リブートに際して、最初の足掛かりとなりそうなのが以下のニュース。
天気の子がアメリカでも上映開始してた。 日本アニメって大抵は映画定額サービスの対象外だけど天気の子は対象で珍しいなと月曜日の席を検索。 そしたら午前から夜までいい席全部取られてるの! ビックリしたわ pic.twitter.com/j0C5WplT2I
— いーさん/Ethan 【RIP Kobe & Gianna】@EAA!!ライター (@asacre45) 2020年1月20日
『天気の子』の米国公開、6日目で505万ドルの興行収入、5億6000万円ぐらい。
— 数土直志 (@sudotadashi) 2020年1月20日
前作『君の名は。』を超えましたね。
日本では受けなかった『天気の子』が米国で大人気と。分析しがいがあるてーまになりそう。 https://t.co/A4pvimJ7Qp
— 水野祐 CITY LIGHTS LAW🙊 (@TasukuMizuno) 2020年1月26日
“日本では受けなかった『天気の子』が米国で大人気と。分析しがいがあるてーまになりそう”『天気の子』が興行収入140億円で、去年の日本でトップだったことも知らない人が、エンタメの分析をしても、まったく信用性がなさそうであるhttps://t.co/jZtz0C83Do
— 加野瀬未友 (@kanose) 2020年1月26日
こちら、「日本で受けなかった」というのは間違いという指摘をいくつかいただきました。たしかにそう思いますので、お詫びいたします。
— 水野祐 CITY LIGHTS LAW🙊 (@TasukuMizuno) 2020年1月26日
受けたが、「受けなかったとされた」が正しいかもしれませんね。https://t.co/MxsmPHSPL1
— 上村 慎太郎 (@Peko__Sankurero) 2020年1月26日
さらにはこういう話も。
UKのオープニング興行成績「天気の子」は12位スタート!221,789ポンドは「君の名は」の時の22,274ポンドの10倍!! pic.twitter.com/OUnLrMg9kG
— Gypsy (@GypsyVisitor) 2020年1月25日
いずれにせよ、どうしてもこういう話がつきまとってくる訳です。
これはどんなものにも言えるが。
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
「制作コストが最も低いものが、時代の流行の最先端をいく」
作ろう!と思って、実際に作られるタイムラグが短いほど流行を反映できる
つまり、小説やTwi漫画、やる夫スレ関連が創作系では最速。週間漫画らがそれに続き、アニメ・ドラマは相当後ろ。映画は一番後ろ
巨大媒体であればあるほど、通常は制作コスト・期間があがるので流行の先端をいくのは難しくなる。相当な先取り能力が必要。
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
もちろん、巨大媒体であるがゆえ、流行を広めることはできる。だがそれは最先端であることを意味しない。むしろ逆だ
アニメやドラマは影響力でいえば広い。だが、基本、古い
だけど「広いから速い」という風に思ってる人は、割と多いと思う。だからアニメ専門で見てる人とか、アニメが「最先端」だと思って「今の流行」を語ったりする。
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
なろうアニメみて、今のなろうの流行語ったりとか。
当然間違う
大概「何年前の話してんの?」ってなるのがお約束
「これがウケる!」と感じてから、年単位で制作期間や労力がかかるもの(ドラマやアニメ)が、数日でできるもの(小説やTwi漫画)に流行のセンス勝負で基本勝てるわけないのだ
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
「ドラマやアニメや映画は、古くならざるをえない」んだよ
でもその自覚が当事者にない
それが今まで数多の悲劇を作ってきたん
影響力の広さは、時代を先取りすることを意味しない
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
むしろ逆といえる
なのに、影響力の広さを、速さでもあると感じてしまって。
小説系の手軽媒体を、下にみる風潮ってのが。大型媒体の業界には見受けられる
これは、創作者だけじゃなくて、視聴者にもおこっていると思っている
ついでにいうと、ドラマやアニメの脚本家らは、小説家や漫画家ほどのサバイバル競争にはさらされていないだろう。ゆえに、質の面でも基本的には、劣っていくはず。
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
だからもしランキングサイトのアマ二次創作(競争が激しい場所)だったら歯牙にもかけられないような話が飛び出してくる
この。巨大媒体に関わってるがゆえの2つの驕りが、原作を下に見て、原作ブレイカーをやってしまう温床だと思う
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
つまり
1.時代の先端をいってるという誤解(実際はコストが重いほど遅い)
2.自分たちは腕が保証されてるという誤解(腕が保証されてるのは、苛烈な競争に残った原作のほうだ)
の2つね
確かに世間にブームを作りやすいのは巨大媒体で。それによって「時代を動かした」感覚はもちやすいだろう
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
