諸概念の迷宮(Things got frantic)

歴史とは何か。それは「専有(occupation)=自由(liberty)」と「消費(demand)=生産(Supply)」と「実証主義(positivism)=権威主義(Authoritarianism)」「敵友主義=適応主義(Snobbism)」を巡る虚々実々の駆け引きの積み重ねではなかったか。その部分だけ抽出して並べると、一体どんな歴史観が浮かび上がってくるのか。はてさて全体像はどうなるやら。

【グローバル化の闇】【バブル文化残滓としてのパリピ】【金塊密輸】日本どうなっちゃってんだよ?

イアン・フレミング「007ゴールド・フィンガー(Goldfinger、原作1959年、映画化1964年)」は金密輸を巡る物語。しかし実はアバン・タイトルを飾る「全身に金を塗って、皮膚呼吸出来なくなくして死に至らしめる」ネタは谷崎潤一郎「金色の死(1914年)」にも登場し、江戸川乱歩経由でその影響を受けた横溝正史も「三つ首塔(1955年)」に金粉ショーの場面を登場させています。

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当時はイアン・フレミングの他の作品にも「金粉ショー」の場面がしばしば登場。どうやら国際的に流行していたらしい?

黄金ボディペインティング舞踏ショウ - Wikipedia

インカ帝国の時代、宗教行事として行われた。

1905年(明治38年)に本郷座の新派大合同公演『金色夜叉』で上山草人が全身を金粉で塗った姿で夜叉を演じた。
*日本で初めて金粉ショーを行なったのは、歌手尾崎紀世彦父親で、芸名・藤田繁一という舞踏家だと言われている。

元来は、土方巽唐十郎がキャバレー等でのアルバイトとして行っていた。その後、大道芸の一形態として舞踏集団により行われるようになった。大駱駝艦やささらほうさらによるものが知られている。


何ともバブリーな雰囲気が漂います。

しかし実は同じイアン・フレミング作品「007 ダイヤモンドは永遠に(Diamonds Are Forever、原作1956年、映画化1971年)」で扱われたダイアモンド密輸と同様、以前から存在し、それ以降も平然と存続していく古典的犯罪なのですね。

そして現実社会においてもまた…

福岡市で昨年7月、警察官を装った男らに約7億5800万円相当の金塊約160キロが盗まれた事件が急展開した。福岡県警が、主犯格とされる会社役員、野口和樹容疑者(42)=名古屋市千種区=ら8人を窃盗容疑などで逮捕したのだ。被害の大きさや警察官にふんしたその手口から「平成の3億円事件」とも称された窃盗団の正体は意外なものだった。高級車を乗り回し、繁華街で連日連夜のどんちゃん騒ぎ。「パリピ」を自称し、享楽の日々を送る男たちによって大胆不敵な犯行は実行に移された。(社会部 安里洋輔)

ハワイで豪遊、放蕩の原資は

「今年は最高で最強のメンバーが集まりましたね」

今年4月、写真共有アプリ「インスタグラム」に、こんなコメントとともに投稿された写真に1人の男が写り込んでいた。

派手な電飾がきらめく店内でグラスを掲げる男女に交じり、入れ墨を施した浅黒い肌をさらしてポーズを決めているのが野口容疑者だった。

書き込みの内容からタイの首都バンコクで開かれた祭りに参加した際の一枚とみられる。

自身のインスタでも、高級ホテルのプールサイドでくつろぎ、高級外車を乗り回すなどハワイでの豪遊の様子を投稿。羽振りの良さを誇示し続けていた。

知人は、「ファーストクラスで海外で開かれる野外フェスティバルに遊びに行ったり、ここ1年、金回りが異常によかった。どこから金をつくってるのか不思議だった」と振り返る。

野口容疑者の異常ともいえる放蕩(ほうとう)の原資、それは福岡県警の捜査によって明らかになった。

「3億円事件」彷彿…警察官を装う大胆な手口

「密輸品だろう。警察署で調べる」

昨年7月8日朝、福岡市のJR博多駅近くにあるビルのエレベーター前で、貴金属販売会社に勤める男性(38)=当時=は警察官の制服を着た4人組にこう呼び止められた。

男性が手にするアタッシェケースに入っていたのは、約7億5800万円分の160キロの金塊。4人組はケースを点検する素振りをみせた。そして、男性が目を離した一瞬のすきを突いてその場から立ち去った。男性が取引のため、貴金属店に持ち込もうとした矢先の出来事だった。

