「消費は投票」と豪語し、自分が好きなものが世から消えない様に買い支える姿勢が明瞭なミレニアル世代。広告業界から「インフルエンサー・マーケティングが通用しない」と嘆かれているこの層は当然、ターゲット広告の展開についても煩いのです。
このインスタグラムの広告は、子どもを産むことへの関心(または無関心)をソーシャルメディア上で表明したことのない30歳の女性であるわたしに、卵子の凍結を提案しているのだろうか? そう、確かにこの広告はそれを提案していたのだ。しかも、それはわたしに対してだけではなかった。この広告の下には、当惑したコメントが連なっていた。
「何これ!? うちのママがお金を払ってわたしのフィードにこの広告を入れろって言ったわけ!?」とあるユーザーはコメントした。
「32歳のわたしの卵子はまだフレッシュよ。でも、わざわざ時計の写真までつけて思い出させてくれてありがとう」とまた別のユーザーは書き残した。
「このターゲティング広告は不快だわ」。ある女性はわたしたち全員の気持ちを代弁してくれた。
ビッグデータを使えばプライヴァシーに踏み入れられるようになり、ふさわしいときにふさわしい場所で、ふさわしい人にリーチすることを狙うマーケティング業者にとって、強力なツールが生まれた。正しく取り入れれば、ターゲットマーケティングはビジネスにとって有用だ。しかし、「Extend Fertility」によるこのインスタグラム広告は、個人データをマーケティングツールとして利用することで生まれる問題に光を当てている。
新しい種類の「商品/サービス提供者と消費者の対話」が求められている?