でもそれは「広める」能力であって「先取り」の能力に長けてるわけではない
なのに「先取り」センスがあると勘違いし「センスのある自分が原作を修正」する案件が絶えないんだろうと考えるよ
なんか一言呟くつもりが「なぜアニメ・ドラマ・映画で、原作ブレイクをしてしまうのか」というテーマの長文になったw
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
まあいいやw
あ、ちなみに同じ理由が。小説投稿サイト作品に、出版社の大賞作品が売上で勝てない理由
毎日試行チャンスがある作品と、年1の大賞じゃ流行反映速度に差がありすぎ
追記。これで読んだけど、あらかた予想通りでした。要するに「新しい客層」に届けるために、原作ブレイクをする。と。
— こぴーらいたー作家@風倉 (@kazakura_22) 2020年1月28日
全く間違い
ラーメン二郎の宣伝をする時に、女性もとりこまないと!で少量化・ヘルシー化・タピオカトッピングして中身改変するようなもの
ありえんhttps://t.co/O0K3EskNjH
これについてはこういう話も。
「これで売れるかな?」ではなく、「これで買いたくなるかな?」と考える。(下地寛也)出典:https://t.co/vtaZnpqx24
— ストーリーの書き方 (@kakuniha) 2020年1月25日
「売れる」は作家目線。「買いたくなる」は読者目線。執筆中も読者にどう読まれるか、どういう印象持たれるか、などの読者目線が大切なんです。このセンスがある人は上手くなるし面白い。 https://t.co/xjvP3nZrbV
— kuri【伝奇SF「不死の宴」ぺーパーバック版登場!】 (@hajime_kuri) 2020年1月25日
で、実際問題として、こういう展開が起こる訳です。
アニメーション監督に「君の名は。みたいな感じで」と発注 ヒット作便乗型クライアントに現場困惑 | ニコニコニュース https://t.co/GJO4hOVmBK
— えびふらい🔞絵仕事絶賛募集中 (@ebifly857) 2019年4月7日
こう書くと 無責任に聞こえるが、昔からヒットしたものに便乗するような指示をしてくるクライアントは多かったんじゃないのかね? アニメだけじゃなくて
『君の名は。』をプロデュースした川村元気氏本人が、新房昭之監督に「君の名は。みたいな感じで」と頼んで制作させたのが『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』です
— 蒸気宇宙船 (@stespashi) 2019年4月7日
海獣の子を見に行った時の予告で、現代高校生のボーイミーツガールのアニメ映画ばかり流れて、コイツらまた君の名は作ろうとしてるんだなって感じで、アニメ業界ってのはかなり自転車操業なんだなと。(新海もしかり)
— しむら (@rashin456) 2019年7月2日
『海獣の子供』制作に6年間も費やしてきたのに、いざ公開となったら周囲は“『君の名は。』のメガヒットで企画が通って3年間で公開まで持ってきた”アニメ映画で溢れているし、上映前には必ず『天気の子』の予告編が流れて観客の注意を逸らされるしで、新海誠の被害めっちゃ受けてると思う。気の毒!
— 梅香@グランベルムらき本委託中 (@SENBAKO1) 2019年6月14日
ぼくもエイの裏側が画面に映る度に「見てあこちゃん…エイの裏側…扇情的だね」って脳内で言ってしまったので、『海獣の子供』には悪いことをしたと思っている…。
— 梅香@グランベルムらき本委託中 (@SENBAKO1) 2019年6月14日
まぁ一応、こういう2019年の総括もあったりして。
「前作「君の名は。」ではビジュアルとして使い切れなかった雨や雲、水の表現がたっぷり描かれる」と。「海獣の子供」も「きみと、波にのれたら」も水の表現なのよね。/川村元気がフランスで明かした「天気の子」の制作秘話 https://t.co/IhE0atSXPJ #アニメ #anime @animehackcomさんから
— 小原篤/アニマゲ丼 (@botacou) 2019年6月17日
『海獣の子供』と『きみと、波にのれたら』がとても良かったのですが、今年の東宝の夏のアニメはさらに『君の名は。』以来の新海誠監督の新作『天気の子』が控えており、今年のジメッとした夏に相反するような様々な水表現は2019年の記憶として今後も残りそうです。
— チャポカ (@chartpop696) 2019年7月15日
そもそも昨年までの投稿から、例えばこういう歴史観が浮かび上がってくるのです。
- 家父長制崩壊によって父親の影が薄くなった状況を受けての武内直子「美少女戦士セーラームーン(1992年〜1997年)」における「メインヒロイン」月野うさぎと「未来の娘」ちびうさの、そして後年、同世代作品としてこれと重ねられる展開を迎えるテッド・チャン「あなたの人生の物語(Story of Your Life、1999年)」における1990年代的母娘関係。
当時「ちびうさ」に共感した世代の女子は、21世紀に入ると「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊(Pirates of the Caribbean: Dead men tell no tales、2017年)」の最終場面に新たなる地母神として降臨する「初期三部作(2003年〜2007年)のヒロイン」エリザベス・スワンを目の当たりにして走馬灯的な感情の波に襲われ「私もママ(側)になっちゃった!!」と号泣する一方で「美少女戦士セーラームーンCrystal(2014年~2015年)」にはもはや限られた範囲の関心しか払わなかった。
