に持つシーアは、妹と二人、川のほとりで足をどろんこにして薬草摘みに興じていた。いくつもの称号を持つ高貴な身分の姫君だというのに、活発で奔放なシーアは、下女のような仕事着姿だ。そこへ忍び寄る一艘の小舟。中には野蛮なバイキングの姿があった。男たちの目的は、女性を大勢誘拐して自分の国へ連れ帰ること。敵に襲われて奪い去られた女たちのかわりに妻にしようというのだ。妹は逃がすことができたものの、シーアは敵の手に落ちてしまう。シーアが驚いたことに、バイキングかと思われた賊の首領は、いつか皇帝の剣技の大会で見て胸をときめかせた北の鷹、エマリー公ロドリックその人だった。ホークはシーアを高貴な女性とは知らず、不当な仕打ちをする。アルシーアライン姫とホークの、闘いのような恋が始まる―。

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長い旱魃と、隣国から侵入するバイキングたち。今後も雨が降らず、侵入者たちが暴虐の限りをつくせば、リームの民は死に絶えてしまうだろう。しかも、王子ヴェンの命を湖に捧げようと主張する者もいる。王女タラは宿敵バイキングの新しい首長に会いに行った。この手で雨は呼べなくても、和平を求め、贖罪金を要求することはできる。首長の名はイードン、“狼卿”の異名をとる青い目の男だ。彼はふたつの国の王から、タラとの結婚を命じられていた。リームの王女には、一生純潔を通し、森にある神聖な泉を守るという掟がある。それでもイードンはタラを征服したいと考えた。一方、タラも彼の男性的な魅力に抗おうと決意していた。弟のヴェンに危険が迫るまでは…。

許嫁を宿敵サクソン人に殺され、以来八年独身を通してきたマズランは、弟の妻にうとまれ、意に染まぬ結婚を押しつけられそうになっていた。助けを求めにノルマンディーから、わざわざ海をわたってイングランドに住む従兄に会いに来たのに、彼はすべてを保留にしたまま戦地に赴いた。ただ一つ、辺境の地にいる身重の貴婦人の世話をしろと言い残して。しかも、マズランの警護を命じられたのが、憎きサクソン人の戦士。長い金髪、ほっそりした厳しい顔、たくましい長身の体―エドウィンは確かに魅力的だが、態度は傲慢このうえない。不愉快なのは、その敵とも言える相手に惹かれていることだった。大胆にも彼は率直にマズランを求めた。エドウィンはわたしを守ってくれる…でもエドウィンから、誰がわたしを守ってくれるの。

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幼い頃獣に襲われ怪我の影響で子供は産めないといわれてきたヒロイン。その事から男爵の息子ヒーローとの縁談も破綻してしまった。しかし19歳になったヒロインは、再びヒーローと出会います。とても美しく成長したヒロインにヒーローはヒロインを妻に娶る事を決意するが、ヒロインの怪我の噂を聞いた王が、一年以内に子供を作らなければこの婚約は解消すると言い渡す。同時にヒーローを亡き者にしようと企むものも動き始めていた。

ヒーロー&ヒロインの情熱が光った作品です。

子供を作れるかどうか、まるで動物並みの扱いも当時は当たり前だと言う事がしっかりと書かれています。しかし女性をないがしろにしない、ヒーローの意識は紳士的で好感持てました。当時は女性は結婚で全てが決まりできない人は修道院とは大変な時代です。そしていざとなると女性は強いですよ。特に愛を知った場合は…決闘のシーンもヒーローのヒロインへの強い想いがしっかりと伝わりお気に入りの場面となりました。
本当の真実に気づいた王の最後の命令は皮肉ですね。

1066年イングランドのサクソン人にとって屈辱の年だった。大陸から侵攻したノルマン人が国土を制圧して王となり、サクソン人の貴族たちは領地を没収された。

カーライル領主の父と兄を戦闘で失ったあと、女手ひとつで領地を守っていた18歳のローズも選択を迫られた。征服者たちに逆らうか、従うか。逆らえば領民は惨殺される。だが、従えば…。不安は的中した。カーライルに来たノルマン人騎士は大柄で粗野、口より手のほうが早いという野蛮人!その男から、領地とともにローズも手に入れたと聞かされ、彼女は領民のことも忘れて鋭い舌蜂で抵抗した。相手が怒りを爆発させた瞬間、別の騎士が飛び出し、その場をとりなした。騎士の名はガストン・ソーン―カーライルの新しい支配者の弟。つまり、ローズが決して愛してはならない男性だった。

感想

**愛した人は領主の弟**
サクソン人のヒロインはノルマン人に家族を殺されノルマン人への憎しみを強く持っています。しかしノルマン人のヒーローと出会い、ヒーローを通してヒロインの偏見が無くなっていく様子が楽しめます。

ヒーローの兄も根はいいのですが、このご時世気を緩むと何が起こるか分からない時代背景が傲慢と冷酷さを生み出したのかもしれません。でもヒロインのいとこに出会ってから猫のようになってしまいましたが…見どころはヒーローのひたむきな情熱でしょう。自分の出生や生い立ちが根本にあるからでしょうか、ヒーローの言うセリフはとても深みがあり、誠実さをとても感じました。

サクソン人とノルマン人の間に翻弄されたヒロインは最後の方で全てなげうってしまうシーンはおかしかったです。

ほとほと疲れた様子が感じ取れます。

私としてはヒロインがヒーローにいとこの身分を打ち明けるのが遅すぎた気もしましたけどね。

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目覚めたとき、ジョージ・グラントは見知らぬ土地にいた。スコットランド沖を航行していた船が難破し波間に放り出されたが、奇跡的に岸に打ちあげられたらしい。だが、ここは北方の孤島。本土に戻るには船が必要だ。途方に暮れる彼に取り引きを持ちかけたのは、島の娘リカだった。金髪で青い瞳の彼女は、バイキングらしく戦いの装束に身を包み、女だてらに剣を携えていた。リカは、自分と結婚すれば本土まで船で送ると言う。なにやらきな臭いけれど、ジョージは拒むことができなかった。氷のような彼女の魅力にとらわれ始めていたのだ。

バイキングが襲撃してきたとき、イヴェーンは乱暴者の夫から逃げ出そうとしていた。だが見つかって柱に縛られ、幾度も鞭で打たれた。目の前の景色がぼやけ、もうろうとするなか、襲撃者が夫を殺すのを目の当たりにした。意識がはっきりすると、自分がさらわれたうえ、船上にいることを知って愕然とする。バイキングはいったいなんの目的でわたしを助けたの?いいえ、助けられたのではなく奴隷として売られるのでは?イヴェーンの胸に、新たな不安が押し寄せた。

むしろ「どうしてそうなったか」読み解くのにあらゆる歴史観を動員しなければならない壮絶さ…