諸概念の迷宮(Things got frantic)

歴史とは何か。それは「専有(occupation)=自由(liberty)」と「消費(demand)=生産(Supply)」と「実証主義(positivism)=権威主義(Authoritarianism)」「敵友主義=適応主義(Snobbism)」を巡る虚々実々の駆け引きの積み重ねではなかったか。その部分だけ抽出して並べると、一体どんな歴史観が浮かび上がってくるのか。はてさて全体像はどうなるやら。

「富の呪われた部分」とは?

カール・ポランニーの経済人類学は未だに応用の余地がある。だがジョルジュ・バタイユの普遍経済学はどうだろう?

don't need a title — Really ? Really.

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 ポトラッチ(英語:potlatch)

ハイダ族、ニューホーク族(Nuxalk)、トリンギット族、ツィムシャン族(Tsimshian)、ヌートカ族、クヮクヮカワク族、沿岸セイリッシュ族(Coast Salish)を含む、アメリカ合衆国およびカナダ・ブリティッシュコロンビア州の太平洋岸北西部海岸に沿って居住する北アメリカの太平洋側北西部海岸の先住民族によって行われる祭りの儀式。儀式に先立って巨大な丸太を彫刻したトーテムポールが彫られ、これを部族員総出で立ち上げる行事が行われる。

◎「ポトラッチ(potlatch)」という言葉は、チヌーク・ジャーゴンで「贈る」または「贈り物」を表す言葉に由来する。太平洋岸北西部先住民族の重要な固有文化で、裕福な家族や部族の指導者が家に客を迎えて舞踊や歌唱が付随した祝宴でもてなし、富を再分配するのが目的とされる。子供の誕生や命名式、成人の儀式、結婚式、葬式、死者の追悼などの機会に催された。

◎太平洋岸北西部先住民族の社会では、一族の地位は所有する財産の規模ではなく、ポトラッチで贈与される財産の規模によって高まる。ヨーロッパ人と接触する以前は、保存性のいいキャンドルフィッシュ(Thaleichthys pacificus)の油や干物、カヌーが贈与され、特に裕福な者のポトラッチでは奴隷が譲与されることもあった。

◎白人との交易が活発になると、先住民族社会の富の偏在が先鋭化し、また疫病の流行により部族内の重要な地位に空きができたことから18世紀後半から19世紀初めにかけてポトラッチのインフレーションが起こった。食料では干物の他に砂糖や穀粉が分配されるようになり、毛布や金属製品、等価交換の媒体として用いられる装飾された金属、現金までが贈与された。

◎等価交換の度が行き過ぎて、片方が貴重な品を破壊するともう片方もそれと同じ価値の品を破壊する、というふうに分配された品物が受け取られた直後に破壊されることもあった。クヮクヮカワク族などでは社会的地位をめぐりポトラッチ開催の競争が起こった。

宣教師や政府の役人は「ポトラッチは浪費を促し非生産的で非文明的な悪習で、文明化と布教の障害である」と見なしたため、カナダ政府は1885年から1951年までの間、ポトラッチの開催をインディアン法により禁止していた。アメリカ合衆国政府も19世紀末にポトラッチを禁止した。しかし先住民族の人口があまりに多かったため反ポトラッチ法の執行は非現実的で、罰則は次第に緩められた。また、ポトラッチは多くの人類学者の研究対象となってきた。

 実は定義上は日本の御歳暮や御中元も同カテゴリーに含まれます。まさしく経済人類学者カール・ポランニーいうところの「市場経済化されておらず、人間社会に埋め込まれたままの経済機能」そのもの。ちなみにカナダのポトラッッチは「奴隷の虐殺合戦」にまで加熱した後、現在では主に「手作り料理を持ち寄った昼食会」を意味する言葉になってるそうな。その間何があった?

