そもそも「誰かと一緒に冒険の旅を続ける」とはどういう事なんでしょうか?
- カール・マルクス「経済学批判(Kritik der Politischen Ökonomie,1859年)」における「我々が自由意思や個性と信じているものは、社会の同調圧力に型抜きされた既製品に過ぎない」なる指摘、フロイトの精神分析における「人の行動は自らの意思に拠るだけでなく無意識や超自我の統制を受けている」なる指摘と合わせドイツ社会学の発足を促したという(マルクス=フロイト主義=ドイツ的方法論的個人主義の出発点)。逆をいえば、マルクスについては、ラッサールと決別する以前のそうした業績しか思い返す事がなくなった(資本論1巻に漫談的面白さがあった事は覚えてる)。
- ティモシー・リアリーに至っては、海外でネットMemeとして定着した「Turn on Tune in Drop out」なる標語以外、全部忘れ去られてしまった感がある。
コンピューターの意識拡張の可能性に真っ先に気付いてドラッグから足を洗い、ウィリアム・ギブスンを唆してサイバーパンク文学を書かせた人だったりもする訳だけど、そういうエピソードも最近はあまり思い出さなくなった。
ある種「テセウスの船」問題のバリエーションと言えるかもしれません。
そして…
ぼくは哲学というのは、「一緒に考えてくれるひと」のために書かれるもので、飛ばし読んで「あーはいはいこれってあの件ね」と読む人のために書かれるものではないと思うんです。学術論文の大半は後者の飛ばし読みでよくて、いまは学者の哲学も多いからややこしいんだけど、この差は決定的なんですね。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年9月22日
これは文体とも密接に関係していて、僕はある時期から完全に「一緒に考える」読者に焦点をあててスタイルを変えている。その変化の意味が掴めないひとは他人の本でいつまでも飛ばし読みやっててください、というのがさきほどの発言の趣旨です。こう書いてもわからないひとはわからないだろうけど。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年9月22日
そういえばさっき触れたひとは「美術作品は一瞬で見て論評できるから楽」とも話したことがあって、あーだから僕とは合わないんだなとも思いました。美術も「一緒に時間を過ごしてくれるひと」のために作られるものだと思うんですね。ギャラリー見てぱぱっと値段つける人のために作られるものではない。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年9月22日
これはいわゆる「TEDで3分で済む話をゲンロンでは3時間かける」問題にもつながりますが、このような消費と時間の関係は本質的だと思います。資本主義は構造的に早い消費を求める。そのほうがたくさん売れて儲かるから。でもそれは人生を貧しくする。僕は「ゆっくり消費される」ものを作りたいのです。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年9月22日
ぼくが最近、むかしの主題を繰り返し論じているように見えるのも同じことです。哲学者ってそういうものだと思う。何回も何回も同じ問題を考える。その経路が少しずつ違う。そこに発見があり、その発見が読者と共鳴し思考を一歩進める。それがわからないひとは哲学なんて読まない方がいいと思う。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年9月22日
といったところで最後のオチとして唐突にまとめると、例の「湾岸ミッドナイト」をぼくが好きなのも以上の理由からです(笑)。同じ車を、何度も何度もチューニングして、同じ首都高を何度も何度も走る。哲学もそういうものです。どんどん車を買い替えるような人生は、哲学的ではありません。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2021年9月22日
自分にはもう何十年と考え続けている出来事や作品がありますが、自分の変容に伴って新しい発想や認識が得られる事があるし、その新たな発想自体が僕自身の変化にもなっているのでよくわかる気がします。でもそういう事って本当は誰でもしている事ですよね。
— にゃん太 (@Suzuki_Tutomu) 2021年9月22日
そう、まさにこういうやりとりの狭間に「テセウスの船」問題が…
漫画「湾岸ミッドナイト」、タダで読めるからて延々と読んでいる。
— 伊藤ヒロ@「女騎士さん、ジャスコ行こうよ」 (@itou_hiro) 2021年9月24日
絵がどうとかストーリーがどうとか、そういうのと関係なく、とにかくセリフがカッコいい漫画。
主人公やライバルでなく自動車屋のオヤジたちがひたすら無意味にカッコいい。
クズなのに。
全員ダメ人間たちなのに。
この漫画、ヘンに情報量多いな。
— 伊藤ヒロ@「女騎士さん、ジャスコ行こうよ」 (@itou_hiro) 2021年9月24日
こんだけずっと読んでるのに、まだ15巻とかそこらか…。
買って読むならお得感あっていいけど、タダで時間制限ある状態だとキツい。
(↑漫画内の自動車屋のオヤジたちは、こういう姿勢をやたらバカにする)
漫画『湾岸ミッドナイト』、基本的には「やたらカッコいい『ラーメン発見伝』」だからね。
— 伊藤ヒロ@「女騎士さん、ジャスコ行こうよ」 (@itou_hiro) 2021年9月24日
むしろ芹沢さんの一歩先の話。
タダ働きして自動車屋は大損して、おまけに車も壊れて、客も大怪我して借金だけ残る。それで、
「ま、そーゆうモンだから」
と、みんな納得して終わる…という感じの話。
漫画の影響で、
— 伊藤ヒロ@「女騎士さん、ジャスコ行こうよ」 (@itou_hiro) 2021年9月24日
「ゆう」
「そー」
「くくく」
みたいな表記増えそう。
そういう側面も。