中国系アメリカ人のSF作家テッド・チャン(姜峯楠)の手になる「あなたの人生の物語(Story of Your Life、1999年)」を原作とするドゥニ・ヴィルヌーヴ監督映画「メッセージ(Arrival、1016年)」。どちらも基本形はいわゆるファースト・コンタクト物なのですが、まずは「何と何が出会う物語なのか」が重要となってきます。
Journal of the British Interplanetary Societyで発表された新たな研究によれば、宇宙人は進歩の末デジタル化しており、そのデジタル化した文明を維持するには現在の宇宙の温度では高すぎるため、より寒冷化する未来まで休眠状態に入っているというのです。デジタル化した宇宙人というのは何とも突飛で、宇宙の温度が高すぎるというのもいまいちピンとこない話...。しかしこれは真面目な研究結果なんです。
中国系アメリカ人のSF作家テッド・チャン(姜峯楠)の手になる「あなたの人生の物語(Story of Your Life、1999年)」を原作とするドゥニ・ヴィルヌーヴ監督映画「メッセージ(Arrival、1016年)」は、日本において「史上最大の傑作」とも「史上最大の駄作」ともいわれていますが、確実にこうした流れの一環に位置付けられる作品。なので相応に時間をかけて解釈を試みたいと考えています。
とはいえ日本においてもまた「日本における悪事は全て在日か北朝鮮か中国の工作員が関与している」などと連呼している連中については同類の誹りを免れ得ません。アメリカ人なら「フランス人の同類かよ?」と言い出しかねない有様。そうフランスにもまた、すぐ「悪人は全てアフリカの元植民地から渡ってくる」と言い出す「大陸的悪癖」がしっかり根付いているのですね。「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(Captain America: The Winter Soldier、2014年)」においても、とある海賊/国際的テロリストがフランス国籍である指摘がなされると、フランスのエージェントが即座に「そいつはアルジェリア人に決まってる!!」と決めつける場面がありました。あまり見習いたくないステロタイプではあります。