2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧
米国の政治学者ベネディクト・アンダーソンは「想像の共同体(Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism、1983年)」の冒頭でこう述べています。 わたしの理論的出発点は、ナショナリティ、あるいはこの言葉が多義的であ…
ナチスの何たるかを知らないままナチス批判をする「自称」リベラリスト達の言動や行動がしばしばナチスそっくりに成り果ててしまったり、却って「ナチスの再来」を招いてしまう展開を迎える事があります。 同様に「ゴビノー伯爵の人種論」の何たるかを知らな…
ゴビノー伯爵が「諸人種の不平等に関する試論(Essai sur l'inégalité des races humaines、1853年〜1855年)」の中で描き出した歴史観は以下の様なものでした。 全ての文明は(男性原理と女性原理のバランスが取れた白人的な)ヤペテ人(Japhetic)が創造す…
ベネディクト・アンダーソン「想像の共同体(Imagined Communities、1983年)」 人種主義の夢の起源は、国民の観念にではなく、実際には、階級イデオロギー、とりわけ支配者の神性の主張と貴族の「青い」血、「白い」血、そして「育ち」のなかにある。とすれ…
英国薔薇戦争(1455年〜1485年 / 1487年) 当時の法律家ジョン・フォーテスキューの政治理論の中核をなすフランス式の「王的支配(Dominum regale)」理念と英国式の「王的・政治的支配(Dominium regale et politicum)」理念の鋭い対峙。 その背景には王の…
英国薔薇戦争(1455年〜1485年 / 1487年) 当時の法律家ジョン・フォーテスキューの政治理論の中核をなす「王的・政治的支配(dominium regale et politicum)」概念。ジョン・フォーテスキュー著『自然法論 第一部』(邦訳) そして、そもそもイングランド…
明治天皇は現役当時、国際的に「大帝」と呼ばれていました。「大政奉還(1867年)」「王政復古の大号令(1868年)」「版籍奉還(1869年)」「廃藩置県(1871年)」「廃債処分(1872年)」「廃債処分(1872年)」「秩禄処分(1876年)」をスムーズに成し遂げ…
近代国家出現は概ね百年戦争(1337年/1339年〜1453年)をフランス側が「リッシモン大元帥のブルターニュ軍編成」によって制したのが起源とされています。*その百年戦争は概ね「十字軍/大開拓時代(11世紀〜13世紀)の終焉、すなわち「欧州のフロンティア消…
絶対王政と国民国家の三題噺を突き詰めて考えると、避けて通れないのがこの問題。 世界各国で作られているオイルサーディンですが、イワシの詰め方には国民の気質が表れるようです。例えばペルーの缶詰は微妙にスカスカですし、フィリピンには円柱缶にイワシ…
世界史的見地からいえば大日本帝國は割としっかり、しかも迅速に「国民国家」への移行を済ませた部類に入ります。 ある意味それは当然の話。なにしろ「大政奉還(1967年)」「王政復古の大号令(1868年)」「版籍奉還(1969年)」「廃藩置県(1871年)」「藩…
そもそも「国民国家」とは何でしょう? 国民国家 主権国家において、国民主権が確立し、憲法と議会政治が実現した状態。ほぼ近代国家は国民国家に該当する。英語では、nation state という。 国民国家 - Wikipedia 歴史的にみると「国民国家」は、以下の過程…
「近代的ナショナリズム(Nationarism)」は、概ね現在では特定の国家や民族に紐付けされた政治的感情として理解されています。ところが前近代においては、そもそも「国家(Nation)」や「民族(Ethnos)」といった概念自体が存在していませんでした。
前回の投稿の続き。さて、大日本帝国はベネディクト・アンダーソンいうところの「公定ナショナリズム国家」だったのでしょうか? ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体(Imagined Communities: Reflections on the Origin and Spread of Nationalism、1…
私のフランス史の理解の仕方は随分とヒネくれてるかもしれません。 中世まで地域ごとに文化的にバラバラの状態だった領主と領民達を「臣民」として一元管理下に置く為、フランスにおいては「建前上」強烈な中央集権体制として見える絶対王政が成立した。*「…
19世紀におけるフランス料理の庶民化。本国で滅んで日本の「街の洋食屋さん」にその面影を留めます。ただしアメリカ経由の伝播なので色々適当。 日本やアメリカにおける「生鮮食品ナショナリズム」。特に日本の場合「納豆ご飯」とか「卵掛けご飯」とか「朝食…
日本語における最大の欠陥、それはFreedom(放置要求)とLiberty(制限解除要求)を同じ「自由」という言葉に翻訳していっしょくたにしてしまった事かもしれません。個々のそれは表裏一体の関係にあり、複雑な因果関係で結ばれていて、しっかり考えて構成し…
17世紀に入ると急速に「フランス宮廷料理」が成立。 その背景にある種のナショナリズムの様なものが垣間見えます。 オスマン帝国やイタリア諸国からの文化的独立(輸入香辛料からの脱却) フランス国内の郷土料理の糾合(地元の食材や料理法の積極採用) レ…
「フランスにおける臣民化と市民化の進行」には案外謎が多いのです。 こういう時には胃袋方面から攻めるに限る?
