この「独裁政権への抵抗を三本指で示す態度」、映画「ハンガー・ゲーム(原作2008年~2010年、映画2012年~2015年)」由来なのだけれど、正直評判がよくありません。世界中の若者がコンテンツとしての「ハンガー・ゲーム」を見捨てる契機となったし諫山創「進撃の巨人(Attack on Titan,原作2009年~2021年、アニメ化2013年~2021年)も巻き添えを喰らって忘れ去られる羽目に陥ったからです。
由来は、独裁国家パネムを描く米SF映画『ハンガー・ゲーム』で、民衆が独裁への「抵抗」「反逆」の印として掲げるサイン。それが現実世界で、権威主義的な強権への抵抗のシンボルとして一般化したのは、一四年に起きたタイの軍事クーデターの際だったといいます。
さらには、同年、若者らが民主化を求めた香港の「雨傘運動」でも象徴的なサインとして用いられました。
#ミャンマー #クーデター から半年、東京駅丸の内口前では、ミャンマー人の若者らが、日本の支援に感謝する集会を開催。#新型コロナ の患者を助けようとする看護師らを国軍兵士が妨害するという寸劇も披露された。 pic.twitter.com/fbLsUKv1nn
— 北川成史/Shigefumi KITAGAWA (@Shige_Kitagawa) 2021年8月1日
今の東京駅前、沈みゆく夏の夕日の下、ミャンマー民主派の集会と、いかにも幸せそうな新郎新婦の写真撮影と、ワクチン接種会場の案内が半径100メートル以内に共存してめっちゃ面白い空間になってる pic.twitter.com/C1nmIMsCZa
— 秘取認可者 (@_3013975) 2021年8月1日
ミャンマーの友人より、昨日の東京駅前デモにおける北角さん(かつてミャンマー国軍による拉致投獄から解放されたジャーナリスト)のアピールの模様が送られたので、シェアいたします。ミャンマー国民への感謝の思いを切々と訴えていらっしゃり、目頭が熱くなるのを覚えました🙏 pic.twitter.com/mMWkx2dllA
— ホーリー (@holy_hory) 2021年8月2日
本来「ウォール街を占拠せよ(2011年9月17日~11月15日)」運動は体制側から妥協を引き出したスペインの「インティグナドス運動(2011年)」、及び台湾の「ひまわり学生運動(2014年)」をこそ戦果として記憶に留め、先に進むべきだったのです。
2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが、連邦裁判所に連邦倒産法第11章の適用を申請し、リーマン・ショックが発生して以来、アメリカ合衆国だけでなく、世界中が世界金融危機の不景気に喘いできた。特にアメリカの19歳から20代前半の若者(ハイスクール卒、大学卒)の4割は職業がなく、それに対し有効な対策を打てないアメリカ合衆国連邦政府に対する(主に中流層が抱く)不満が、このデモ呼びかけに賛同させたとされる。
2010年末より、アラブの春と呼ばれるSNSを発端とする連鎖的な市民革命が中東各地で発生し、2011年5月にはスペインで、のちにインティグナドス運動と呼ばれる組織的かつ大規模な占拠デモが発生していた。 2011年9月16日にはニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグがラジオ番組に出演し、悪化する若者の雇用状況を放置すれば、カイロやマドリードと同様にニューヨークでも暴動が起きかねないと警告するなど、溜まった不満の向かい先を心配する声が挙がっていた。
ところが世界中のリベラル層はむしろ彼らの「現実との妥協」を裏切りと認識して徹底弾劾しつつ、ヴィクトル・ユーゴー「レ・ミゼラブル(Les Misérables,1862年)」のミュージカル版挿入歌「Do You Hear the People Sing?」を楽しそうに合唱しながら玉砕していったトルコ「タクスィム広場運動(2013年)」や香港「雨傘運動(2014年)」の「主義に殉じる潔癖さ」をこそ称揚してしまったのでした。
国際的に若者はこういう奥田民生「人の息子」の歌詞にある「戦え若者よ、ワシらが楽になる、大活躍するのを待っている」的大人の無責任な態度が大嫌いです。
