最近、国際的に「国家の平和の指標は富でも民主主義でも信仰の自由度でもない。女性がその国でどう扱われているかだ」なんて話が話題になってる様です。
Me and Tom were talking about this the other day... - Project mayhem
ニューズウィーク日本語版2016年11月22日発売号「トランプ政権」に女性がいない(More Women, More Decisions)
カーネギー・メロン大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、問題解決の能力は男性だけのグループよりも男女混成のほうが優れていた。
デューク大学の研究では、ストレスにさらされると女性は安全で手堅い決断を下すが、男性は危険な一発勝負の賭けに出る事が示された。
ケンブリッジ大学の研究によると、男性ホルモンのテストロンが問題らしい。男性ホルモンは成功するとリスクを無視した大胆さと自信過剰を加速させ、失敗しても再び無謀な挑戦に向かわせるという。
女性を政策決定の場に加えるべきなのは生物学的に男性と違うからではない。社会性や人生経験が男性と全く異なるからだ。男性とは違う女性の視点や優先順位が、暴走しがちな男社会の「防波堤」として機能し得る。
女性は男性に欠けがちな社会スキルも身につけている。例えば相手の面目を潰さずに危険な決定を思いとどまらせたり、親しい間柄に亀裂を生みかねない男同士の非生産的な対立を懐柔したり出来る。これらは企業においても和平交渉においても、効果的なスキルだ。
女性がみんな平和主義者だとか、女性が大統領になれば世界平和が保障されるというつもりはない。政策決定の場に約30%の女性を加えれば、より安全で効果的な結論が導かれる事を認識してほしいだけだ。
そういえば国際SNS上の関心空間の一角を担うTumblrの女性比率は半分以上、PixivやPinterestに至っては6割以上となっています。
*これらに生息する女子アカウントの多くが「Facebookには抜殻だけ残してある」と豪語。その分だけFacebookの女性比率は下がっているとも。
*ただこのソースのアクティブ率、完全には信用が置けないとも。
それでは、サイトの男女比は、そこにおける意思決定過程にどういう影響を与えるのでしょうか?
4chanや8chanやRedditで暴れるオルタナ右翼(Alt-Right)層。基本的に「常に冗談ばかり言い続ける事で自分をHighな状態に保ち続けようとしているが、実は何も信じてないニヒリスト(アニメ・アカウントの男性アカウント中心)」と分析されてます。
*そしてこういう場合、カウンター勢のほうがよっぽど物騒なのはよくある図式。
Zombies, Coat Hangers, and Liquorice
Do What Thou Wilt. — Give a rose to those with compassion and love, and...
たぶん、スティーブ・バノン自体は、ユダヤ人や、あるいは「純粋な白人」以外が嫌いなんだろうけど、トランプ本人や他の閣僚たちは、ハードコアなオルタナ右翼には、大した興味はないと思うね。イヴァンカのこともあるし。
— irr (@IrrTenko) 2016年11月17日
・オルタナ右翼は堂々と「バノンやトランプは我々の一員ではないし、ブライトバートは我々ではない」と言っている。彼らはこれらを「使えるバカ」だと思っている。
— irr (@IrrTenko) 2016年11月25日
・トランプが「圧勝した」というのは間違い。総得票数で負けているし、僅差で激戦州を抑えただけ。将来の人口動態もマイノリティ有利。
・左翼は誰でも「オルタナ右翼」と呼ぶが、これは大きな過ち。
— irr (@IrrTenko) 2016年11月25日
・左翼が「レイシスト!」と叫び続けることで、「オーケー。で、俺をレイシストと呼ばないのは誰だ。そいつの側に付こう」ということが起こる。
・左翼がやりすぎを続ければ、人々は白人部族主義へと駆り立てられる。悪化するだけ。
実はここでまとめて「オルタナ右翼(Alt-Right)」呼ばわりされてるタイプなら、国際SNS上の関心空間の一角を構成するTumblrにも沢山常駐しています。とはいえ不思議なまでにそれらしい挙動を見せる事がありません。まぁ、あくまで匿名の世界なのでアカウントを使い分けてる可能性までは否定出来ませんが…
上掲投稿でサラッと流したルーナ・ラブグッド派の男子アカウントとかも実は「常に冗談ばかり言い続ける事で自分をHighな状態に保ち続けようとしているが、実は何も信じてないニヒリスト(アニメ・アカウントの男性アカウント中心)」だったのです。まだFundom Warが激しかった頃なので、それに巻き込まれる形で大量の犠牲者を出しましたが、別にそれを恨んで凶暴化する事もなかったのです。
*まぁネット全体が荒れに荒れ、どのグループも少なからず犠牲者を出していた…そんな時期だったのである。そして誰もがそういう状況に飽き飽きしていたのだった。
最近では「鎌田君は私」文化をちゃんと理解した上で、以下みたいな(頑固なGothタイプやオルグしにくる主義者を追っ払うのに使えそうな)投稿をして感心される事も。
ところでTumblrはオルタナ右翼(Alt-Right)と敵対する無政府主義者やウルトラ・フェミニストの巣窟としても知られてます。とはいえ彼らは国際SNS上の関心空間には基本的に入り込めず、投稿回覧網も基本的に別々。とはいえFeminismとUltra-feminismの境界は実に曖昧で、そのせいか時々とんでもないオルグが流れてくる事があります。まぁその都度あっけなく撃退というのが現状。
*国際SNS上の関心空間には基本的には入り込めない…そもそも全体の中でのTumblrは、さらに趣味的なTwitter上のリッチメディア回覧、Pinterest、DevianART、Pixiv、Soundcrowdなどの交流拠点として栄えている訳で、そこだけオルグに成功しても何の意味もない(プロパガンダ拠点に変貌したら国際SNS上の関心空間から切り捨てられ、メンバーも皆逃げ出してしまうのみ)という事を理解してないっぽい。
Things in Squares — I can it ‘woman scientist’. Bonus panel:...
