2010年頃から眺めてきたけれど、このパターンは初めて目にしたので記録。「そもそも国際SNS上の関心空間って何?」という人は以下を。
- 大統領選挙の開票が始まるまでは、日本のTwitterの方が関連話題で賑わってたくらい。わざわざ検索しないと投稿が見つからないほどの沈黙状態。
- トランプ優位の報道がなされると関連投稿と回覧数が爆発的に急増。通常のタイムラインまで侵食を受ける。
*そもそも国際SNSはFacebook上に安住の地が見つけられない女性や非白人やLGBTQA系の人々の溜まり場なので、むしろ反応としては鈍感な方。
Me watching the Florida and North Carolina maps... - Yamino
- 数時間に渡って「Turump Supporterは全員Unfollowしてくれ」「フロリダ、アメリカは貴様を許さない」「もう死ぬしかないじゃない」「Trumpに投票した人々が私を殺した」「Sanders支持者が足を引っ張った」「Third Partyに投稿した人はTrumpに投票したのと同じ」みたいな感情的投稿が飛び交う。
*印象的だったのは「Turumpだけは駄目だ」とか「どうしてClintonじゃ駄目なの?」みたいな候補者そのものへの言及が恐ろしく少なかったこと。まぁ間違いなく、こうした候補者自身への関心の薄さが「事前の沈黙」の原因。
let me tell you about my boat (trump taking the lead in florida like)
DINGO | http://www.electricbunnycomics.com/View/Comic/175/A...
- 決着が着く頃にはかえってパニックは沈静化。(国際SNS上では自殺や痩身症の示唆が犯罪視されてる事もあり)死を扇動するタイプの投稿への自主規制が始まり「誰も積極的にはClintonを応援しなかったからこうなっただけだ」「Trumpに投票した人がこれだけいたという事は、いまだ我々がアメリカにとって歓迎されざるマイノリティだって事。そんなの最初からわかってたじゃないか」みたいな客観的意見もチラホラ流れてくる様に。やがて「Trumpは共和党議員も敵に回していて、これから支持者か議会か選ばなきゃいけない。まずは様子を見よう」。「どうせ公約のほとんどは実践不可能だし、それでも強行するなら世論を味方につけて叩き潰す」みたいな内容の長文回覧が相応の回覧数で流れてくる様に。
*「叩き潰す」…口先だけじゃなく、2012年にネット上に一斉蜂起してSOPAを撤回させたメンバーの残党なので、波の起こし方とそれが起こせないタイミングを心得ている。
アメリカだけでなくカナダや中南米のアカウントも結構混ざってる筈なのに一丸となって動いてる感じが不気味。ただ全般的に(ヒスパニックを含む)カソリック層の動きが鈍く、こちらも動員できないと「一斉蜂起」成功は難しいとも。
①米国の報道によれば「国際SNS上の関心空間」に詰めてるのは以下が特徴の「ミレニアル世代」の筈なのだが、どうもノリが違う。昔から違和感を覚えてきた。
②フロリダの動向に注目し「フロリダ、アメリカは貴様を許さない」と発言したのは、どうやら(祖国とアメリカの関係正常化を望まない)キューバ人亡命者がトランプに投票したと考えたかららしい。
③「Sanders支持者が足を引っ張った」「Third Partyに投稿した人はTrumpに投票したのと同じ」という発言は、おそらく以下の動きに由来する。
【ニューヨーク=平野麻理子】米大統領選で民主党の候補指名を最後まで争ったバーニー・サンダース上院議員を熱狂的に支援した若者の票が漂流している。第三の政党を支援したり、投票を放棄したりする行動が目立つという。
「私たちの支持率が上がってきています!」。大統領選が目前に迫った4日夜、米東部ニュージャージー州の大学構内で開かれた集会に、100人超の支持者が集まった。壇上にいるのは、共和党のドナルド・トランプ氏でも、民主党のヒラリー・クリントン氏でもない。小政党「緑の党」から大統領選に出馬したジル・スタイン氏だ。
緑の党は環境保護や国民皆保険制度の確立、公立大学の学費無料化といったリベラル色の強い政策で知られる。民主党の政策と重なる部分があり、大統領候補争いでクリントン氏に敗れたサンダース氏の支持者の一部がスタイン氏の支持にまわっている。「ジル・ノット・ヒル(ヒラリーではなくジルに投票を)」が合言葉だ。