ミュージカル映画「レ・ミゼラブル(2012年)」の大ヒットに際しても、国際SNSの関心空間上の若者達は「21世紀左翼の戦陣訓」と認識された「Do You Hear the People Sing?」について一切触れず「(あの「ウルヴァリン」が自らのアイデンティティについて悩む)Who Am I?」や「(同じく激動の時代をどう生きるか若野の自信が主体的に悩む)Red and Black Song」ばかり回覧していたのが印象的でした。
- 確かに勝てない戦争を始めた愚を、次々と全滅していく島嶼防衛隊を美化する事で誤魔化そうとした末期大日本帝国に一片の大義もなかった。しかしその現実を受容した以上、現実との妥協点を見つけた「勝者」を「裏切り者」と貶めつつ「玉砕者」のみを称揚し続けるその態度が(最前線で戦い死んでいく事を期待され、強要される若者達の目に)それ以上の邪悪として映る可能性に配慮しなければならない筈なのである。
- この考え方についてはかつてこうした反論を受けた事がある。「これだからネトウヨは正義について何も分かってないと世界中から笑われ続けるんだ!! 大日本帝国は不正義の遂行を嫌がる若者達に犬死を強要し続け永遠に許されない罪の烙印を負った。それに対して正義を遂行する若者達は老人達の必死の説得にもかかわらず、常に自ら勝手に「これが真の自由だ!!」と誇らしげに喜び勇んで勝手に死んでいくだけだ。我々が良心の呵責を感じる道理など一片もないのだよ」。彼らにしてみればSEALDsですら自ら喜んで勝手に捨て駒となる道を選んだだけであり、その事で悲惨な余生を送る事になっても一切後悔しない設定であるらしい。
- 私は常に「こんな老害ども、命の捨て甲斐もない」と見捨てる若者側の立場に立っていたが、彼らに言わせればそれこそ「ネトウヨ側の典型的な冷笑的態度」であり、正義の側に立つ限り「同志に一切の良心の呵責を感じされる事なく、喜び勇んで捨て駒として勝手に死んでいく若者達」には事欠かないというのである。そもそも「レ・ミゼラブル」原作者そのものがこうした現行不一致の始祖であり、七月王政に抗議して六月暴動で玉砕したフランスの愛国的な若者達(実際にはその主体は七月王政に裏切られた急進共和派と外国人労働者達だったが、その手柄すら横取りした形)を称揚しつつ、物語中で主人公ジャン・バルジャンに「自らの分身」マリウスを救出させ、自らも現実の世界では七月王政で立身出世を経験している。
特に女性アカウントが「(ジャン・バルジャンが母親にした仕打ちの後悔に配慮したせいで)本人は一切努力せず救済される」コゼット(Cosette)を黙殺し(ディズニー・ヒロインでも同様の立場にある「眠れる森の美女」のオーロラ姫の人気が最悪なのに準じる)、逆境にもめげず(愚かな形ながら)自分なりの愛を貫こうと「On My Own」を歌うエポニーヌ (Éponine、「まどマギ」のさやかちゃん枠?)に同情を集めたのが印象的でした。「ハンガーゲーム」や「進撃の巨人」が若者から見捨てられ(その愚をいち早く悟ったかの様な巧みな対応で「メイズ・ランナー」と「東京グール」が巻き添えを回避し得)たのはそういう時代だったのです…
ふと思い出したのでメモがてら。
ミャンマー 国軍によるクーデターから半年の今日。
— ミャンマーオタク🇲🇲 (@mingalar_myan) 2021年8月1日
ネット上でミャンマー人は自由や民主主義を履き違えて捉えているとか、ミャンマーには軍政がお似合いだとかという投稿を見かけることがある。いまのほとんどのミャンマーの方々は軍人が政治や社会に根をどこまでも張っている時代を生き、知っている
教育に、政治に、社会に軍人がいることが生まれてから普通であった。
— ミャンマーオタク🇲🇲 (@mingalar_myan) 2021年8月1日
民政移管が起き、すっごい今まで実感したことのない感覚、世界が急に入ってきた。一朝一夕で変わることはない。全てが過渡期にある。徐々に徐々に。ミャンマーのためにがんばろうって。多くの人が思った。
学校で自由に物事を考えて発言し、国会でヤジが飛び、色んな考えを持つ政党が選挙に出て、国民は任せたい党に投票する。色んな新聞、テレビがあってそれぞれに色がある。政治に意見が言える。それらがいかに幸せなことなのか。隣に座るミャンマー人の恋人が泣きながらそんなことを言っていました。
— ミャンマーオタク🇲🇲 (@mingalar_myan) 2021年8月1日
こんな話も?