実はTumblrやPinterestはただ単に女性比率が高いだけでなく、女子アカウントの影響力が突出していたりします。その力の源泉は「集票力」。お気に入りの話題が「再発見」されると、たちまち関連投稿の回覧数が4桁以上に引き上げられ、回覧内容も(機械学習(Future Learning)めいた淘汰方式によって)急速に洗練されていきます(そして同時にノイズが入り込む余地も少なくなる)。感情共有を誘発する時事問題に邂逅するとさらにHeat Upして回覧数が5桁以上になる時も。多くの男子アカウントも(こうした回覧数爆発に少しでもあやかろうとして)一杯ぶら下がっています。
*これまでの投稿で「アンドロメダ病原体」とか「ゴジラ細胞群体」とか呼んできたのはまさにこの状態。
- 実際には女子アカウントも男子アカウントも、普段は回覧数3桁未満の少数グループに分かれている。これが「機械学習めいた振る舞い」においてリアルタイムで重み付け(Weight)を決定し、カンニングで仕入れたルールへの差し替えを遂行する「主体(識別装置)」として機能するのである。
*「機械学習(Future Learning)めいた振る舞い」…知識不足の為、あくまで憶測に過ぎないけど、もしかしたら誤差逆伝播法(Backpropagation)の一種なのかもしれない。
- 予想される通り、ディズニーやジブリに関する話題などは無条件スルー(ルールによって正解とされた唯一解を皆が一斉に書き写すイメージ。あっという間に回覧数が5桁を超える)。ただし、その種の回覧は概ね「重み付け設定ルールの差し替え」や「回覧ルート見直し」も伴う。要するに「長いものに巻かれる」。
*一見、インフルエンサー・マーケティングで想定されるユーザーの振る舞に似るが、あくまで相手に人格的に魅了されている訳ではないので、ルールのコピー完了や、さらに良い回答の発見が当人への関心喪失を伴う事も。
時々「特定話題の大量投稿」なるDDoS攻撃めいた方法で強引に高評価を勝ち取ろうとする動きがあるが、むしろ他のSNSより耐性が強い。
*2013年4月から「艦隊これくしょん -艦これ-」サービス開始を契機にPIXIV絵師の二次創作画像の大量投稿が始まったが、効果が出るまで随分と時間が掛かってる。また2015年には4月に「例の紐」事件、10月に「おそ松さん」事件があったが、主に男子アカウントがターゲットとなった前者が期間中ほぼ最後まで関連投稿が3桁を超える事なく終わったのに対し(むしろ以降関連投稿の回覧数が伸びたのでジャンル全体に対する認知度上昇には貢献したとも)、主に女子アカウントがターゲットとなった後者は早々に「ルール差し替え誘発」に成功し、番組放映終了後も平均回覧数4桁が維持される展開に。むろんどれも国内ネット環境向けのキャンペーンだったが、日本のネットもしっかり国際SNS網に組み込まれており、その影響は海外にも及んでいくのである。ただ男子アカウント向け展開は、キャンペーンに失敗したりブームが終わったりすると概ね「エロ画像のサブジャンル」に堕してしまう。そもそも日本のオリジナル展開そのものがそうなので、割と不可避。
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それではどんな投稿が「機械学習めいた振る舞い」を引き起こすのか。むしろ最初は「誰もそれが本当に良いものと断言したがらない」微妙な評価しか勝ち取れず、それでも回覧だけは水面下で続けられ、数日から数週間後に回覧数が4桁に達っするケースが多い。その時初めてその価値が「再発見」され、皆が一斉に似た内容の投稿の精査に取り掛かるという次第。
*最近見掛けたのが「Wave Tatto Collection」。Another Drunken Scot — Wave tattoos are really cool
http://meinalbion.tumblr.com/post/46447474940/my-tattoo-2008
Connie Armijo at Buju Tattoo San Diego, CA | Agape
*実は「Wave Tatto」も長らくそういうポジションだったが、どんなに回覧されてきても「再発見」を拒否され続けるケースも存在。代表例としては「猫型護身用キーチェーン(Cat Self Defense Keychain)」辺りが有名。どうやら大元はギャングの隠し武器らしい…
一方男子アカウントはむしろ"Wake Me Up Inside"Memeや “An idiot sandwich” Memeや”Evil(Dark) Kermit” Memeなどをいち早く発見してコレクションしたり次々とバリエーションを生み出したりしてきた。「機械学習めいた振る舞い」まで発展するとは限らないが、ネタが気に入ったら女性アカウントも乗ってくる。