衆人環視の街中で警察官を装う大胆不敵な手口は、昭和43年12月に東京都府中市で発生した「3億円事件」を彷彿(ほうふつ)させた。

発生から1年を迎えるのを前に、捜査難航もささやかれていたが、県警は包囲網を着実に狭めていた。

「県警は犯行時に使用された偽の制服を山口県内で発見して押収し、DNA型鑑定などで容疑者の特定を進めた。今年に入ると、金塊の換金に関わったとして逮捕した男の関係先を家宅捜索して逮捕のXデーに備えた」(捜査関係者)

名古屋で有名な野口兄弟

県警が野口容疑者らの逮捕状を取ったのは22日朝。その日のうちに6人が窃盗や盗品等処分あっせんの疑いで逮捕された。

「事件を主導した野口容疑者が逮捕されたのはその日の午後6時前。ハワイから帰国した直後に成田空港内で身柄をおさえた」(捜査関係者)

県警はその後も逃げた窃盗団の行方を追い続け、29日には指名手配していた2人の身柄を確保した。

名古屋市内でパトカーと派手なカーチェイスを繰り広げた末に捕えられた2人のうちの1人が、主犯格の野口容疑者の兄、直樹容疑者(43)だった。

実はこの兄弟、拠点とする名古屋では有名な存在だったという。

「野口兄弟は、名古屋の半グレ集団のリーダー格だった。弟の和樹容疑者は、指定暴力団の幹部と友人関係にあるほか、平成9年には高級車を狙った窃盗団の主犯格として逮捕。17年にも3億8千万円規模の大規模盗難事件に関わったとして検挙された名うてのワルだった」(暴力団関係者)

野口容疑者の経歴などから当初は暴力団の組織的な関与なども疑われていた。

しかし、実際に野口容疑者と他の容疑者とを結びつけたのは、繁華街やクラブで存在感を示す「パリピ(パーティーピープルの略)」と称される遊び人たちの人脈だった。

事情に詳しい関係者は「野口容疑者と親しい六本木のキャバクラ経営者が、『パリピ』を自称する者が集まるサークルを主催しており、野口容疑者をはじめとする強盗団のメンバーが複数在籍していた」と明かす。さらに「芸能界とのパイプもあったようで、メンバーの1人は有名アイドルとの2ショット写真を自身のSNSに投稿。野口容疑者自身もクラブイベントの運営に携わっており、そこを通じて複数の芸能人と親交があったようだ」と証言する。

逮捕前に被害者側と接触…いまだ残る謎

事件は野口容疑者らの逮捕によって一応の決着を見たが、いまだ謎も残る。

野口容疑者らは弁護士を通じて、「(被害者側と)合意の上で盗むふりをした」と“出来レース”を主張。逮捕前には被害者側に計1億6千万円の示談金支払いを持ち掛けている。捜査が身辺に及ぶのをかわす目的があったとみられるが、なぜ野口容疑者らが逮捕前に被害者側と接触できたかについては明らかになっていない。

現場の状況などから、野口容疑者側が、金塊の取引情報を事前に知っていた可能性もあり、なぜそんな情報を入手できたのかについても疑問が残る。

さらに、事件から約10カ月後の4月20日には、同じ福岡市で金塊の購入資金3億8400万円が奪われる事件が発生。その翌日には東京・銀座で金塊の購入資金4千万円が強奪される事件も起きている。

金塊絡みの事件が相次ぐのは果たして単なる偶然なのか、それとも…。

ある暴力団関係者は気になる証言をする。

「組員同士の情報網の中で『金塊の強盗をやらないか』という誘いが頻繁にある。金塊の密輸をして稼ぐ者も多い。金塊をめぐる裏仕事は暴力団の新たなシノギ(資金源)になっている」

富の象徴として人々を魅了する金。そのまばゆい輝きとは対照的な闇が広がっている。

ゆるふわ怪電波☆埼玉 on Twitter: "愛知県警「もうすぐガサ入れあるで」
金塊強盗「マジか」

まぁ西日本において「密輸」は近代以前から伝統芸みたいなものだったのです。あと割と木綿や絹や砂糖みたいな「高級輸入品の国産化」も起源を辿ると概ね「密造」。
*ある意味「我が国の文化は江戸時代の鎖国によって国際的に孤立した」と嘆きつつ、実際の同時代にあっては生糸を大量輸入して「西陣織」の、「唐三盆」を大量輸入しては和菓子の基礎を築きつつ焼物輸出で世界を席巻していた「不思議の国ニッポン」の本領とも?

