まさかのあの人が「近代的風評被害」最初の犠牲者とは?
今回の投稿の発端は」以下のポスト。
そうか、今日は「串の日」か…ところでこの「串刺し公」「ドラキュラ公」ヴラド三世、近代的風評被害の最初の犠牲者という話はご存知? https://t.co/qgLYlnwywL
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
犯人はハンガリー王マーチャーシュ1世(ハンガリー王1458年-1459年、ボヘミア対立王1469年、オーストラリア大公1479年-1490年)。最終的には神聖ローマ帝国皇帝の座も狙っていたといわれる野心家。しかし一体、どんな目的で?https://t.co/FMmaHxPKCi
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
神聖ローマ皇帝の座を狙うマーチャーシュ1世にとって最も避けたかった事、それは強大な隣国オスマン帝国と衝突して無用に消耗する事でした。ところがよりによってそんな時、ワラキア公が徹底抗戦派だったのです。それがヴラド3世だったという次第。https://t.co/EeTewpzLNJ
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
どうしてヴラド三世は対オスマン帝国強硬派になったか。幼少時、弟のラドゥ美男公と一緒にオスマン帝国に人質として差し出された際、中央集権化の徹底による効率的国家経営を目の当たりにし、それに組み込まれるのでなく、経営する側に回りたいと思ったからと推測されてます。https://t.co/u6C6xhMLCa
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
それで帰国するとそれまで大貴族連合に過ぎなかったワラキアの大貴族を次々と粛清し、厳罰主義の法運営で強引に中央集権を達成。さらに小国ながら焦土戦術や(串刺しにした捕虜を道端に並べ恐怖を煽るなどの)心理戦を駆使しオスマン帝国に大打撃を与えます。その姿はさながら…https://t.co/kuzBdRDEDW
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
戊辰戦争で名を馳せた越後長岡藩家老河井継之助。どちらも小国には到底追い切れぬ負荷を与え、それで敵も増やしていった側面も。一方、真逆の道を歩んだのが弟のラドゥ美男公。絢爛豪華たるイスラム文化に魅せられ、スルタン・ムラト2世の愛人となってスンニ派イスラム教に改宗。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
さらにはムラト2世の後を継いだメフメト2世の後援を受けてワラキアに帰還。ヴラド3世に恨みを抱く地元貴族を結集し、とうとうヴラド3世を追い出してしまいます(1462年)。マーチャーシュ1世が動いたのはまさにこの時で、トランシルヴァニアに亡命した彼を捕縛し1474年まで幽閉し続けたのです。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
その一方で「オスマン帝国の傀儡」ラドゥ美男公から臣従の誓いを受け「偽りの平和」を実現。ちなみにマーチャーシュ1世はイタリア・ルネサンス導入にも熱心で、その一環として獲得した最先端の印刷技術で刷った「ヴラド三世の悪逆非道を告発する小冊子」を欧州中に頒布し続けたのです。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
この仕打ちをヴラド3世がどう思ったかについては一切記録に残ってません。そもそも先例がないので、この種のプロパガンダが現在および未来にどういう影響を与えるか想像もつかなかったというのもあるでしょう。幽閉中は案外優遇されていて、それで気を良くしたという設問も。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
最大の失策は(おそらく幽閉中の洗脳でその方がいいと吹き込まれ)マーチャーシュ1世の妹と結婚し、カソリックに改宗した事。これでワラキア貴族の信頼を完全に失い、開放後は破滅に一直線…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
しかもプロパガンダはヴラド3世の死後も継続。よりによって野望に満ちたマーチャーシュ1世の無念の夭折(47歳)後(大貴族マグナートの専横が再開して軍が弱体化し、1526年のモハーチの戦いでオスマン帝国に大敗北)、ハンガリー貴族連合の宿敵ハプスブルク家が継承する形で。https://t.co/xWXazEelqw
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
そう、ここでヴラド3世の遠縁の親戚「血の伯爵夫人」バートリ・エルベジュートが登場。彼女が希代の猟奇殺人者である事、バートリ家が数多くの変態や狂人を輩出してきた家系であった事実自体は動かないのですが…https://t.co/51xTaQt7Im
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