最近、今更ながら五味川純平「戦争と人間(1965年〜1982年)」を読んでます。 *「五代家の家長」由介(滝沢修)と軍国主義に染まった長男英介(高橋悦史)の喧嘩の場面に遭遇するにつれ「ああ五代家ってクルップ家がモデルだな」と思わざるを得ない。戦後の…
シャルル・ペローが散文童話集「寓意のある昔話、またはコント集〜がちょうおばさんの話(Histoires ou contes du temps passé. Avec de moralités : Contes de ma mère l'Oye.、1697年)」を発表したのはこんな時代。 ルイ14世(在位1643年〜1715年)とリシ…
*1945年9月7日に行われた琉球方面の日本軍の降伏式典、戦場には投入されなかったアメリカ軍重戦車M26パーシングが整列している。岡本喜八監督映画「激動の昭和史 沖縄決戦(1971年)」のクライマックスにはパットン戦車隊らしきものが登場するが、その直系…
ゲンロンβ11 渡邉大輔「マーティン・スコセッシ 監督『 沈黙 -サイレンス-』 」 すなわち、『沈黙-サイレンス-』とは、ひとりのポルトガル人司祭の信仰の物語が、全体の構成として、鬱蒼とした「日本的自然」の内部へと囲まれ、吸いこまれてゆく仕組みになっ…
岡本喜八監督映画「激動の昭和史 沖縄決戦(1971年、東宝)」を鑑賞しました。 それでふと思ったんですが、山本薩夫監督映画「戦争と人間第3部完結編(1973年、松竹)」って、この大作のパロディだったんじゃないですかね? 戦争と人間 完結篇 戦争の残酷さ…
「平等に貧しくなろう」という上野千鶴子の意見についてネット上においてさまざな議論が交わされている様です。 とりあえずハンナ・アーレントは「国民の平等を最優先課題に掲げた政権はすべからく自滅した」と述べています。考えてみれば当たり前の話なので…
これまで「(フランク・キャプラのスクリュー・コメディなどの影響を受けて成立した)小市民映画は、日本の軍国主義者からも社会主義者からも叩かれた」なる常套句を安直に使い回してきましたが、実際には多くの誤謬にまみれていた事をここに告白させて頂き…
最近ではそもそも「日本の家父長制とは何か」そのものが問われている様です。 「日本の家父長的家制度について 農村における「家」の諸関係を中心に」日本の家父長制とは何か①~家父長制に関する一般論の照合とフェミニストの登場日本の家父長制とは何か②~…
考えてみれば迂闊でした。 あれ? 「Frozen Forever(2015年)」で見覚えがあるイメージが…
「家父長制」や「家母長制」の概念は、当初「世界そのもの」に埋め込まれていた筈です。そもそも「社会」の概念すら「世界そのもの」に埋め込まれていたのですから、他の選択肢などなかった筈でした。
これまでの投稿を振り返って「国民」と「臣民」と「市民」の概念がごっちゃになってる事に気付きました。そもそもこの三者の厳密な区分って何?
江戸時代、出島を訪れた「オランダ人」には存外、ドイツ人比率が高かった様です。 ドイツ帝国(1871年〜1918年)建国の主体はプロイセン王国。その影響でユンカー(Junker、エルベ川以東の東部ドイツの地主貴族)が官僚や軍人の主要供給階層となった。 神聖…