どらえもんのひみつ道具「石ころ帽子」を連想させる生物が存在する様です。
要するに、これを被った人間は誰の視野にも入らない…
タカラダ二。コンクリートの表面にすむ身近な生き物なのに人畜無害なので誰も研究しようとしない。研究してもまったく金にならないので詳しい生態がまったくわかっていないという謎生物。先行研究がないって素敵やで
— 新米先達mayan (@mayan1969) 2018年5月2日
タカラダニをご存知ですか? https://t.co/KgblYN7nUQ pic.twitter.com/rTWOoDLSTR
5月の連休明け頃から、日当たりの良い公園のコンクリートポットや階段、ご家庭の門壁やベランダ、橋の橋脚などさまざまなコンクリート壁に、小さな赤いムシがたくさんチョロチョロ動き回っているのをご覧になったことはありませんか?
この生き物、昆虫ではなくダニです。若葉新緑の季節に突然、しかも大量に発生します。場合によっては室内に入り込んだり、洗濯物についたりするので、迷惑がられています。正確には、ダニ目前気門亜目タカラダニ科アナタカラダニ属のカベアナタカラダニBalaustium murorum(Hermann)という種です。
この季節に、全国のあちこちで大量に見かけられることが報告され、不快という苦情が寄せられるようになったのは1980年代頃からです。当所の衛生害虫統計でも、最初の苦情報告は1987年です。このダニ、その生活史や生態など、不明な点がたくさんあります。
- まず、5月から長くて7月にしか見られないこと。そして、見つかるのはすべてメスであること。このダニで、オスが見つかった例はなく、単為生殖を行っているのではと考えられています。
- えさは何かもよくわかっていないのです。花粉を食べていることは確実なようです。コンクリート製の建造物にたくさん見つかるのは、コンクリートなど多孔質の材質にたまり、くっついている花粉や有機物を食べているのではないかと考えられています。
- ヒトへの被害も不明ですが、日本では確実なヒト刺咬例は報告されていません。アメリカで同種のダニで刺咬被害があったという報告はあります。前気門類のダニは、ストロータイプの口を食べ物に差し込んで、えさを吸い取るという食事の摂り方をします。ですから、偶発的に、ヒトを刺すということがあり得ないわけではありませんが、まず心配はありません。タカラダニの苦情は、赤くて小さいものがうようよいるので気味が悪いという理由が大半で、気味が悪いから刺さないかどうか教えてほしいという相談が多いのです。
*アブラムシの幼虫を捕食する種もあるらしい。- タカラダニ類の中には、幼虫期に、セミ、カマキリなどの昆虫類に寄生する種がいます。もともとは、セミに赤いダニがくっついていると宝物を抱えているように見えるということから、この種のダニをタカラダニと呼ぶようになったと言われています。
気持ち悪いと決めつけず、この季節だけに現れてくる、不思議なダニ、タカラダニ。その生態をじっくり観察してみませんか? 新しい発見があるかもしれません。
「1980年代以前には一切の記録に登場しない」 というのも凄い話…これでは後期ヴィンと現シュタインいうところの言語ゲーム(Sprachspiel)に参照される余地がありません。
いや、正確には「何か気持ち悪いから、見掛けたら駆除する害虫の一種」という認識くらいはあるんですね。ある意味「事象や言語ゲームの地平線としての絶対他者を巡るサイクル」の最初のステップである「黙殺」段階や「拒絶」段階はこのレベルで善意や悪意すら介在の余地がないのです…
しかしながら、ここから這い上がってくる存在も…
情報通信の世界では、あらゆるモノをインターネットにつなげようという「IoT」の技術が、製品開発や産業応用の中心となりつつある。そのIoT分野で6割以上の市場占有率を誇るのが、日本で生まれたコンピューター用基本ソフトウェア(OS=オペレーティングシステム)「トロン」だ。このトロンが、米国電気電子学会の標準規格として認定される手続きが進んでいる。順調に進めば、国産のOSが、「世界標準」になる。
