不勉強にてそう指摘してる人が見受けられないのですが「シンウルトラマン」なる作品の最大の特徴は「ウルトラマンの商業的成功などが生み出した第一次怪獣ブームから、オイルショックなどの影響もあって収束した第二次怪獣ブーム(変身ブーム)まで」をスクラッチする事によって(ウルトラQに刻印された)1960年代前半のスパイブーム的雰囲気と1970年代後半の国際謀略物的雰囲気を直結させ、独特の「緊迫感の時間的連続性」を生み出した点にあるんじゃないでしょうか?
これ案外「(昔の記憶が曖昧になっていく時間的遠近法が利用可能になった)21世紀だから可能になった展開」でもあるんですよね。
今回の投稿の発端は以下のTweet。
あとシン・ウルトラマンの本編冒頭映像はテロップだらけで興ざめなこと甚だしく、どうせなら石坂浩二氏かご存命なら浦野光氏にナレーションを……というか、そもそも言葉は不要と思う。「禍威獣」なる表記も、大人たちに呆れられつつ「怪獣」という文字を喜々として書いた元お子様としては納得いかない
— 芦辺 拓 (@ashibetaku) 2022年5月30日
円谷印を庵野印に変えたいという事で、強烈な自己主張なんでしょう。元々オリジナルの発想あってこその企画なので、正直原案に対してのリスペクトが足らないなぁと。海外にありがちな、オリジナルに出演していた俳優のカメオ等も最初から頭になかったのでは。
— 春髷どん (@nishinosnow) 2022年5月30日
テロップといえば、市川崑金田一ですし。
自己主張のあかしといえば納得ですね。いっそうムッともしますけども。
— 芦辺 拓 (@ashibetaku) 2022年5月30日
まぁ「ウルトラQのテーマ」って音楽史的には「007殺しのテーマ」と同じく「エレキギターが(ダークジャズの1パートとして)非情感を表した時代」に含まれますからね。まさしく怪奇物や国際謀略物の主題歌…
グループサウンドの影響を色濃く受けた「ウルトラマン の主題歌」の軽快でリズミカルなが何故本編で流れなかったかも、おそらくこれで説明出来そうなのです。
そしてこの辺りを「スクラッチ」して「オイルショック以降の不安の時代」すなわち横山光輝「マーズ(1976年)」「その名は101(1977年~1979年)」やのドライな雰囲気に直結させるセンス…
「あの映画の「禍威獣」はいにしえの(外星人の)生物兵器(を、人類の環境破壊が目覚めさせた)設定なんですよ。」
— Mau🐈⬛🐾🐾 (@chatblanc111) 2022年5月24日
だからその「いにしえの(外星人の)生物兵器」という設定自体がもう既に元作破壊と言えるし、ましてオマージュとは言えない。ウルトラマンA じゃないんだよ。ウルトラマンなんだよ。
実は映画鑑賞中「それ実は、横山光輝「マーズ」では?」とは思いました。「まず先兵として人類の進化レベルを倒す怪獣(変電所や原子力発電所を襲うタイプ)が覚醒し、これが倒されると「人類を滅ぼす本隊(ザラブ星人)」が稼働する」というシステマティックな感じが。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月24日
×進化レベルを倒す○試す。「マーズ」でいうとタイタンさんの事ですね。そこから「人類擁護派」マーズと「人類殲滅派」六神体が分かれて戦う事に。https://t.co/GXrbwjHrmq pic.twitter.com/3IFXfKUJcL
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月24日
ただし「ウルトラマン=神永新二」が「人類の可能性」について真剣に検討した末に「自助の成功体験」を得るのを条件に存続を認める立場に到達のに対して、マーズは「地球人の事がそれほど好きじゃなかったので」あっけなく地球を滅ぼしてしまうのです。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月24日
だからこの映画のキーワードが「そんなに地球が好きになったのかウルトラマン」で、まさにそこがザラブ星人やメフィラス星人とウルトラマンの差異として現れた訳です。そこまでは考えましたが「それウルトラマン?」はまた別問題かと。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月24日
手口としては小松左京「エスパイ(原作1964年~1965年,映画化1974年)」辺りが先行例?
実はかかる「(2020年代だから可能になった)時間遠近法による魔法」なる手口「ザラブ星人M.I.A.の暴虐」を「再生の為に必要だった物語」として組み込んだ「パリピ孔明(2019年~)」でも有効活用されたりします。2010年代にはこんな解釈怖くて誰も口にできませんでしたわ、全く…
「SPYxFAMILY(2019年~)」に至っては「マルクス主義の概念が存在しない20世紀後半の東欧」が舞台ですからね。ある意味最も色濃く「時間遠近法による魔法」が使われてる作品とも。というか、ここまでくると、もはや「達磨落とし」の世界?
ちち おかえり#SPY_FAMILY pic.twitter.com/nNzZDV0mlJ
— じのう (@Jinou_rakugaki) 2022年5月8日
そういえば確かに「パイナップル・アーミー」や「マスター・キートン」や「モンスター」も、日本の「第二次世界大戦後の東欧」の重要なイメージ・ソースだったりしますね。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月9日
「日本における漫画的欧州イメージ」形成に確実に大きな足跡を残してます。
シェイクスピアを見て「こんなの巷で有名な台詞を集めただけじゃない!」と言った人がいたそうですが、その気持ちを心の底から味わっている
— monae (@monae) 2022年5月14日
黒澤明監督「お前のいる場所は」手塚治虫「我々が三千年前に」大友克洋「通過した場所だ」浦沢直樹「そうだそうだ」?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月14日
一人だけ風呂敷畳めない作家が混じってますね
— 樹里 (@pawanekokun) 2022年5月14日
「時間遠近法による魔法」自体は別に新しい手口という訳でもなく「(史実より観客の期待を優先した)シェークスピア史劇」の時代にはもう使われてた訳ですが…
そんな感じで以下続報。