実はバートリ家はハンガリー貴族の盟主的存在でトランシルバニア公の地位とも縁深いハプスブルク家の宿敵でもあり、だからこそことさらにその話が欧州中に誇張した形で言い広められる展開を迎えたという訳です。https://t.co/bNABcPupkz
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
しかも「血の伯爵夫人」の血統はさらに18世紀前半におけるハンガリー貴族の反ハプスブルク運動の盟主ラーコーツィ家にも接続。ただし彼らの最も重要なパトロンだったフランス王室は…https://t.co/IP5IXkgwHN
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
「ベルサイユのばら」のそもそもの発端、すなわちオーストラリア皇女マリー・アントワネットのフランス王室への輿入れの原因となった「外交革命(それまで対立してきた神聖ローマ帝国皇統ハプスブルク家とフランス王統ブルボン家の歴史的和解)」を契機に撤退。https://t.co/IyHLNOc8cG
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
この様に政治的都合からあっけなく見捨てられ、故郷を捨てオスマン帝国への撤退を余儀なくされたラーコーツィ家の胸中たるやどれほどのものだったか。その気持ちが「外交革命に功績のあったフランス宰相の失脚を狙った」サンジェルマン伯爵もその眷属と評する伝説を…https://t.co/n37Gfo4Eof
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
もはや江戸時代日本で流行した「平将門の娘」滝夜叉姫の復讐譚の次元。そう「鍋島藩化猫騒動」同様、こうした「家系間対立が生み出す暗闘を基底とする陰謀論」こそが中世から近世にかけての説話の物語文法の最重要モデルだったのです。 pic.twitter.com/3mDQWbjd8A
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
こうした血統信仰的陰謀論暴走の末端に現れるのが、ディズニー・ロマンス映画史上空前絶後「続編で駄目人間と発覚し、ディズニー・プリンセスに捨てられる人間のクズ」ジョン・スミス船長。実は彼にもバートリ家の騎士だった時代があるという、意外な過去が存在したのですね。https://t.co/aD1MLwqKSw
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
そしてジョン・スミス船長が世界中にばら撒いた法螺話「ポカホンタスとのロマン」は、大航海時代の冒険者達を大いに鼓舞する一方、南北戦争前夜には北部が南部を扱き下ろす材料に使われる数奇の展開に。https://t.co/5NPRV0OwQn
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
その一方でポカホンタスの末裔は「実質上、アメリカ初の女性大統領を勤める」なる奇貨に邂逅する事になるのでした。血統妄想、まさにここに極まれり…https://t.co/PXFxfZq4Mq
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月4日
そして…
いろいろとうなずいたり驚いたりしながらツリーを読んでいたのですが、ここで思わず「あっ、けもフレ2だ!」という、意味不明な感想が出てきてしまいました。 https://t.co/biTO7o18Qy
— 明日の僕は今日よりもBAG (@tomorrowsbag) 2023年9月5日
https://t.co/YCGPXIeOhk
— 明日の僕は今日よりもBAG (@tomorrowsbag) 2023年9月5日
最近この動画を見返していたもので……。
追撃で「私時々レッサーパンダ」を紹介してくるのか…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月9日
そして…
次点で気になったのがここ。
— 明日の僕は今日よりもBAG (@tomorrowsbag) 2023年9月5日
ん? https://t.co/NGriaS3oyl
ここら辺「司馬遼太郎が描いた河井継之助像」と「プロパガンダにおけるヴラド・ツェペシュの描かれ方」の交錯(どちらにも埋葬された墓が荒らされ続ける描写がある)。https://t.co/3nEFuDGTqK
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月5日
(実は、しれっと「スルタンの愛人」というワードが出てきた方に反応していたんですが……でもまあ騒ぐほどでもないか。)
— 明日の僕は今日よりもBAG (@tomorrowsbag) 2023年9月5日
それ腐女子の間では常識かと思ってました。 https://t.co/gRgI4miL03
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年9月5日
あいにく腐男子ではなく百合男子(?)なものでw
— 明日の僕は今日よりもBAG (@tomorrowsbag) 2023年9月5日
そんな感じで以下続報…