スタイン氏が「バーニーを支持していた人は遠慮なく立ち上がってください」と呼びかけると、客席の半数以上が立ち上がった。スピーチでも若者の関心の高い学生ローンに度々言及し、拍手喝采を浴びた。
会社員のジョセフ・カープさん(28)はサンダース氏を支持していたが、スタイン氏に投票することを決めた。「ヒラリーは支配階級の代表で支持できない」という。
スタイン氏が大統領に選ばれる可能性はゼロに近いが、大統領選に与える影響はゼロではない。2000年の大統領選では同じ「緑の党」から出馬したラルフ・ネーダー氏が全米投票総数の3%近くを獲得。民主党候補だったアル・ゴア氏の票が流れ、ジョージ・ブッシュ前大統領の勝利につながったとされる。米CBSニュースとニューヨーク・タイムズによる最新の共同世論調査では、スタイン氏の支持率は4%にのぼる。
サンダース氏は自身の支持者に、クリントン氏に投票するよう必死に訴えてまわるが、若者は冷ややかだ。「自分にとっては学生ローンの問題を解決してくれる候補を選ぶのが一番大事」。サンダース氏の元支持者で大学生のキース・レンジさん(20)は言う。
投票を放棄する若者も少なくない。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上ではハッシュタグの「#votefornobody(誰にも投票しない)」がはやる。米NBCテレビとウォール・ストリート・ジャーナルの調査では「選挙にとても関心がある」と答えた若者(18~34歳)は4年前の60%から54%に低下した。
悩んだ末に、ヒラリー氏の支持にまわるサンダース氏の元支持者もいる。ニューヨーク在住のエンジニア、ジョーダン・ハリスさん(24)は「第3政党に投票したら、トランプが当選してしまう」。クリントン氏に事前投票を済ませたが、「この国にこれ以上いても仕方がないとさえ感じる」と嘆く。一部の若者にとっては未来を託せる候補者がいない状態にため息が広がっている。
一部報道は「国際SNS上の関心空間」に詰めてるのも彼らとするが、実は「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)運動(2011年)」以来の宿敵同士。
*さらには背後にAnonymous左派の匂いが…
参加者は当初、数百人程度だったが、数千人規模へと膨れ上がった。大半が20~30代の若者。「トランプ氏は私の大統領ではない!」「人種差別主義者を許してはいけない!」「希望を失わない!」などとスローガンをそれぞれ口にした。その後、デモ隊は、トランプ氏の自宅がある五番街の「トランプ・タワー」へと向かった。
ちなみにこうした左派の本拠地はカナダで、だから、何かあるとすぐ「アメリカが駄目になったらカナダに亡命すればいいじゃない」なる話になるとも。そして同時にアメリカ人(およびカナダ人)の「オーストラリアへの同族嫌悪」 が剥き出しとなる。普段は「マッドマックス(Mad Max)シリーズ(1979年〜)」も、(ヒュー・ジャックマン演じる)ウルヴァリンも、ミュージカル映画「レ・ミゼラブル(Les Misérables、1862年)」も喜んで受容してるくせに。
彼らは自分たちの意見をある種の「機械学習(Feature learning)」として形成するので、得られる答えもそれなりには洗練されているが、だからといって全てが正解とも限らない。ここに列記された「亡命キューバ人のせい」「左派の妨害のせい」なる指摘の妥当性についても、さらなる検証が必要な事はいうまでもない。
むしろここで重要なのは今回の大統領選挙を通じて「自分達(すなわち「国際SNS上の関心空間」)こそがアメリカの価値観を代表している」なる、ここ数年の間に培われてきた共同幻想が破れたという事。しかもその状況に打ちひしがれていたのは僅か十時間未満で、最終的には選挙当日におけるオバマ大統領のTweat「今日、何があっても明日にはまた明日の太陽が昇る(No matter what happens, the sun will rise in the morning)」なる諦観論が大勢を占めた事。
それにしても日米の報道やTwitterの投稿とここまで内容がズレるとは…
一体何を信じれば良いのやら。
アメリカは日本国民以上にマスコミ信用してなくて 言ってることも信じないし 聞かれたら本音も話さないんだろうな ということが今回の大統領選挙の感想 #報ステ #報道ステーション #tvasahi
— Yoshitaka Ohta (@yonbili) 2016年11月9日