「村八分」という事…
今回の投稿の発端は以下のTweet。
破門された者の末路
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
ドイツ語に「vogelfrei」という単語がある。フォーゲルフライと発音し「破門された」という意味を持つ形容詞。宗教用語なので、日常会話ではまず使わない。習うこともない。
この単語、ドイツ語を勉強した人ならわかっていただけると思うが、ものすごく響きが良い。
vogelは英語で言うとbird、要は鳥ね。freiを英語にするとfree、これは自由という意味だね。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
つまり、言葉の響きだけ聞くと、鳥が自由に飛び回るようなイメージなので、ネガティブな要素は全く感じられない。それが何で破門というワードにつながるのか?
はじめこの言葉の響きとその意味するものを聞いた時、「破門されることで、カトリック教会という枠組みや規範から、まるで鳥が大空を羽ばたくように自由になる」から、こういう“ポジティブな”ワードが産まれたのかなと理解した。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
しかし、真相はまるで違う。
中世ヨーロッパではカトリック教会が絶対だった。人々に信仰の自由などは無く、産まれてから死ぬまでカトリック教徒であることが求められた。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
“カトリックに非ずんば、人に非ず”を地でいく社会だったのね。それを象徴する出来事として有名なのが「カノッサの屈辱」。
1077年、カトリック教皇グレゴリウス7世が、対立したローマ王(後に神聖ローマ帝国皇帝になる)ハインリヒ4世を破門に処した。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
ハインリヒ4世は、破門を解いてもらうべく、グレゴリウス7世が滞在していたカノッサ城を訪れ、許しを乞うた。
雪の中、裸足で飲まず食わず3日間立ったまま許しを乞うたというのが定説となっているが、実際にはそこまでではなく、かなり脚色されたものらしい。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
ただ、謝罪が受け入れられ、破門が解除されたのは事実。この出来事を指して「カノッサの屈辱」という。
カトリックのローマ教皇は皇帝すら凌駕する力を持っていた訳ね。こんなカトリック教会が支配する社会で破門されたらどうなるだろうか。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
まず、家、土地、田畑、その他財産が全て没収され、文字通り身ぐるみ剥がされて路上に放り出される。
破門された人間に関わった者は、同じく破門されてしまうため、誰も彼らを助けようとはしない。見て見ぬふりをされるのね。逃げようにもヨーロッパ中がカトリックなので逃げようがない。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
水も食料も得られなくなると、命を繋ぐことができず、当然ながら死んでしまう。しかし、恐ろしいのはこれから。
彼らの遺体は埋葬することすら禁じられているのだ。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
つまり「遺体は鳥(vogel)が自由(frei)に、ついばむに任せなさい」ということ。この状態を指してvogelfreiと言う訳。まるでチベットの鳥葬みたいな感じだけど、それより酷い。葬ってすらいないからね。ただ放置するだけ。
現実の残酷さを言葉の響きのキレイさで隠したのか、それとも残酷さを皮肉ってあえてキレイな言葉で装飾したのか…よくこんな言葉思い付くよね。ワードセンス尊敬するわ。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
最後にこれだけ覚えて帰ってくれよな。
「訓読みの訓(クン)は、音読みです」
ー 完 ー
黙示録に「すべての鳥がその(神の敵の)肉を飽きるまで食べた」という言葉があるので、その辺が出所なのかも……?
— くろいえのぐ (@enogu) 2022年7月17日
>現実の残酷さを言葉の響きのキレイさで隠した
— 鎗崎 火炉貴 (@bnut4UFWRUMsw9p) 2022年7月16日
水晶の夜もこの類ですね
「Kristallnacht(クリスタルナハト)」ですね。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月16日
ご指摘の通りと私も思います。
参考になりました、ありがとうございます。
— Kyoko (@chourikun_) 2022年7月17日
まさか日本の「村八分」みたいな意味だと思っていませんでした。
そうですよね。着地点そこ!?って自分も驚きました。
— けんこまけん (@kemkomakem) 2022年7月17日
ドイツ語「vogelfrei:破門された」という言葉がある
— 吉村英崇⏰8/28が誕生日と覚えなくて良いのよ _(:3 」∠ )_ (@Count_Down_000) 2022年7月17日
破門された人間の遺体は埋葬すら禁じられた「遺体は鳥(vogel)が自由(frei)に、ついばむに任せよ」https://t.co/v7wnGqYxUz
マトメで紹介させて頂きました。
そんな感じで以下続報…