諸概念の迷宮(Things got frantic)

歴史とは何か。それは「専有(occupation)=自由(liberty)」と「消費(demand)=生産(Supply)」と「実証主義(positivism)=権威主義(Authoritarianism)」「敵友主義=適応主義(Snobbism)」を巡る虚々実々の駆け引きの積み重ねではなかったか。その部分だけ抽出して並べると、一体どんな歴史観が浮かび上がってくるのか。はてさて全体像はどうなるやら。

【沙耶の唄】【人口庭園願望】【飛騨女物】言語ゲーム空間としてのコスミック・ホラー

 元ゲームは未プレーですが、 最近虚淵玄オリジナル脚本作品として著名な「沙耶の唄2003年)」のノベライズ版(2018年)を買って読んでみました。 

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沙耶の唄(2003年) - Wikipedia

2003年12月26日にアダルトゲームブランドのニトロプラスから発売されたアダルトゲーム。 脚本は虚淵玄

1プレイの目安が5時間、エンディング数が3と少ないかわりに、定価4800円(税別)という低価格で発売され、いわば廉価版的存在となっている。

作品中で登場人物に「昔読んだ、漫画で…」とぼかして語らせたように手塚治虫の漫画『火の鳥・復活編』へのオマージュとなっている。またクトゥルフ神話の要素も取り入れられており、表立った設定や用語はほとんど見られないものの、狂気、異界、禁忌といったエッセンスを強く再現している。

2009年7月31日にWindows Vista対応の廉価版『沙耶の唄 Nitro The Best! Vol.2』がパッケージ版が定価2800円(税別)、ダウンロード版が定価2300円(税別)で発売された。 また、2013年2月28日には、あそべる!BDゲームでBD-PGへの移植版が発売された。さらに同年4月17日には一部演出を変更した上でAndroid移植版の配信がビジュアルアーツのアプリマーケット『アニゲマ』で開始された。


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展開自体は原作のメイン2ルート+新規展開といった内容で、既存シナリオ2つを纏め上げる構成は流石の一言。文章だけで読むと、大槻先生の文体の癖もあってクトゥルフホラー感が強い。想像力を掻き立てるクドイまでの描写がラブクラフト全集のようで小気味良い仕上がりに。世間的は沙耶の唄は純愛モノという評価で膾炙していますが、単純にクトゥルフモチーフとして完成されていることが分かります。

クトゥルー・モチーフの「言語ゲームSprachspiel)=パサージュPassage)」空間? これが本当の意味でのマルチメディア?

英語圏シェアワールド創作作品群「SCP Foundationexit」に登場する、世界規模の架空の団体。創作する際の便宜的名称で、作品の中では単に「財団」と呼ばれる。

人類はこれまでにおよそ25万年もの歴史を歩んできた。しかしその歴史のうち特筆すべきは僅かこの4000年に過ぎない。

我々は25万年に渡って何をしていたのか?そのほとんどを、理解の外にあるものを恐れて、洞窟の中で小さな焚火を囲み身を寄せ合って過ごしていたのだ。何故太陽が昇るのか、それを明らかにすることよりも、岩壁に刻まれた人頭を持つ巨大な鳥の神秘こそが真に迫るものであった。そして我々はそのような存在を『神』と、あるいは『悪魔』と呼び、許しを乞い、救済の祈りを捧げた。

時は流れ、それらは次第に衰え、我々の数は多くに増えた。恐れるものは数を減らし、世界はより理に適ったものへとなり始めた。しかしそれでも、不可解なるものは決して消え去りはしなかった。まるで世界が不条理と不可能を必要としているかのように。

人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。他に我々を守るものはいない、我々自身が立ち上がらなければならないのだ。

人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。

確保、収容、保護。

-管理者

SCP財団とはexit

以上の理念に沿い、財団は「SCPオブジェクト」と呼ばれる異常な物品/現象/生物/場所の「Secure確保)・Contain収容)・Protect保護)」を目的として活動。世界各国に支部が設立され、その存在はフロント企業によって隠蔽され、活動が表に出る事はない。SCPオブジェクトの例を挙げると

  • あらゆる病気を副作用なく治療できる薬exit
  • キーボードで入力した「液体」を販売する自販機exit
  • 見ると溺死する絵画exit
  • 人類とあらゆる生物を憎む不死身の爬虫類exit
  • 全てを粉砕消去する電動歯ブラシexit
  • 定期的に化け物が湧いて出る赤い水溜まりexit

これら異常性を発する存在の取扱方および概要を記したレポート(SCP Report)を纏めたWikiサイトが「SCP Foundation」である。収容対象には番号が振られており、「SCP-[番号]」と呼称される。また財団支部に独自に収容された対象には、番号の後に国名の略号が入る(例:日本支部=JP、フランス支部=FR、ロシア支部=RO)。


Wikiの形であることからもわかるように、各SCPや関連文書は登録したメンバーによって集団で創作されている。こういった形式の場合は完成度が低いものが混じりがちだが、Wikiではプラス・マイナス双方の「投票」制度があり、低評価(downvote)が一定数を超えた作品は削除されてしまう。これにより、一定以上のクオリティのものしか残らない仕組みになっている。 

