諸概念の迷宮(Things got frantic)

歴史とは何か。それは「専有(occupation)=自由(liberty)」と「消費(demand)=生産(Supply)」と「実証主義(positivism)=権威主義(Authoritarianism)」「敵友主義=適応主義(Snobbism)」を巡る虚々実々の駆け引きの積み重ねではなかったか。その部分だけ抽出して並べると、一体どんな歴史観が浮かび上がってくるのか。はてさて全体像はどうなるやら。

【トルコ】【エジプト】【タイ】【恐ロシア】世界で今一体何が進行中なのか?

正直、トルコというと真っ先に思い出すのはこれだったりします。ラキ(水で割ると白濁する酒)の存在もこの漫画(1986年〜1987年)で初めて知りました。

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船戸与一「砂のクロニクル(1989年)」でも、イランからの独立を目指すクルド人の「正義のテロリスト集団」が活躍してました。当時の読者層は最近では「世界中の何人たりとも日本人を戦争に巻き込む権利はない!!」と叫ぶのに夢中で、今ではすっかり忘れてしまった様ですが。このままでは「日本人はクルド問題をエンターテイメントとして消費しただけだ」と言われても反論出来ない状態ですが、その一方で当時のメンタリティを保ったまま「いや、日本人なら誰もが今でもクルド人を英雄視し続けている」と主張し続けてる人達は、ちょっと近寄りがたい雰囲気を放ってます。まさしくこれが2010年代?
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 もちろん当事者にとっては「今そこにある危機」。しかも、それがらみでここへきてアメリカとトルコの関係が決裂?

トルコ軍は19日、シリアのアレッポ北部で米軍が支援するクルド人勢力の拠点を空爆し、少なくとも160人の戦闘員を殺害した。20日にトルコの国営メディアが伝えた。

トルコのアナドル通信社によると、トルコ軍は19日未明に作戦を実施、アレッポ近郊のマーラート地区にある拠点や武器庫18か所を空爆した。シリア北部のクルド人勢力に対するトルコの軍事行動がエスカレートしたことを象徴する作戦だ。NATO北大西洋条約機構)の同盟国であるトルコとアメリカの関係が一層悪化する恐れもある。


一方、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の最大拠点であるイラク北部のモスルでは、イラク政府軍とクルド人勢力が奪還作戦を進行中だ。トルコもISIS掃討作戦の一環でシリア北部の反政府武装勢力を支援する一方、同地域でイスラム過激派組織の掃討に成果を上げているクルド人勢力の台頭に神経をとがらせてきた。


今回の作戦はそんな最中に起きた。


トルコはクルド人武装勢力にはISIS掃討以外の目的があると疑っている。シリアのクルド民兵組織「人民防衛隊(YPG)」は、ISISが首都と位置付けるラッカがあるラッカ県の境までISIS戦闘員を撃退し、シリア北部を防衛していると主張する。だがトルコ政府から見れば、この地域で2つの行政区を支配下に置き、トルコとシリアの国境のシリア側に「ロジャバ」というクルド人の自治領を築こうとしているように見える。


トルコはクルド人勢力が自治を求めるいかなる動きにも反対し、シリアのクルド人組織YPGはトルコがテロ指定している反政府組織「クルド労働者党PKK)」と関係があると見なしている。PKKはトルコからの分離独立をめざして30年にわたり武力闘争を繰り広げており、これまでに数万人の死者を出した。


トルコ政府は2015年7月に約2年続いたPKKとの停戦を破棄し、PKKに対する掃討作戦やクルド人が多く住むトルコ南部での軍事作戦を強化した。トルコが今年8月にシリア北部への越境攻撃を仕掛けたのは、ISISの掃討だけでなく、クルド人武装勢力が支配地域を拡大することを牽制し、その野望を挫くためだった。


トルコにとってYPGは過激派組織であり大きな敵だが、皮肉にもアメリカはYPGをISIS掃討で最も頼りにしており、地上戦でISISを倒せる最も優れた武装勢力だと考えている。トルコの空爆によってアメリカの計画には狂いが生じかねず、両国の関係も緊張しそうだ。

 そもそもトルコといえば、しばらく前のクーデターの後始末って、どうなってるんでしょうか。全然ニーズがないのか、マスコミもほとんど黙殺状態…

「トルコの半分は、西のようになりたいと思っています。他の半分はシリアのようになりたいと思っている。アメリカが好きだ。」

東 まず、時事的な話題からお聞きしますが、7月にトルコの軍部がクーデターを起こして、失敗しました。中田さんはこの事件をどのようにご覧になっていますか?

