まさしくオーギュスト・ブランキの発言通り「革命に勝利はない。急進派への弾圧は政権交代に成功したまさにその瞬間から始まる」の世界?
今回の投稿の発端は以下のTweet。
この辺りの「最近の若手左翼はカール・マルクスの名前も知らない?」問題、もしかしたら共産主義諸国において近年「マルクス主義そのもの、およびその大源流とされるカール・マルクスの思想」に直接触れるのがタブー視される様になって話と結びついてくるかも? https://t.co/7V4lB80Ll7
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月15日
そもそも東アジアは先例に満ちてますね。王朝末に政権打倒の大義名分づくりにもてはやされるも、いざ政権交代が遂行されるとたちまち危険思想として弾圧される歴史を繰り返してきた「美刺論」「讖緯説」そして「(孟子の)易姓革命論」…https://t.co/FCYhV3IQiU
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月15日
まぁ欧州における大本は(神聖ローマ帝国皇統ホーエンシュタウフェン家が滅ぼされて以降、無主の国であり続けてきた)スイス人の急進共和主義。各国の統治形態の伝統への敬意なんて微塵もないので「権力は必ず腐敗する(ので定期的に一新しないといけない=ブルクハルト)」…https://t.co/lvnaEsbpFu
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月15日
「そもそも都市建設する神への反逆。みんな田舎で分散して暮らせばいい(ルソー)」とスイスを理想視して言いたい放題。そしてその与太話を迂闊に頭から信じて実践しようと試みたのが革命期フランス(ナポレオン戦争と合わせ国民の1/5が死亡)やポルポト政権(国民の1/3が死亡)…https://t.co/jnFSIfpL0N
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月15日
だからこんな危険な考え方、普段は選ばれた「インテリ=ブルジョワ=政治的エリー階層」だけがアクセス可能とし、それを学んだり独自解釈を加える事を禁じられた無知蒙昧な庶民階層は彼らが善導する、という考え方に自然と行き着く次第。おっと既視感が。やり口が中世カソリック協会そっくりでは?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月15日
×中世カソリック協会⚪︎中世カソリック教会。実は「原典を読ませない」一方、カキテズモ(特定の地域や時代に対応した部分パッチ)などで聖職者間の連携を破綻させないやり方自体は、意外と…どころか、かなり合理的?https://t.co/AAfH6nb4sp
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月15日
ただしこの方式が無条件に有効なのは「領主が領民と領土を全人格的に代表する農本主義的権威主義による国土分割状態」を前提に、商人組合や職人組合や諸都市がそれに準ずる影響力を備え、さらに建前上これらの世俗勢力に対して超越的に宗教的権威や王権が存在する状況に限る。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
欧州についてはかかる秩序体系、概ね王侯貴族、聖職者、及びその供給階層といったランツィエ(不労所得階層)によって構成されるインテリ=ブルジョワ=政治的エリート階層による「発話と同意のシステム」の独占状態を最初に決定的な形で破ったのはプロテスタント信徒の登場とされる。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
ただし「アウグスブルグの宗教和議(1555年)」と領邦教会制(それぞれの領土と領民を全人格的に代表する領主単位でプロテスタント(ルター派)とカソリックのどちらに帰属するか選択されるシステム)導入によって、その影響範囲ではイングランドやフランスや北欧の様な絶対王政台頭が見られてなかったとも。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
実はそれ自体はヘルムート・プレスナー「遅れてきた国民-ドイツロマン主義とナチズム-」によって広められた考え方。 https://t.co/tuiWzYAobr
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
ヘルムート・プレスナーの考え方の基底は宗教戦争を契機に英国が国教会、フランスがガリカニムス中心に主権国家状態に到達した事を称揚しつつ、領邦教会制に分断されたままの旧神聖ローマ帝国領では代替物として近年やっとおぞましい民族主義的生物学が台頭したという図式。https://t.co/vxcbM50LjA
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