虚淵玄原案・大槻涼樹著「沙耶の唄」ノベル版(2018年)より

精緻な飾り物を施した飾り窓。どこかの未開部族の民芸品の様なグロテスクな小像。仮面。吐き気を催す様な色合いで織り上げられたタペストリー。赤ん坊の頭ほどの大きさのある水晶宮…総じてアンティークの類と見えなくもないが、いずれにも共通するのはどこか見る者の生理的嫌悪を掻き立てる悪趣味な意匠である。どれもこれも製作者が恋に後世に悪意だけ遺そうとしたかの様な、そんな邪な意図を感じされるものばかりなのだ。

 いつか奥涯邸で見た類の稀覯書めいた書物もあちこちに積まれており、戸棚には羊皮紙なのかパピルスなのか、明らかに現代のものではない巻物の様な何かを並べた一角もある。そして、そこかしの壁には、びっしりとチョークか何かで描かれた意味不明の図形の数々が残されていた。二枚ほど用意されていた移動式ボードにも、所狭しと奇怪な落書きめいた文様が書き込まれている。どれもこれも眺めているだけで目眩がしてくる様な…

 「見るんじゃない」

耕司の隣で涼子が鋭く断ち切る様に言った。

 「いいか、ここから絶対に動くな。絶対に何かに触ったりするな。目を惹く様なものがあっても見つめるな。まずいと思ったらすぐに目を逸らして自分の靴を見て出来るだけゆっくりと数を数えるんだ。わかったか?」

ライトの絞りを緩くして部屋全体を照らせる様に手近の台に置くと、ショットガンを仕舞ってさらに耕司を当惑させる様な道具を取り出した。高解像度のディジタルハンディカムと、缶入りのスプレー塗料。左手にディジタルハンディカム、右手にスプレー塗料を構えると、カメラの横に開いた液晶モニターを通じて壁や黒板の図形を軽く確認だけしながら撮影し、撮った端からそれを黒のスプレー塗料で塗り潰し始めたのである。
*駐車場、道路、工場、倉庫、運動場等のアスファルト面やコンクリート面には速乾性で塗装しても滲まない道路用スプレーが有効。

「あの先生、一体何を?」

「レッスン1。妙な図形やテキストの類は絶対に読むな。見つめるな。直視もするな。調べるにせよ、後回しにしてデータだけ撮って後から調べるのが鉄則だ。現物はその場で塗りつぶすか破壊しろ」

いわれてみれば確かに涼子は図形の類を絶対に直視せず、常にカメラのサブモニタに映る画像をちらちらと確認するだけで動き回っている。
*この世に存在する「怪異」の中には「サブモニタには映るが録画は不可能な現象」も存在するので、実際にはビデオプリンタやスケッチブックの併用が欠かせない。

「いったい、どういう…」

「ここまで深入りしたなら後学の為に聞いておけ。水晶や鏡など、とにかく反射するマテリアルで出来たものも注意だ。この類のブツは下手に壊すと厄介極まりない。とりあえず布でも被せるか、スプレーで封印しろ」

物語の中で「怪異」側たる沙耶は、こうしたある種の虚仮威しを「確実ではない心理戦」と総括しています。なにしろ相手はあまりのおぞましさに戦慄して勝手に戦意を萎縮させてしまうかもしれません。追い詰めたせいでかえって凶暴化させてしまうかもしれません。そしてさらには手口を分析の達人に読まれたら判断の材料を与えてしまうかもしれないのです。

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  •  「人口庭園願望」…愛妻を肺病で失って陰鬱な気分に沈んだ最晩年のエドガー・アラン・ポーが残した「アルンハイムの地所The Domain of Arnheim、 1846年)」「ランダーの別荘Landor's Cottage、 1849年)」を嚆矢に、フランス象徴主義の寵児ユイスマンスの「さかしまÀ rebours;1884年)」において一つの完成型に到った。日本では谷崎潤一郎黄金の死1914年)」を嚆矢に江戸川乱歩パノラマ島奇譚1926年〜1927年)」「大暗室1936年〜1939年)」「影男(1955年)」や小栗虫太郎黒死館殺人事件(1934年)」「失楽園殺人事件(1934年)」におけるパノラマ描写を経て、横溝正史悪霊島1979年〜1980年、映画化1981年)」において一つの完成形を見たとも。
    *祖父が谷崎潤一郎の門人だった虚淵玄、完全に巻き込まれてますね。

 割とこうしたメタ展開、ジェーン・オースティンノーサンガー・アビーNorthanger Abbey、執筆開始1798年、発表は死後の1817年)」が最初だった様な。「ゴシック小説のヒロインこそゴシック小説を読んで、ありきたりのトラップくらい自然に回避すべし」。でもこの物語には「ゴシック小説的展開を回避しようとするあまり、知人の駆け落ちを見逃してしまう」という恐るべき推理小説元祖的要素が組み込まれていたりもするのですね。