中田 トルコの現状を伝える、興味深いアンケート調査を報じた記事がありました。現代トルコに詳しい内藤正典先生(同志社大学教授)のツイートで知ったのですが、トルコのあるシンクタンクの調査によれば、トルコ人のうち20%弱はイスラーム国の支援者であり、共感を抱いている人も20%強いる。つまり、合わせて約40%が、程度の差こそあれイスラーム国を支持しているという結果です。しかもこの数字は、1年間で倍増しているそうです。

東 半分に近いトルコ人がイスラーム国支持というのは、かなり衝撃的な数字です。ただ、その場合の「支持」とは何を支持しているのかが気になります。イスラーム国の思想に共感しているのか、それともさまざまな戦闘行為や破壊行為も含めて支持しているのか、どちらなんでしょうか?

中田 お答えする前に、この数字は少し誇張があるように感じることは言っておきます。おそらく半分ぐらいで見ておくのが妥当じゃないでしょうか。トルコという国は、いまエルドアン政権の支持者、すなわちトルコのイスラーム化を支持する人々と、イスラーム化を歓迎しない世俗主義者とで二分されているんです。もし先ほどの40%という数字が本当だとすると50%のうちの40%ですから、エルドアン政権支持者の8割がイスラーム国を支持していることになりますが、それはあり得ません。

東 中田さんの感覚だと、トルコ人のおよそ20%がなんらかの形でイスラーム国を支持しているということですね。それでも、驚くべき数字です。エルドアン自身はどういうスタンスなんですか?

中田 エルドアンは当然、イスラーム国に反対しています。でもそれは、ISが首を切ったり、遺跡を破壊したりしているからではなく、彼自身がカリフになりたがっており、ありていにいえば、エルドアンや彼の熱狂的支持者は、かつてのオスマン・トルコ帝国復活を願っているわけです。

東 じゃあ、カリフ制を標榜するイスラーム国はライバルになるということですね。

中田 その通りです。ISがカリフにいただくバグダーディーは、自分がカリフになるための目の上のたんこぶだからです。ただ、エルドアン支持者はイスラーム主義者なので、その点ではISに多少の共感が持てる。むしろ彼らにとっては、今回クーデターを起こしたような世俗主義者やイスラーム主義者のリベラル派のほうがよっぽど脅威であり、憎むべき敵になっている。だから、クーデター後には大変な粛清も行われたんです。

東 なるほど。イスラーム国のやっていることに積極的に賛同しているわけじゃなくて、イスラーム主義という点で薄く共感しているということですね。

世界を驚かせたのは、大勢の市民が街頭に出て、反乱軍の兵士に立ち向かったことだろう。怒った群衆が兵士を取り押さえ、暴行を加える異様な光景に人々は目を疑った。

大勢の男たちがレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の呼び掛けに応じてクーデターの鎮圧に協力した。今のトルコでは市民の自由は極端に制限され、政府批判はいっさい許されない。強権体質で悪名高いエルドアンを守るために、なぜこれほど多くの市民が立ち上がったのか。

エルドアンが強権支配に傾き始めてほぼ10年。エルドアンと与党・公正発展党(AKP)の支持者を除けば、トルコの人々はみな息苦しさを感じている。政府はメディアを統制し、法の支配を形骸化させ、非暴力の抗議を容赦なく弾圧してきた。トルコは表向きは民主主義の国であり、エルドアンは選挙で選ばれた指導者だが、市民の自由は完全に奪われている。


建国の父ケマル・アタチュルクが国是に掲げた世俗主義。伝統的にその忠実な守り手だった軍部は、イスラム政党のAKPと緊張関係にあった。言うまでもなくクーデターは権力奪取の民主的な手法ではない。だがトルコでは、国民的英雄であるアタチュルクが目指した民主的な統治を守るために、軍部が政治に介入してきた歴史がある。


エルドアン政権は2期目を迎えた07年以降、でっち上げの容疑による捜査で軍内部の世俗派の切り崩しを進めてきた。その手法は、政権転覆の企てに関与したとして上級将校を大量に逮捕し(その大半は厳格な世俗派だ)、政権寄りの人物をその後釜に据えるというものだ。こうした捜査では学者、ジャーナリスト、弁護士らも逮捕され、不寛容な統制ムードがトルコ社会全体を覆うようになった。国民の半数はAKPを支持しておらず、彼らの多くはエルドアンの強権体質に危うさを感じている。


だがエルドアンは今回、民衆扇動に長けたポピュリスト政治家の本領をいかんなく発揮し、あっという間にクーデターを鎮圧してみせた。国民の半数近くは反エルドアンでも、残りの半数以上の人々はエルドアンの熱狂的な支持者だ。エルドアンは、世俗派エリートの支配下で不遇をかこってきた保守的なイスラム主義者を優遇して、彼らの懐を豊かにし、自尊心をくすぐってきた。


イスラム主義者は半世紀も不遇に耐えてようやく手に入れた権益をそう簡単には手放さない。エルドアンが彼らを簡単に動員できたのはそのためだ。おまけに、反エルドアンの市民も再び軍政が敷かれることは望んでいない。つまり、クーデターが市民の支持を勝ち取る可能性はゼロだったということだ。独裁的なエルドアンは多くの市民に嫌われているが、軍事独裁の復活もまた、市民に歓迎されるはずがない。軍政時代の悪夢の記憶はトルコ人の意識に強く刻み込まれている。「最悪の民主主義でも軍政よりはましだ」――ソーシャルメディアではそんな言葉が飛び交っている。