互酬(Reciprocity)

文化人類学、経済学、社会学などにおいて「義務としての贈与関係や相互扶助関係」を意味する学術用語。日本語では互酬性という表記も見られる。

◎集団の対称性(symmetry)を特徴とする。集団間における財やサービスの運動によってギブ・アンド・テイクを促進し、相互依存の関係を作る。

◎互酬を行う集団は対称的なサブグループを組織するので、3つ以上の集団も参加できる。その場合は相互にではなく、類似の関係にある第3のサブグループとやりとりを行う。

◎集団において経済組織が分離していない場合は、互酬は親族を中心に行われるため、親族関係が複雑となる。

カール・ポランニーは、互酬を再配分や交換とともに社会統合の主要なパターンの一つとし、マーシャル・サーリンズは、近親者に多い「一般化された互酬」、等価交換である「均衡のとれた互酬」、敵対関係に多い「否定的な互酬」に分類して分析を加えた。

【贈与とその返礼】…祭事、結婚、葬儀をはじめとして贈り物がなされ、社会的地位を保つために返礼が重要とされる。有名な例として、アメリカ大陸北西部の儀式であるポトラッチがあげられる。ヴァイキングも威信財の贈与を盛んに行い、時には詩のような物財ではない贈り物も用いた。

【婚姻と結びついた互酬】ニューギニアのバナロ族やアフリカのティブ族の制度がある。バナロ族では4組以上の男女の組が同時期に婚姻を行い、それぞれの相手は互酬集団の他の人間と親族となった。親族は贈与、労働などの他の互酬活動と密接に結びつく。

【労働/共同作業による繋がり】…ドックプウェ(ダホメ王国の集落単位での相互扶助体制)、ゴトン・ロヨン(gotong royong、インドネシアやジャワにおけるムラの相互扶助慣習)、結(Yui、日本の小さな集落や自治単位における伝統的共同作業制度)など。トロブリアンド諸島の畑仕事はメンバーや労働の性質によって5つに分けられている。

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【共有資源(Local Commons)による繋がり】…森林、水資源、草地などの共同管理。古代ギリシアにおいてアリストテレスが唱えた相互依存の原理(アンティペポントス)もこれでヘシオドスの「労働と日(紀元前7世紀成立)」は、部族社会の変化で互酬関係が衰えた時代を描いたとする説もある。

【寄付/喜捨…寄付の制度としては、イスラームのザカートや土地信託も含むワクフなど。ワクフは慈善として不動産や公共施設にも用いられるため、再配分としての機能も持つ。

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【交易】…共同体の外部に対する互酬は交易の形をとることがある。トロブリアンド諸島のクラのような贈与交易や、共同体同士が接触を避けながら交易を行う沈黙交易など。集団間の交易が不安定であったり、交渉が不成立となったり、支配者と被支配者の関係にあると、互酬的な交易ではなく略奪や貢納となる場合もあったが、その一方で交易で取引相手のもとに滞在する時は、客人として迎えられた。中世アイスランドの貿易は夏にかぎられているため、外国商人は冬になると農場に滞在し、地元の指導者であるゴジや主人の保護を受けるかわりに農作業や戦闘を手伝っている。交易における客人関係は、トロブリアンド諸島のクラや、中世イスラーム旅行者のイブン・バットゥータが記したマラッカのシャーバンダルの制度にも見られる。
幸村誠ヴィンランド・サガ(VINLAND SAGA、2005年〜)」 は北欧諸族の「客人」慣習にハスカール(従士)制の起源を見ている。その延長線上において「それは互酬的要素が薄れるにつれうまく働かなくなっていき、ノルマン人やヴァリャリーグ傭兵隊の衰退につながった」と推察する事も可能であろう。
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 ここから「利潤とは富の呪われた部分であり、その蓄積は伝統的共同体を破壊するから定期的に蕩尽(consommation)し続けるのが正解」という発想が生じ、絶対王政下において国王が国民から吸い上げた金を戦争や贅沢で浪費してしまうのを正当化していたという次第。

ちなみに20世紀後半にはこの説明がしばしば「リオやヴェネツィアにおけるカーニバルとは何か?」という説明にも用いられ、日本の豪勢な祭りも主旨は同じとし「やがて人間社会全体がこの世界に回帰する」と予言するのが流行。今から思えば牽強付会に過ぎた気もしないではない?

とりあえずこれでは産業革命なんて始まる筈もありません。