*Wake Me Up Inside(Can't Wake Up)Meme…2003年4月22日にリリースされたEvanescenceの曲「Bring Me to Life」の歌詞のパロディ。2014年2月11日の4chan /v/ (video games) 掲示板において初めて、2013年5月13日にTumblrユーザーが投稿した「骸骨ロッキング・チェア」の画像と組み合わせた投稿があった。同年12月19日以降これを回覧する様になったTumblrで2015年3月2日、WWEのプロレスラーDean Ambroseの写真を使ったバージョンの回覧が始まる。*“What are you?” “An idiot sandwich.” Meme…2015年4月25日に放映されたJames Cordonの“Hell’s Cafeteria”のGordon RamseyとJulie Chenによるパロディ。2016年3月29日にYoutubeにアップされ、その日のうちに200万Viewを突破した。
*「Evil(Dark) Kermit」Meme…ミュージカル人形劇「Muppets Most Wanted(2014年) 」の一場面が2016年11月6日にTwitterに投稿されたのを契機に広まった。
- こうしたプロセスを「アンドロメダ病原体」や「ゴジラ細胞群体」に例えてきたのは、特定話題の回覧占拠が長期に渡るほど「さらなる進化」あるいは「話題の終了」を求める声が強まるからでもある。先陣を切るのは概ね「飽きっぽい」男子アカウント。
*本当に男子アカウントが混じってるからこその動きになるかは不明だが、より女子アカウントの比率が叩いPinterestでは見られない特徴なのも事実(そのせいでベテランとビギナーの格差がどんどん開いていく問題を抱える)。そもそも「手続きを尊重する」傾向は女子アカウントの方が顕著。
それではTumbr上の女子アカウント集団が最初からこういう特質を備えていたかというと、そうでもないのが興味深いところだったりします。
- そもそも、こうした「機械学習めいた振る舞い」が発祥したのはPinterestで、Tumbrは気に入って模倣しただけとする説もある。実際2000年代のうちは他のSNS同様に同好の輩の小グループの群雄割拠状態にあったのは確か。それに対して2010年3月のクローズドβ公開に端を発するPinterestはサービスの仕組み上、最初からそういう構造を備えていたと考えられている。
*Pinterestは元来「切手とか昆虫の収集が大好きな男子向けサービス」として開発されたのだが、いざ蓋を開けると女性の方が遥かにマニアックなコレクターで、ファッション、インテリア、アクセサリー、料理写真といった分野ごとに「機械学習めいた振る舞い」によって回覧画像の品質を他サービスの追随を許さないレベルまで引き上げてしまったのだった。その後、模型ファンが参入して男女比を太蔵は是正したとも。
FacebookやInstagramなどの一般的なSNSでは、例えば昨日の出来事などの過去に起こったことに関する内容アップして、友達とコミュニケーションを取ることが多いかと思います。またTwitterでは「今何をしているのか」という内容のつぶやきも多く、過去や今のお話が中心になるものです。反面Pinterestは「未来の自分のために使うサービス」というイメージになります。
Pinterestの画像には常に「画像をアップした人/サイト」と「その画像を見つけた(ピンした)人」、という2つの軸が存在するので、画像の出展元だけでなくその画像をピン/リピンしたユーザーもPinterestでは重要視される文化なんです。つまりPinterestでは、一般的なSNSで言うところのインフルエンサー的なポジションが自然にコンテンツに溶け込んでいる、と言えそうです。それを言い出すと、そもそも「投稿合戦によって投稿内容が際限なく洗練されていく」景色を最初に現出させたのはFlickr(2004年2月〜)だったという話まで遡る訳ですが。最初期のTumblr(2007年3月1日〜)はその結果蓄積された「最良の上澄み」を回覧して他サイトに撒き散らす事で成立し「平気で著作権侵害を犯すモラルに欠けた泥棒猫野郎ども」と罵倒されてました。囲い込みを破られる事を恐れた各SNSサイトが「サイトに投稿された画像などの著作権はそれぞれのサイトに属します。持ち出しは犯罪です」と規約に書き始めたのもこの頃。
