同時代の中島みゆき「わかれうた(1977年)」の一節を思い出させます。「♪恋の終わりはいつもいつも、立ち去るものだけが美しい。残されて戸惑う者達は、追いかけて焦がれて泣き狂う」
この投稿に思わず付け加えたくなってしまったtweet群…
2014年の『現代思想』ロシア・ウクライナ特集に寄稿した論考「水面下の代理戦争――ユダヤ・ファクターから見たウクライナとロシアの動向』で私は、以下のような文章で締めくくりました。https://t.co/hpGRsqo32D
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
「これまでのところ、「ユダヤ人」は主要な敵とまでは認識されてこなかったと言えるが、ウクライナとの危険な対立関係がこの先もさらに続いた場合、プーチンが今度は国内に向けて「ユダヤ・カード」を切らないという保証はない」
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
ところが、Center for European Policy Analysisの"Europe's Edge"のある論考(2021.11.18)は、プーチンがまさに「ユダヤ・カード」を切り始めたのではないかと指摘し、侵略の可能性が日増しに高まっていると警告していた。Russia Plays the Antisemitic Card in Ukraine https://t.co/haZ3hmXwMh
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
この論考が注目しているのは、プーチンのかつての側近で、ロシア大統領にもなったことのあるメドヴェージェフが去年の10月11日に「コメルサント」誌に寄稿した「現在のウクライナ指導部との接触がなぜ無意味なのか」と題された論説である。原文→https://t.co/3g5eGBJl3T
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
メドヴェージェフは去年1月に首相を解任されてからは、プーチンのインナーサークル外の人となり、今は安全保障会議副議長というパッとしない肩書なので、この論説は西側であまり注目されなかったようですが、著者は、反ユダヤ主義的な内容とトーンがこれまでと違って、一線を越えたと指摘しています。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
いま、メドヴェージェフのこの論説を熟読して、かいつまんで概略を示そうとしてたのですが、その労苦は無駄だとわかりました。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
駐日ロシア大使館のフェイスブックページですでに日本語訳が出ておりました(笑)。
ご査収ください:https://t.co/2foPZ7zSTN
「現在のウクライナ指導部との接触がなぜ無意味なのか」の論拠とされた5つの論拠のうち、とくに第一は、ゼレンスキーのアイデンティティをめぐるもので、ユダヤ人でありながら、ウクライナの極右に媚びてナショナリスト振りをアピールするなど、アイデンティティが崩壊した人間として描かれている。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
表面的には、ユダヤ人であるゼレンスキーに同情を示すようなレトリックを使っているが、要は、一貫した民族的アイデンティティを喪失した者が司る国家に正当性はないと暗に言っているのである。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
ちなみに、メドヴェージェフは、「(彼らの脳内では)ネオナチに乗っ取られた」ウクライナ政府に仕えるゼレンスキーを、ナチスのSSに仕えたユダヤ人組織ユーデンラートになぞらえている。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
この狂った言い分に、私が大好きなユダヤ人ジャーナリスト、めちゃくちゃ怒っていて、「対ロシア開戦を」って公言し出している。 https://t.co/R16HiyvLRz
— 赤ずきんさん (@bo40124) 2022年3月7日
— 赤ずきんさん (@bo40124) 2022年3月7日
「権力を利用して蓄財に励むのではなく、国のために我が身を犠牲にすることも厭わないようなリーダーは、ウクライナには過去、現在、そしておそらくは未来にも、存在しない」とメドヴェージェフ。でも現れちゃったんだよね、あんたらのせいで。しかもあんたがアイデンティティ喪失者と呼ぶユダヤ人が。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
どの「論拠」と言われているものも感情レベルから脱してないので、どうしてアイデンティティが崩壊してるのか、どの部分が不協和音なのかなどさっぱりわからないです。
— 6.4 Joe (@gojoh) 2022年3月7日
メドヴェージェフが蓄財について諭してる世界とは摩訶不思議。
— chappie0703 (@chappie0703) 2022年3月7日
しかし、このメドヴェージェフの論説、ポイントの一つは、ゼレンスキーはユダヤ人であるが故にウクライナの正当なリーダーにはなり得ないと言い切っている時点で典型的なレイシズムなのだが、他方で、ユダヤ人をレイシズムの被害者と描くことで、その中和を図っている点で、実に厄介なテクストである。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
このようなある意味で「洗練された」テクストであれば、ウクライナ民族主義の歴史的な犠牲者とも言えるユダヤ人の中には、その記憶が現在の状況を見定める際に影響を与えれば与えるほど、このような時代錯誤的なレトリックに容易に取り込まれてしまうだろう。現にイスラエル政府はその兆候を見せた。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月4日
<メドヴェージェフ論考「現在のウクライナ指導部との接触がなぜ無意味なのか」(「コメルサント」10/11)に見るロシアの政治言説におけるユダヤ人大統領ゼレンスキーの位置づけ>https://t.co/dIAZ6blKe4
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月5日
フェイスブックに東欧・ロシアに関するちょうどよいプラットフォームがあったので、久し振りに、珍しく研究者っぽいことをやってみました(笑)。メドヴェージェフ論説についてツィートしたことのまとめです。
— 直立演人 (@royterek) 2022年3月5日
そんな感じで以下続報…