私の数学系投稿は「(前後左右上下の峻別に由来する)デカルト座標系(Cartesian Coordinate System)を生み出した人類の数学的直感の起源は、カンブリア爆発期、視覚と視覚情報を処理する脊髄を授かった左右相称動物(Bilateria,重力場での前身運動に特化した魚やエビやカニの先祖)が、鈍重な放射相称生物(Radiata、ウニやクラゲやヒトデやイソギンチャクの類)に進化上の優位を獲得した時点まで遡る」を枕言葉にしている訳ですが…
実際には両者の間には複雑な中間領域が存在し、例えば散在神経系(神経節や脳のような発達した神経の集中が見 られず、体全体に網目状に神経ネ ットワー クを形成する生物群)に分類される生物には少なからぬ比率で「(脳を発達される事を途中で諦めた)出戻り組」が散見されるのです。
そうした生物がどうやって生き延びてきたというと…
本日の貝: "キンカラガイ"。ハワイ オアフ島 600m深。 pic.twitter.com/CaT7DFmXeo
— C. Chen @ Jamsteeeec (@squamiferum) 2016年4月1日
@squamiferum エイプリルフールネタでした!正しくは「キンカライソギンチャク」Stylobates aeneus、貝ではなくヤドカリと共生するイソギンチャクが分泌するキチン質の"殻"です!図は同属のS. birtlesi。 pic.twitter.com/X2HFQNeTa2
— C. Chen @ Jamsteeeec (@squamiferum) 2016年4月1日
え、何それ?
すごすぎる・・・この『巻貝』、ヤドカリと共生したいイソギンチャク(キンカライソギンチャク)がヤドカリに入ってもらうために作り上げたニセモノの殻らしい。この構造を作るのに巻貝が一切関わっていないというのが驚愕。https://t.co/795ejVWjsP https://t.co/MSV7nBr7EC
— 中島保寿(都市大・古生物) (@japanfossil) 2021年4月19日
失礼しました。『この構造を作るのに巻貝が一切関わっていない』というのは誤りで、ちいさな巻貝の殻の出口にイソギンチャクがキチン質を付加していくことで大きな巻貝のようになるそうです。https://t.co/g49cCOkyv5 https://t.co/rZCsUajpVH
— 中島保寿(都市大・古生物) (@japanfossil) 2021年4月19日
ちなみにこのツイートによると、巻き始めの土台になった小さな巻貝はイソギンチャクに溶かされてなくなってしまうとのこと。ゼロから作ったようにみえたのはそのせいかな。https://t.co/bDdw39sfSw
— 中島保寿(都市大・古生物) (@japanfossil) 2021年4月22日
元々は小さな巻貝の殻をさらにイソギンチャクが大きくする、と書いてあるものもありますね…
— Captain Nemo (@kuronekococochi) 2021年4月19日
いずれにしろ三次元的な構造物をイソギンチャクが作るなんてとても興味深いです。
巻貝の形は、(専門家的には)比較的単純な数理モデルで表現できるらしいので、このキンカライソギンチャクは、螺旋のパラメータを小さな巻貝から取得すれば、Z軸方向には自力で進展させられるのかなあ…と思うと興味深いです。https://t.co/UVIaDuDLSv pic.twitter.com/wZ8KU3PJBe
— Captain Nemo (@kuronekococochi) 2021年4月19日
はい、これが『巻き終わった貝殻』を数学的に記述したRaupモデルですね!これに対して、『どうやって殻を付け加えていけばいいか』を数学的に記述したのが岡本モデルというやつです。後者のほうが、殻を作る貝の気持ちに寄り添ったモデルとみなされています。https://t.co/u4bMT0dEpj
— 中島保寿(都市大・古生物) (@japanfossil) 2021年4月19日
『殻を作る貝の気持ちに寄り添ったモデル』
— Captain Nemo (@kuronekococochi) 2021年4月19日
生物好きにとってはとても琴線に触れるフレーズです!
"共感力の高いモデル"という訳ですね😊
はい、私自身勘違いしていたところを近藤先生に直に教えていただいたので心に刻んでいます(笑)。Raupモデルは貝の形を正確に記述はできるけど、貝殻を作っている貝本人はこれらのパラメータを意識して作ることはできないんですよね。https://t.co/IIVmjTvgRN
— 中島保寿(都市大・古生物) (@japanfossil) 2021年4月19日
こういう進化の方向もありだと気づいたしくみが不思議のかたまりです(^^)
— シャボン玉ホイホイ (@shabondamahoih1) 2021年4月20日
ここでもやはり「数理を運用する主体」という概念が登場するのが興味深いのです。