  • 太宰府を事実上廃止に追い込んだ博多商人紫式部源氏物語」にも登場する「秘色青磁」と縁が深い。ちなみに高麗武家政権の「悲色青磁」も輸入。
    *どちらも「特定の色を実現してない二級品以下は流通させない」徹底した品質管理によって本国で失われたその色を現在に伝える役割を担った。では「二級品以下」はどうなったのか? まとめて大量に破棄した遺構が太宰府跡から発見されているし「源氏物語」の「末摘花」の段には太宰府赴任経験のある貴族の下女達が私物として使っている景色が活写されている。光源氏の「ややや、あの器はそろいもそろって秘色の様なそうでない様な微妙な色合いばかり!!」なるセリフは貴重な歴史証言。

    秘色青磁

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    高麗青磁

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  • 伊万里焼をオスマン帝国や欧州王侯貴族に売り込んで世界史にその名を残した佐賀鍋島家清朝が景徳鎮を禁輸した隙を突いてのアクションだった。

    景徳鎮

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  • 中国への高級海産物の抜け荷を財政難解決の足しにした薩摩島津家…焼物の世界にも手を出し、朝鮮王朝時代の白磁の影響を受けた薩摩焼をパリ万博に出展。

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どうしてアジアにおいては日本だけが独自に産業革命導入に成功したのでしょう? それは英国において産業革命の口火を切ったのが「マンチェスターのキャプテン・オブ・インダストリー達」だった事、それに該当する「胡散臭い連中」が日本でだけ自由に活動出来ていた事実を抜きに語れません。

 

*「パリピと裏社会の関係」だって田沼時代最大の闇「天明狂歌人脈と蝦夷開拓権益の黒い繋がり」まで遡る。このエピソード抜きに「松平定信はどうして寛政の改革に際して彼らを目の敵にしたのか」なんて見えてこないのである。
天明狂歌覚え書
終章 寛政の改革と幕府財政の崩壊

*最近「英国産業革命の鍵はジェントルマン資本主義だった」なんて指摘が流行しているが、英国のジェントルマン階層が金融業界に乗り込むのなんて(マンチェスターの新興産業階層に議会で保護貿易政策を破られた)19世紀後半以降なんである。同様に戦前日本が絹産業で世界を席巻していく展開は(インドのタタ財閥と申し合わせた)日本郵船による日印航路開設(1893年)による安価なインド綿花の大量流入によって日本の綿花栽培産業が壊滅し、農家の多くが養蚕へのシフトチェンジを強いられた歴史と切り離して語り得ない。そしてこうした日本とインドの財界人同士の「絆」こそが世界恐慌(1929年)に際して英国ブロック経済の感性を阻止し、その怨恨が太平洋戦争勃発の遠因の一つとなっていくのである。

アメリカだったらきっとハリウッド映画の「原作」に選ばれてる様なグローバル規模の事案。エンタメ作品制作に欠かせない「距離のパトス(Pathos der Distanz)」なるリソース、意外なところに潜んでいるものなのです。

*日本の新聞に掲載された美人局事件に関連する三面記事もハリウッド映画化されるとこの通り。

でも日本ではどちらかというとこの路線、こんな御洒落な感じの路線ではなく真鍋昌平闇金ウシジマくん(2004年〜)」の世界ととしてイメージされる事が多い様です。

闇金ウシジマくん - Wikipedia

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作者の真鍋昌平が通っていた工業高校は底辺校で、所謂「ヤカラ(不良行為少年)」の集まりだった。そこで真鍋はいじめを受けていた。その学生時代にヤカラを観察する能力を身に付け、また、アウトローな人間には一般人にはない魅力があるため、それを表現したいという思いでこの作品を描くことになったと、2016年10月4日放送の「わざわざ言うテレビ」(テレビ大阪)で、真鍋自身が語っていた。

一方、さらにエンターテイメント業界には扱い難い「闇」も…

その一方で日本にはこんな過酷な現実も存在してたりして。

人間というのはあくまで、決して「平等に貧しく」なんてなっていかない生き物なのですね…

マーガレット・ミッチェル風と共に去りぬGone With the Wind、1936年)」の中でもレッド・バトラーが「国家というやつは成立する時と滅びる時に商機に満ちる」と言い放っています。

さて、日本は一体どちらに向けて漂流しているんでしょう…