- 「母親が自ら最後の犠牲となる事で息子/娘を宿命から解放した」中平正彦「破壊魔定光(1999年~2005年)」の椿やよい、そしてその延長線上に現れた新海誠監督映画「君の名は。(2016年)」の宮水ニ葉。
「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(Star Wars: The Rise Of Skywalker、2019年)を鑑賞した結果、このグループにカイロ・レンとレイア姫も加わる形に。
レンはこの3部作の中で初めての笑顔を浮かべ、そのまま力尽き、ジェダイのように実体を消してしまう。ここでアダム・ドライバーが見せた笑顔の演技を称えるメリアンは続ける。
「彼にも救済があったんですよ。それも、とても美しい救済が。彼が消えると、レイアも消える。きっと2人は一緒だったんでしょう、そう思いたいです。」
もちろん反対意見も。
ep7のハンソロ
— もっこす (@moccosmoco) 2020年1月24日
ep8〜9のレイアが
「息子にしてやれなかった」ことをレイにしているのかもしれんけど
無性に腹が立った
戦場で彼らが育てたレイがカイロレンとぶつかるだろう事実も含めて
「だからこそ」レイを鍛えたのだろうけどそして最後のスカイウォーカー
— もっこす (@moccosmoco) 2020年1月24日
レイに家という居場所を与えたというポジティブな見方ができなかった
すごく旧時代の大人の価値観に子世代が巻き込まれたようでさらに踏み込んだネタバレありの詳細はまたそのうち。
- 「母親が宿命から逃げてツケを娘に回した」五十嵐大介「海獣の子供(2006年〜2011年)」の安海加奈子。そういえば吉田秋生「吉祥天女(1983年〜1984年)」における名家同士の争いは女同士の戦いも含み、こういう部分がドロドロと割とネガティブな形で描かれた。むしろ「安海加奈子なる存在」の画期は、かかる存在が(物語上において重要な役割を果たすにも関わらず)登場人物の誰からも特に肯定も否定もされずただそういう存在として描かれ切った事かもしれない。
ここで興味深いのが、国際SNS上の関心空間に集う匿名女子アカウントの第三世代フェミニズム談義の最古層に高橋留美子「うる星やつら(1978年~1987年)」の主人公諸星あたるの母への言及、特に息子のアルバムに「我が生涯最大の過ち」と名付けるセンスのmeme化が存在した辺り(レイア姫も隠し持ってて、レイに盗み見られたりする場面辺りを想像すると…いやはやなんとも)。美青年が現れる度に心がよろめいてしまう側面(大源流は山上たつひこ「がきデカ(1974年~1980年)」における「こまわりくんの母」かもしれない)も含め、和製コンテンツにおける典型的母親像からの逸脱は(夫が職場から帰らないせいで妻の精神的自立が進んだ)1980年代以前まで遡るという話。
ただしあくまで家長制が崩壊に向かう過渡期の話なので、男はまだまだ甘やかされていたという側面も。そして20世紀末から次第に採点が厳しくなっていく。
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「魔法少女まどか☆マギカ(TV版2011年、劇場版2012年〜2013年)」のヒロイン鹿目 まどかが自らの身を犠牲にして世界を救う展開をただ背後から見守り続けた母親の鹿目詢子の存在。
東北大震災の影響で放映延期となっていたTV版最終回が放映された2011年4月22日を契機に「親殺し戦争」とでも呼ぶべき事件が起こった。
- 国際ネット上で親世代が「ああいう場面では親は、子供を殴り倒して気絶させてでも自分が身代わりになるべき」と言い出したのである。
- さらに批判は「妻が働きに出て稼ぎ、夫が家で家事を担う」まどか家の役割分担にまで及び「父親がそんな風で頼りないから、娘がそこまで背負ってしまったのだ」とまで言われてしまったのである。
- 当時の海外ネットは大荒れに荒れていたが、少なくともそれまでは親世代の自己肯定の場としてネット上のあちこちに点在した旧式掲示板(有象無象のネットニュースなどにぶら下がっていた)が巻き込まれる事はなかった。だがこの事件を契機に「狩り」が始まり、その多くが閉鎖に追い込まれる展開を迎えたのである(ただ既にFacebookの普及で半廃墟化していたサイトが多かったとも)。
今から思えば次第に表面化しつつあったFacebook上における親の子供監視サービス競争の過熱、これを嫌う子供達の匿名SNSサービスへの集団逃亡なども背景にあった様である。
考えてみればこうした「(子供の自律的判断が重要な役割を果たす)新しい親子関係」描写は次第に日本だけでなく海外でも広まり、例えば「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(Rogue One: A Star Wars Story, 2016年)」におけるデス・スター主要開発者ゲイレン・アーソとその不良娘ジン・アーソの関係、「レディ・バード(Lady Bird, 2017年)」「ローガン(Logan, 2017年)」などにおける独特の家族描写へとつながっていく。
この流れについていけなくなった時代遅れの旧作は次々と歴史の掃き溜めへ…要するに「天気の子」は「君の名は」に次いでこの試練を乗り越えたという話になってくる訳ですが、日本国内の分析はその辺りが甘いので「君の名は」のマーケティング的模倣にすら失敗してしまったのでないかという話…