*その後Tumblrの評価は「(元サイトへのリンクを消さない限り)大規模回覧によって勝手に作品を販促してくれる人達」と「(Tumblrの回覧だけ見て満足してしまう人達が意外と多い事実が判明して)アクセス数泥棒」の間を往復。しかし次第にDevianART(2000年8月〜)や、Flickrをモデルに生まれたPixiv(2007年9月〜)や、SoundCloud(2007年〜)や、Twitter(2006年7月〜)の画像投稿網や、Pinterst(2008年〜)、Minecraftコミュニティ(2010年〜)などに投稿される作品の国際的回覧網が形成され、その一部として組み込まれて「むしろこうした作品の国際的回覧網に組み込まれる事がサービス安定の鍵」と目される様になっていく。*この流れにはさらに「何でも投票でランクを決定する」Hot or Not(2000年〜)の大流行と、若き日のザッカバーグが大学のサーバをクラッキングして女子学生の写真を盗み出してこれを真似たFacemash.com(2003年頃)まで遡るとも。
- いずれにせよTumblr上の女子アカウントは「暗黒時代(The Dark Age 2011年〜2012年前半)」を切り抜ける過程で「政治的リーダーとして全体を仕切りたがるタイプ」や「孤高を好むGothタイプ」や「異性への憎悪を広めようとするタイプのラディカル・フェミニスト(Radical feminism)や同性愛者、一切の性的表現を禁止しようとするタイプの無性愛主義者(Asexualist)」などと縁を切る形で「機械学習めいた振る舞い」に到達。特別な排斥運動があったというよりこの変化についていけなかつた層が篩に掛けられた、あるいは逆にこうした層を篩に掛ける為、あえてそうした変化を遂げたとも。
*むしろ「棲み分け」が完了した2015年以降、緊張感が下がってこのプロセスが緩やかになったとも。男子アカウントの関係が安定したせいもあったかもしれない。
*ところが2016年度大統領選挙に際して Tumblr上の中間層は「その仕組み上、自分達に必要とされる情報を的確に集めてくれる訳ではない」国際SNS上の関心空間の構造的欠陥に直面する事に。ただしこうしたシステムがあったからこそ、パニック状態から早期回復出来たとも見て取れる。
*一方、こうした動きの中核には常にハリー・ポッター・ファン層とディズニーファン層がいた、そして2016年には前者が「ハリー・ポッターと呪いの子(Harry Potter and the Cursed Child、初演7月30日、刊行7月31日)」と「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(Fantastic Beasts & Where to Find Them、11月18日)」、後者が「モアナと伝説の海(Moana、11月27日)」に邂逅していつになく活気付いている。2017年が「再建の年」となる可能性は決して低くないと思われる。
I think about this meme while watching this scene... | RDJism
冒頭の問い「男女比はSNS上における意思決定過程にどういう影響を与えるのか?」の答えは単純じゃありません。確かに(国際SNS上の関心空間の一部としての)Tumblrにおいては誰もが「女子アカウントが集票力を握る事によって男子アカウントの暴走を抑え込んでる」実感を持ってますが、同時に「行き過ぎるとサイトが停滞する」危険も抱えてて、しかも男子アカウントばかりか女子アカウントにも「適切なバランスがどの辺りで、どうすれば調節が可能か」まるで分かってない所があったりします。まぁこれ自体はどのサイトもそうなんでしょうけど…
それはそれとして、今から思うに…
- 「ハリーポッター・シリーズ(原作1997年〜2007年、映画化2001年〜2011年)」の完了。
- カルト的人気を誇ったWeb漫画「Homestuck(2009年〜2016年)」の2013年以降の度重なる連載中断。2016年に連載が完了するまでに多くのファンを喪失。
- ウルトラ・フェミニズムの影響を色濃く受けたディズニー映画の迷走。概ね「既存のLove Storyを全面否定し、男性への侮蔑感情を刷り込もうとした」と弾劾されている「メリダとおそろしの森(Brave、2012年)」「アナと雪の女王(Frozen、2013年)」「マレフィセント(Maleficent、2014年)」の3作品あたりが列挙される。
こうした展開によって国際SNS上の関心空間の一環を占めるアニメ漫画GAMEファン層は想像以上に深く消耗していた様です。来年は復興の年になるのかな?