一方(親の代にユダヤ教徒からプロテスタントに改宗した)カール・マルクスはロマン派詩人を目指した若い頃に没頭した「反体制詩人としてドイツを追放されたユダヤ教徒で、その後カソリックに改宗してフランスに亡命した」ヘンリッヒ・ハイネの文化圏関係論をそのまま継承。https://t.co/J4e1ZuTi0b
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
嫌悪対象だったユダヤ教と英国商業主義と資本主義的発展を一緒くたに結びつけ「どれもやがて自滅する」とのレッテルを貼ってしまい、ゾンバルトら「ドイツ民族の存続にはユダヤ教徒や資本主義の影響からドイツ精神を解放する必要がある」と考える民族主義的生物学派にこの考え方を悪用されてしまう。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
こうした考え方の背後には共通してドイツロマン主義的民族精神(民族にはそれぞれ固有の使命があり、個人の自由とはそこに自分の役割を見つける事と考える集団主義)が窺える。英国やフランスや北欧(さらには大日本帝国)といった主権国家ではこれが愛国概念に吸収されたが…https://t.co/J2bhFs8bqN
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
ドイツ帝国段階に入ってなお領邦教会時代に端を発するある種の「愛国心分断状態」に置かれてきた第一次世界大戦後のドイツでは、これがある種の民族主義的生物学論として暴走し、これをNSDAPに利用されてしまったのだった。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
ドイツの事例は日本の場合と対比的に考えるとわかりやすい。日本では列強による植民地危機が迫った時「(忠誠の対象が天皇や将軍や藩主とバラバラな)江戸幕藩体制のままでは総力戦が戦えない」なる総意が形成され、版籍奉還(1869年)廃藩置県/藩債処分(1871年)秩禄処分(1876年)が矢継ぎ早に遂行されて…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
これを不服に思った各地士族の蜂起を「鎮台兵(新編成の国民皆兵的軍事力)」が各個撃破して「主権国家」大日本帝国の基礎が固まった。しかしドイツ帝国はあくまで連邦王国に過ぎず、国民総動員の為に第一次世界大戦期にはドイツ皇帝への熱狂を、第二次世界対戦期には総統への熱狂を必要としたのだった。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
しかも、こうして「国民を総動員に向かわせる熱狂」が煽られる裏側では軍人と官僚を提供するユンカー階層や経済を握るライン川工業貴族らが中世的自立状態を回復しようと足掻き「無分別なええとこどりが行動原理の詐欺師集団」NSDAPがポピュリズム的人気を獲得する地獄絵図…https://t.co/k4mLFTydQG
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
そしてフランス革命における内ゲバ状態が皇帝ナポレオン独裁に帰結してやっと安定した様に、当時のドイツにおける「分断された未成熟な愛国心と中世的分離主義の鬩ぎ合い」も独ソ戦泥沼化の過程で「ヒトラー総統独裁」に帰結していったと考えるのが定説の一つという話… https://t.co/eTwbI2M8cl
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
「レーニンの愛弟子」ムッソリーニに政争で敗れ投獄された「イタリア共産主義の父」グラムシはこう考えました。①市民社会台頭以前の中華王朝や帝政ロシアには暴力革命しか選択肢がなかった。②一方、それが十分成熟した欧州諸国で議会民主主義を放棄すると暴力に屈する。https://t.co/c55Cb5sA73
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
②については「世界恐慌下における「このままではドイツ民族は滅ぼされる」という危機感がNSDAPを台頭させた」ナチスドイツだけでなく「タイ式民主主義の行方」も視野に入れながら考えた方が分かりやすいかも。https://t.co/NAtrvv7SjE
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
そう、共通して基底に存在するのは「江戸幕藩体制的分権状態の放置とそれによる国民の分断」。そしてタイの実例は「列強に囲まれて急増された大日本帝国」や「民族主義的生物学が台頭した世界恐慌期ドイツ」の様な切迫した情勢が必ずしもセットで付帯するとは限らない事を意味するのです。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
すると近年中国やロシアで高まってる「国家存続不安」も杞憂なのか? という感じで話は冒頭の「反体制思想の取り締まり強化は妥当なのか?」問題に回帰していく訳ですね。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年6月16日
そんな感じで以下続報…