ミャンマーの友人から。
— 乃南アサ (@asanonami) 2021年7月31日
「コロナウイルス感染者はヤンゴンを含め地方でも増えています。昨日、イギリス国連大使はミャンマーのおよそ半数の人口(三千万人ほど)が2週間後までに感染する可能性があると発表しました。酸素不足を含め医療環境が崩れているので大変です」 pic.twitter.com/iSZQLwDmbh
ミャンマーの友人から。
— 乃南アサ (@asanonami) 2021年7月29日
「酸素不足でバタバタ死んでいる感染者に対して軍政は火葬場を増やすだけということに国民は衝撃を受けているのに、火葬場で処理しきれないご遺体はゴミ処理場まで運ばれることが分かりました。ミャンマーでは人が亡くなったらゴミになってしまう時代になりました」 pic.twitter.com/Xc5pqdFhAu
ミャンマーの友人から。
— 乃南アサ (@asanonami) 2021年7月27日
「国民の要求を無視し色々困らせて、国民からの反撃や抗議を弱めようとするのも独裁者の一つの戦略だと皆が思っています。これが長く続くと犠牲者もますます増えるでしょう」
およそ人ごととは思えないメッセージ。 pic.twitter.com/QMi3bwaHH3
ミャンマーの友人から。
— 乃南アサ (@asanonami) 2021年7月31日
「ミャンマーの南の地域は大雨で洪水になっていてコロナウイルスのボランティア人たちも大変です」 pic.twitter.com/ScNp6s2KgL
ミャンマーの友人から。
— 乃南アサ (@asanonami) 2021年7月26日
「酸素充填に並ぶ若者たちは、ボランティア。家族全員が感染した家は外に白や黄色の旗を出します。するとボランティアの若者が代わりに手伝います」
とのこと。だが、そうして感染する若者も少なくないと。友人は「お手上げの状況です」と締めくくった。 pic.twitter.com/lFAXQqEn9E
ミャンマーの友人から。
— 乃南アサ (@asanonami) 2021年7月30日
「軍政はヤンゴンの酸素工場に軍政が任命した係員のサインをした許可証がないと酸素ボンベを受けないように命令しました。前は工場に直接行けば誰でも並んで充填できたのに。長時間並んで充填するだけでも疲労困憊するのに。苦しんでいる感染者に残された時間は本当に少ない」 pic.twitter.com/CWwphBO3BP
ミャンマーでは今も市民や僧侶が虐殺され、中国・人民解放軍の関与が指摘されています。「平和の祭典」を嘲笑うように、アジアに恐怖政治が広がっていることを忘れていけない。https://t.co/NbpcF5E1lM
— 釈 量子 (@shakuryoko) 2021年7月31日
そういえばチュニジアでもこんな事が起こっているのです。
独裁返りか? チュニジア「アラブの優等生」報道が無視してきたこと
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) 2021年8月2日
大統領サイードの全権掌握に対しては、反対デモだけでなく、賛成の声もある──欧米メディアが使い続ける「優等生」という表現が誤解を助長してきた、チュニジア政治と民主化プロセスの複雑性とはhttps://t.co/Ol0g3TJETG
そういえばアメリカも…
アメリカの人種問題 ラテン系は小さいので怖くないけど,黒人はデカくて暴れるので下駄を履かせよう,その分おとなしいアジア系に割りを食ってもらおうという差別に差別で挑むソリューションになっていて地獄。
— Spica (@Kelangdbn) 2021年8月2日
アメリカ社会は完全に,ゴネ得ならぬ暴れ得になってる。
— Spica (@Kelangdbn) 2021年8月2日
紳士的に振る舞うのが損という地獄。
むしろこれは現在先進国における「中世的不安定状態」から「近世的安定状態」への推移を対応させるべき状態と言えるかもしれません。
『確かに復讐はスカッとするし尊厳の回復でもある』ことはわかるが『仇の遺児あたりが5年後くらいに完全武装の傭兵団と領主の免状持って敵を取りに来る』とか鏖してても『仇の住んでたとこの領主貴族が領民の復讐を名目に兵隊率いて街を大劫掠』とかというアフターストーリーありそうですね(中世脳)
— meteor (@star_3975) 2021年8月2日
そこで族滅ですよ(九族悉くのアレ) https://t.co/qSpuA9Flnl
— インペリ (@INPERI_centurio) 2021年8月2日
なお敵側領主の略奪と借金踏み倒しの名目になるのは防げない模様
— meteor (@star_3975) 2021年8月2日
しゃーないね!!!暴力の分野で負けるならそこまでなんじゃ……!!
