ところで「ロードムービーっぽさ」の本質は何?
今回の投稿の発端は以下のTweet。
「1970年代うる星やつら」には「主人公が人類全体を敵に回して逃げ回るロードムービー風漫画」になるかと思われた回が1話だけありました。Kindle版第1巻3話「悲しき雨音(1978年)」に続く第4話「みんなにあげる(1978年)」。当時の状況に目を向けてみましょう。 pic.twitter.com/SN6lPvUzAo
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
まずは石ノ森章太郎「人造人間キカイダー(1973年~1974年)」が他の特撮ヒーロー物との差別化を果たす為に「行方不明になった光明寺博士を探す旅」を続けるロードムービー構成を採用。企画原案まで遡ると「抜け忍が刺客と戦いながら逃避行を続ける」60年代忍者物の影響が。https://t.co/nxQRhLIDN7
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
そして小林旭主演の日活映画「渡り鳥シリーズ」の影響を色濃く受けた石ノ森章太郎原作の特撮ヒーロー物「快傑ズバット(1977年)」。「人造人間キカイダー」に引き続いて長坂秀佳が脚本を手掛けた。科学者の友人を殺した真犯人を突き止める為の復讐の旅。https://t.co/L70P4hYeWi
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
そういえばアダルト・バンドシネの映画化「バーバレラ(Barbarella,原作1964年,映画化1968年)」も名目上は「行方不明となったアンドロイドのデュラン・デュランを探す旅」だったのです。こちらはオデュッセイアみたいなギリシャ航海記由来?https://t.co/hsicGhl8RE
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
「フレッシュ・ゴードン(Flesh Gordon,1974年) 」なんて謎めいたエロ映画もありました。そんな時代…https://t.co/d3pOpI4IUg
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
ちょっと毛色が違いますね。マカロニウェスタンの残り香も感じます。「非情で絶望的な設定下、正体を隠す必要が生じる」横山光輝の非情な旅の方がイメージに近そうです。最終戦争に参戦したくなくてタイムマシンで逃亡を続ける恋人を追い掛ける「時の行者(1976年~1979年)」。https://t.co/OUl0NzZR2d
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自らの血を輸入され超人化した人工エスパーを始末して回る横山光輝「その名は101(1977年~1979年)」のバビル2世。異星人が人類を滅ぼすべく送り込んだ最終兵器が最終的に人類を見限って任務を果たす「マーズ(1976年~1977年)」も含め冷戦を背景とする何の救いもない展開。https://t.co/agX8RSHSjA
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
高橋留美子の初期作品は「勝手なやつら(1978年)」からこういう世界観に食糧危機や燃料危機を絡め「危機感皆無の人物」を絡めておちょくる事が多かったのです。実際「悲しき雨音」も、当時の日本人に「オイルショック(1975年)再来を恐る心理」が潜在したから時期の作品。https://t.co/KXORRLSDWq
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
実際には「逃亡者」あたるはたった1回。「憑依体質」サクラさんから疫病神を押し付けられ友引町の諸星家に引き戻されます。この諸星家の雰囲気、その父母のイメージも含め山上たつひこのギャグ漫画「がきデカ(1974年~1980年)」に近く、どうやら相応の影響を受けた雰囲気が。https://t.co/VZ1wECy43d
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
ちなみに、当時「うる星やつら」の様なニヒリズムを基底とするスラップスティック作品は吾妻ひでお「ふたりと5人(1972年~1976年)」「やけくそ天使(1975年~1980年)」の様に「思わぬタイミングで思わぬ形でエロやバイオレンスが暴発(過剰または過小)」をウリとしていたのです。https://t.co/OPh0VcRDYW
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
その反面、こうした爆発性を日常感ある特定のキャラクター群の連続的人間関係に落とし込むのを苦手としていましたが(ぶっちゃけインパクト優先でキャラは使い捨て)、この壁を乗り越え「ルーミック・ワールド」と呼ばれる安定した世界観を構築したのが高橋留美子の長期的成功の第一歩に。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
切り出し方としては随分と雑ですが、こうして集めた作品群にはもう一つの特徴が垣間見られます。そう手塚治虫、永井豪、小池一夫、深作欣二監督といった幅広いクリエーターの間に見受けられた「スターウォーズの国際的人気にあやかろう」ムーブが垣間見られないのですね。https://t.co/98sEhTiGjx
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
それでは「スターウォーズ(1977年)の影響を受けなかった作品群」に共通する特徴は?それについては以下続報…https://t.co/wWY6udoQOL
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月22日
そんな感じで以下続報…