IoTという言葉を最近よく目にしたり、聞いたりするという人は多いだろう。インターネット・オブ・シングスの略で、「モノのインターネット」と訳されることが多い。生活空間のあらゆるモノ、あらゆる場所に小さなコンピューターやセンサーを組み込み、ネットワークにつないで便利な情報化社会を目指そうという技術である。ひと昔前まで「ユビキタス・コンピューティング(ユビキタスはラテン語であまねく存在するという意味)」と言っていた技術と同じだ。
1980年代は「どこでもコンピューター」と呼ばれていた。その基本となるアイデアを提唱したのが、坂村健博士(東洋大学情報連携学部長、東京大学名誉教授)だ。坂村博士は、昨年3月に東京大学教授として最後に行った講義で「私が30年以上研究開発してきたIoT=どこでもコンピューター=が、ようやくビジネスになる時代が来た。私は時代を先取りしすぎていた」と、しみじみ述懐していた。
トロンは「ザ・リアルタイム・オペレーティングシステム・ニュークリアス」の略で「機器をリアルタイム(実時間)で作動させるOSの中核部分」という意味である。坂村博士は東大助手だった1984年「トロン計画」を提案した。
坂村博士は、いずれIoT社会(当時そういう名称はなかった)が到来し、あらゆる家電製品や自動車などにコンピューターが組み込まれ、ネットワークでつながるようになると予想した。そこで、機器に組み込まれるコンピューターを制御する「組み込み用OS」として広く使えるようにと、トロンの開発を始めたのである。当時は、基板に中央演算処理装置(CPU)やメモリーなど最小限の部品を載せた簡素なコンピューターである「マイコン」が一部の機器に組み込まれ始めたばかりで、今から振り返ると、博士にはかなり先見の明があったと言える。計画には東大のほかに日本電気、日立製作所、富士通、松下電器産業(現パナソニック)、三菱電機など国内大手電気メーカーも参画し、当時としては珍しい産学協同プロジェクトの形で進んでいった。
OSと聞くと、パソコン用OSのウィンドウズを思い浮かべる人が多いだろう。クラウドサービス(外部に保存したデータやアプリケーションなどをネット経由で呼び出して使うサービス)などに用いられる大型コンピューターでは「ポジックス」というOSが主に使われている。スマートフォンのアプリケーションを動かすアンドロイドOS(アンドロイド端末用OS)やiOS(iphone端末用OS)もポジックスのプログラムを部分的に使っている。こうしたコンピューター用のOSは「情報処理系OS」あるいは「汎用OS」と呼ばれている。
これに対し、電子機器などに組み込まれている小さなコンピューターを制御するOSが、組み込み用OSだ。例えば、自動車に使われている。自動車の電気系部品と言えば、かつてはヘッドライトに方向指示器、ワイパー、ラジオくらいのものだった。ところが現代の自動車には、GPSを搭載したカーナビゲーション、車内温度を一定に保つエアコン、エンジン回転数や排ガス温度などを測定して最適量のガソリンを供給するインジェクション(燃料噴射装置)、障害物を検知して作動する自動ブレーキなど、非常に多くのセンサーや作動部品が組み込まれている。それらを統御する頭脳として数多くのコンピューターが積み込まれ、その制御にトロンが使われているのだ。
デジタルカメラでは、トロンがレンズを動かしてフォーカスを合わせたり、絞りやシャッタースピードを高速で自動制御したり、画像処理を行ったりしている。温度と蒸気を計測しながら加熱を調節する電気炊飯器にも組み込まれている。あらゆる家電製品、エレベーターなどビルの設備機器、オフィスのコピー複合機、工場内の機械制御、ロケットや人工衛星の内部ネットワークにもトロンが採用されている。2010年に小惑星イトカワから奇跡的な帰還を果たした探査機「はやぶさ」、その後継機で小惑星「リュウグウ」へ向かっている「はやぶさ2」もトロンによって制御されている。