中心的なメンバーとされる人々が次々に逮捕されている今も、未遂に終わったクーデターを誰が企てたかは不明だ。軍部にいた世俗派の残党かもしれないし、アメリカに亡命しているイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレンの支持者かもしれない。エルドアンが残った政敵を一掃するために仕掛けた自作自演のクーデターだ――トルコの人々の間では、そんな噂もささやかれている。まさかと思われるかもしれないが、この10年でっち上げの容疑で次々に政敵を葬り去ってきたやり方からすれば、あり得ないシナリオではない。


いずれにせよ300人近い死者を出し、何万人もの人々の自由を奪ったクーデター未遂で、政治的な勝利をもぎ取ったのはエルドアンだ。彼はこれを奇貨として、プーチン式の強権支配を一段と強化しつつある。表現と結社の自由は今やAKPの支持者だけに認められた権利だ。


法の支配と報道の自由はとっくに骨抜きにされている。トルコの人々の生活は今後ますます息苦しいものになるだろう。

近年の「クーデター」が、かつてトルコがお得意にしていたような古典的クーデターとは違ってきている。

その最たるものが、2013年のエジプトでの軍事クーデターである。ムバーラク政権を民衆の路上抗議活動によって倒した後、曲がりなりにも民主的な選挙を導入し、イスラーム主義のムルスィー政権が誕生した。選挙で政権を取ったイスラーム主義政党として、トルコのAKP(公正発展党)政権との類似性が指摘された。


だが、ムルスィー大統領は、誕生から一年後に軍の手によって政権の座から引きずり降ろされた。その後、一応「選挙」によって軍人のスィースィーが大統領に選ばれるが、実質的な軍事政権であることは疑いがない。


問題は、2013年の軍クーデターが市民の声に後押しされて成功したことだ。軍がムルスィーを引きずり下ろす前、カイロなど各地で反ムルスィーの大規模デモが繰り返されていた。その混乱を収拾するとして、軍が出てきたのである。そこで、軍の政治介入を歓迎する「市民」と、民主的に選ばれたイスラーム政権を支持する「市民」が、真っ二つに割れた。


この現象は、エジプトに見られるだけではない。拙編書ではタイの事例を、タイ政治研究の第一人者、玉田芳史・京都大学教授に書いていただいたが、そこで明らかになったのは、タイでも選挙で多数を獲得したタクシン政権に対して、それを支持する「市民=赤シャツ」と反対する「市民=黄シャツ」とが対立、2014年に軍のクーデターを呼び込んだという事実である。選挙で政治参加を果たした中・下層社会の「市民」が政権の庶民受けする政策を歓迎する一方で、中・上層社会の「市民」はエリートとしての誇りをもって政権のポピュリストぶりを批判する。その構造は、2013年時点のエジプトと似ている。

つまり2、3年前に相次いで発生した軍クーデターは、市民社会そのものが激しく二極分解しているところで起きたといえよう。そして、民主化の重要な前提条件とみなされてきた「市民社会」が、民主化の結果成立した政権を軍という非民主的手段で倒したところに、解明すべき深刻な課題がある。それは軍自体の問題というより、分極化した市民社会の問題である。


トルコのクーデター未遂事件では、市民社会の軍の介入に対する忌避感が非常に強調される形となった。戦車の前に立ちふさがる、反乱軍人に手で向かい合う、といった姿は、アラブ世界でいえば「アラブの春」の初期に、カイロなどでしばしば見られた、心を打つ映像である。


だがそれは、その後のエジプトやタイで見られたような市民社会の分極化を、トルコが免れることを意味するのだろうか。エルドアン大統領の強権化に対する市民の反発は、高まっている。軍の政治介入は言語道断だとしても、それはすなわち現政権支持を意味しない。エルドアン支持層の庶民層に対して、エルドアン批判を展開する中・上層の、特に知識人層の間に、亀裂は存在する。その亀裂が、今後どのような形で政治に反映されるか。クーデター関与者に対する粛清を明言しているエルドアン大統領への一層の権力集中は、さらに反対派の神経を逆なでするだろうが、それがどういう形で「噴出」するか。


ちなみに、エジプトのスィースィー大統領は、国連安保理がトルコのクーデター反乱部隊の暴力への非難を決議しようとしたことに反対し、結果、決議は採択されなかった。トルコではクーデターの背景にアラブ諸国あり、といったうわさも飛び交っているようで、市民社会の分極化とともに、中東域内の分極化もまた、深刻だ。

なるほど、こういう状況でロシアが日本へも接近を図ってるって次第なんですね。何が恐ろしいって、こうして世界中で進行中の「市民二極化現象」がアメリカでも起こってる様に見えるあたり。