これは興味深い実験…
時計は正確なほど、多くのエネルギーを消費してエントロピーを増やす…こんな面白い実験結果が発表されたよ!これは量子力学と古典力学のミックスみたいな研究だよ!リプライで解説するね!
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
A. N. Pearson, "Measuring the Thermodynamic Cost of Timekeeping". Phys. Rev. X., 2021; 11, 021029. pic.twitter.com/9A1ShAT6zA
[ニュースのポイント]
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
○時計が消費するエネルギーと正確性に関係があるのかという問いはまだよくわかってなかったよ。
○今回の実験で、与えるエネルギーが大きいほど正確に動作して、単純な比例関係にある事も突き止めたよ!
○時間の流れと言う基本的な問いに答えを出すかもしれないよ!
時計は電池や太陽光、コンセントなどからエネルギーを得て動いているよね?このエネルギー消費は、実は時計の正確性と関連している事が昔から知られているよ。ところで、物体がエネルギーを消費して仕事をすると、必ず熱が発生し、エントロピーと呼ばれる値を増大させる事もまた良く知られているよ。
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
エントロピーは大雑把に言えば乱雑さで、整理された部屋より散らかった部屋の方がエントロピーが高いというよ。これは原子レベルのような小さな世界でも成り立っていて、そして熱力学と呼ばれる物理の基本的な分野では、全体のエントロピーは決して減少する事はないという基本法則が存在するよ!
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
この2つを組み合わせると、時計が正確であるほど、消費するエネルギーが大きくなり、それに伴って熱放出とエントロピーも増える、という、時計の正確性とエントロピーには関係があるという予想が成り立つよね?実際、量子力学が適用されるようなミクロでの世界では、そのようなモデルが存在するよ。
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
でも、もっとマクロのスケール、つまり古典力学的な世界において、そのような時計の正確性とエントロピーの増大が単純な比例関係にあるのかどうか、という基本的な問いについては、まだちゃんとした答えが出ていなかったよ。これは時間の概念に関わる、とても重要な問いだから、答えはとても重要だね!
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
今回の研究では、厚さが数十ナノメートル、長さが1.5mmのとても薄い膜を使った "時計" を作成し、この問いに挑戦したよ。この時計は、熱を与えると膜が振動して電気が流れて、この電気の流れを時間の刻みとしてカウントしていく、というとても単純な仕組みで出来ているよ。
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
この時計の利点は、熱を与えるだけで振動するという単純な仕組みで、かつ流れた電流で時間を測定できるだけでなく、消費したエネルギーもわかるという仕様にあるよ!これが増大するエントロピーを測定する事に繋がるから、これによって時計の正確さとエントロピーの関係が分かるんだよ!
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
この実験はとても意義深いよ!まず、この時計の仕組みは熱から仕事を生み出している点で蒸気機関と同じで、そこには熱力学の法則が働いているよ。そして法則から予測される時計の正確さとエネルギー消費量は、実際の時計とほぼ一致していて、法則の正しさが今までと違う角度から確かめられたよ!
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
また、時間の概念についても見方を変えてしまうかもしれない発見だよ!時間は過去から未来へと一方通行に流れていて、エントロピーは必ず増大するという法則から、エントロピーの増大は時間の流れの前提条件、または測定手段であるとこれまで考えられてきたよ。
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
しかし今回の実験を通じてわかるのは、エントロピーは時計の正確さに関わる基本的な制約で合って、時間の流れとは必ずしも関係ない、と言う事だよ。これは時計の設計や、そもそも時間とは何か、という基本的な問いに関わるものだから、とても大事だね!
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
[画像引用元]
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
Lancaster University (EurekAlert!) よりhttps://t.co/bkifPSGbxG
[文献情報]
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月9日
A. N. Pearson, "Measuring the Thermodynamic Cost of Timekeeping". Physical Review X, 2021; 11, 021029. DOI: 10.1103/PhysRevX.11.021029/https://t.co/nBn41tdwEI
大変わかりやすい解説をありがとうございました!
— エージ/多部栄次 (@moto0723ino) 2021年5月10日
エントロピー増大に従い時間が進むとは限らず、時間の正確性にエントロピー増大が関与してる点に感銘を受けました(その認識で正しいでしょうか…?)
素人質問で恐縮ですが、時間の正確性とは何か、何を以て正確だと定めてるのか疑問に感じております💦
ありがとう🍀
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月10日
分かりやすく「正確さ」と言いましたけど、厳密には1回の時間計測で生ずる誤差が温度との単純な関係式で表せる、というのを証明した感じです📝
今回の関係式を当てはめると、現在の時計が消費するエネルギーを荒くだけど求める事ができる、というのがある程度証拠になってます⌚
お返事くださりありがとうございます✨
— エージ/多部栄次 (@moto0723ino) 2021年5月10日
誤差と生じるエネルギーの関係が式で表せるという認識でよろしいでしょうか(秒の基準というものが存在する上で考慮されているものかと捉えています)
関係式が可逆的であるなら、自分の感覚ではイメージしにくいですね💦
とはいえ、大変面白いと感じてます…!
これは面白い実験ですね。
— 妖光@量産型オキシドール (@6VSH4IAEMg9XYJT) 2021年5月10日
そして解説もわかりやすいです。
質問ですが、「エントロピーは時計の正確さに関わる基本的な制約で合って、時間の流れとは必ずしも関係ない」という内容は、論文のConclusion等にその旨の記述が存在するのか、それとも結果を受けてのりりさんの見解か、どちらですか?
自分ではそのような旨の記述を見つけることができなかったことと、(この実験結果だけから)時間の流れとの関係性にまで言及するのはやや飛躍が大きいという印象を持ったことから、質問させていただきました。
— 妖光@量産型オキシドール (@6VSH4IAEMg9XYJT) 2021年5月10日
ご指摘ありがとうございます‼️
— 彩恵りり (科学系ニュース解説アカウント) (@Science_Release) 2021年5月12日
この論文の解説を書くために、他の論文解説や周辺情報を検索していまして、それを元に書きましたが、今探してみますと、確かにどこに書いていたか、論理の飛躍ではないかとはご指摘の通りかもです💦ごめんなさい😭
ご対応ありがとうございます。
— 妖光@量産型オキシドール (@6VSH4IAEMg9XYJT) 2021年5月12日
一つの解説に対しても多大な労力を割いているものと存じます。これからもりりさんの質の高い記事解説を心待ちにしています。
とりあえず、メモがてら…