スマホもアプリを動かすのは情報処理系OSだが、画像処理やフラッシュメモリーへの書き込み、カメラやバイブレーター、ディスプレーなどを制御しているのはトロンだ。スマホの陰の主役は、実はトロンなのである。
どうしてトロンはデファクト・スタンダードとなることができたのか。一つは、生みの親の坂村博士の意向で、初めからオープンな形で開発が進められた点にある。トロンはだれでも無償で自由に入手でき、自由に変更を加えることもできる。30年前、米国から貿易摩擦のやり玉にあげられたとき、実はトロン計画には10社以上の外資系企業が参加していた。本当は「純国産OS」ではなく、「国際共同開発OS」と言うべき存在だったのである。坂村博士は、米通商代表部のヒルズ代表に「トロンは貿易障壁には当たらない」と訴える手紙を送ったそうだ。トロン計画を引き継いでいる団体「トロンフォーラム」には、マイクロソフト社も中心メンバーの幹事会員企業として加わっている。
もう一つは、IoTが注目されるずっと以前から開発されてきたことだ。だれでも自由に使える組み込み用OSでしかも多量のメモリーを必要としないものは、トロンのほかになかった。
トロンフォーラムの幹事会員企業の一つパーソナルメディア社の松為彰社長によると、80~90年代は日本の半導体産業が強く、半導体を制御するOSとしてトロンが世界中に広まっていった。「一度使い始めたものは、よほどいいものがほかに出ない限り、無理に替える必要はありませんから」(松為社長)。
そして電気・通信の分野で世界最大の標準規格策定団体である米国電気電子学会(IEEE)が、トロンフォーラム(会長は坂村博士)にトロンの著作権譲渡を求めてきたのも、トロンがデファクト・スタンダードであることを認めたからだ。坂村博士は昨年8月、IEEE標準化委員会のコンスタンチノ・カラカリオス事務局長と会談し、組み込み用トロンの最新版である「マイクロTカーネル2・0」の著作権を譲渡する(両者が著作権を共有する)契約書にサインした。
「『ミスター坂村、あなたはよく頑張った。これからは私たちがトロンを発展させてあげよう』と言われた。どうしようかと思ったけど、譲っちゃうことにしました。もちろん無償ですよ」。調印の2か月後、坂村博士は、譲渡の理由を尋ねた筆者にそう答えた。
IEEEは電気・電子関連の幅広い技術分野で約900件もの標準規格を定めている。その規格が世界標準になっているおかげで、世界中で同じ工業製品を使うことができるのだ。例えば、どこの国を訪れても自分のスマホが無線LAN(WiFi)につながるのは、世界中がIEEEの定めた無線LAN規格を使っているからだ。情報処理系OSとしてパソコン以外では圧倒的なシェアを占めるポジックスも、IEEEが標準規格として認定したOSである。
「われわれが標準化(標準規格として認定)すれば、トロンはよりグローバルに受け入れられるようになるだろう。トロンの未来は明るい」。標準化作業部会のスティーブン・デュークス議長は、昨年12月に東京・六本木で開かれたシンポジウムでそう語った。
作業部会での標準化作業が終了し、標準化委員会で認められれば、トロンは晴れてIEEEの標準規格となる。事実上の世界標準から、公式の世界標準となるのだ。早ければ年内に認定される見込みだ。世界標準になれば、トロンを多く採用している日本の工業製品には追い風になることだろう。
組み込み用のトロンは情報処理系OSよりも構造がシンプルなので、例えば発展途上国の技術者であっても、先進国の大手メーカーの協力を仰がなくても、独自に製品開発に利用できる。IEEEは、標準化によって、途上国でもトロンの利用が広がるだろうと予想している。
それでもやっぱり一般人の認識的には「蚊帳の外」のまま…後期ハイデガーいうところの「集-立(Gestell=ゲシュテル)システム(特定目的の為に手持ちリソース全てを動員し様とする総動員体制)」の対象に選ばれただけでは破れない壁も存在する?