— インペリ (@INPERI_centurio) 2021年8月2日
個人的復讐の清算の為と騎士や傭兵ずらりと揃えた正規軍で襲いかかるのは無粋だし明らかに建前でしかねぇだろおめぇーになるのじゃ(国主や領邦君主による流血法廷の解散や平和令も残当のアレ)
— meteor (@star_3975) 2021年8月2日
名目がどんな物であれ使える名目があったらそれでやったるわ!!感すごいやつ好き。
— インペリ (@INPERI_centurio) 2021年8月2日
使えるなら村境の畝一つを巡る2つの村の小作人間の喧嘩ですら名目になるんじゃ〜()
— meteor (@star_3975) 2021年8月2日
欧州において中世と近世の狭間に「動物裁判」や「魔女狩り」が現れたのは(それぞれが勝手な独自解釈に基づく多種多様な自然法を奉じて独自暴力に拠って自立する)伝統的領邦や地域共同体が割拠し(殺し合いを含む)直接衝突を通じて利害調整する中世型地域分割統治」が限界に到達し、それらを解体しての「(暴力を独占する中央集権が領民間の利害衝突を客観的立場から仲裁する法実証主義に立脚する)近代国家」への移行が必須となったからなんですね。
そうした歴史的経緯から「Second best」の処方箋としての「近代国家=法実証主義社会」を否定すると、たちまち「(特定主体の)究極の自由は(他者にも自由がある事を徹底して否定し抜く)専制の徹底によってのみ達成される」自由主義のジレンマに基づく強者独裁肯定イデオロギー(およびその反動としての革命肯定イデオロギー)に行き着いてしまいます。
まだちゃんとした形で言語化出来ていませんが、実際欧米では既に21世紀に入ってから「近代国家概念」そのものを否定しようとする急進派リベラリズムが「中世暗黒時代への回帰願望」と結び付けて語られる様になりつつあるのです。
#Olympics がなければ誹謗中傷の機会自体がなかったわけで、「わたしたちに出来ること」の最たるものは中止させることだったはずだし、そもそも各自の身の安全そのものを心配せざるを得ない状況で選手を守ってる余裕があるのか https://t.co/8our4JTTj7
— Dan Kogai (@dankogai) 2021年8月1日
五輪を開催したから、選手を誹謗中傷するという理屈が分からない。
— 心如「石頭ですけど、なにか?」 (@ojizou3) 2021年8月2日
そんな事を、警察の事情聴取で言っても情状酌量の余地は無いと思うけどね。、🤔
これも放射能で見た。
— 竜田一人 (@TatsutaKazuto) 2021年8月1日
デマを流して、風評加害、誹謗中傷、被災地差別しておいて、「こんなことを言わせた原発が悪い」って開き直ってた連中の屁理屈と同じ。 https://t.co/rj2tDvUNCs
とんでもない詭弁
— akutu syuuji (@uimontyo) 2021年8月1日
世の中舐めてますわ。
映画『天空の蜂』にもこういう場面がありましたなあ。親が原発関連の仕事をしている子供が「放射能菌」「原発屋はしね」などと学校で酷い虐めの標的になり、屋上から投身自殺をするのだけど、《虐めた子が悪い》ではなく《原発が悪い》《原発さえなければ》という話の流れになっていくあれ。 https://t.co/uW1hFOF3XM
— 井上リサ (@JPN_LISA) 2021年8月2日
こうして確実に勝てるゲームですら落とし続けてきた末路が現在のリベラル層?