最近のネット上における反知性主義の吹き上がり、おそらく21世紀に入ってから表面化してきた「インテリ階層の死」と密接な関係があるのです。
その結果、彼らが「蓋」となって押さえ込んできた魑魅魍魎が…
今回の投稿の発端は以下のTweet
恥ずかしながら知らなかったんですが、かの有名なirisデータセットに関して、著者のロナルド・フィッシャーが優生学に傾倒していたことから、使用を控える流れになってきているんですね。代わりに提案されているのはパルマーペンギンのデータセットだそう🐧。https://t.co/yPtpIBZfwC
— Naoki Maejima (@naoki_maejima) 2022年2月8日
くだらないキャンセルカルチャー🔥も将来的に優生学同様嫌われる可能性があるので、ペンギンのデータがずっと使えることを祈るしかない😂
— 焦げたプリン🍮 (@YakiPulin) 2022年5月13日
平均への回帰もいつかタブーになるな https://t.co/3cm6lN9ywg
前諸事情があってペンギンのデータセット作ったんだけど先見の明があったな https://t.co/pHVR0LdH3n
— 佐々木 雄司 (@YujiSasaki89) 2022年5月13日
ニコラ・テスラも優生思想に被れてたらしいので、電気も使用を控えましょう。 https://t.co/0NCflvyQE6
— ロッキー (@phd_nd_slrymn) 2022年5月13日
「弟子を火炙りにしてた」という理由で三平方の定理が使えなくなる可能性が....? https://t.co/0NCflvyQE6
— ロッキー (@phd_nd_slrymn) 2022年5月13日
あのペンギンのデータは iris の代わりに使えると言う触れ込みで出てきたけど、「iris を使うのをやめようぜ」なんて言われてなかったと思うし、フィッシャーはそもそも関係ないよね https://t.co/AqJk1rmpDL
— みょうが 🇺🇦 (@mrkn) 2022年5月13日
ナチス関連の医師の人命を冠する疾患名も消されてる。アスペルガーとか
— ラ・ラ・ラジオ (@RA_RA_RADIOLOGY) 2022年5月13日
統計分野もそういう流れなのね https://t.co/XtCG3ZdymW
そうそう、だから頻度論全部投げ捨ててベイズをやろう!頻度論の創始者はほとんど優生思想をもってたけど、ベイジアンに優生学者はいないから安心してデータ分析ができる! https://t.co/ay9livjhXr
— Ken McAlinn (@kenmcalinn) 2022年5月13日
冗談でいってるけど、優生思想と頻度主義って深いとこでつながってると思ってるから歴史的にあのようになったのは必然だと思ってる(頻度論者が優生思想者だとは言ってない)。
— Ken McAlinn (@kenmcalinn) 2022年5月13日
実際「19世紀後半、優生主義は産業革命導入を主導した英国ホワイトカラー階層にとって都合良いイデオロギー(日常生活を包括的に説明する形而上学的概念)だった」という分析も。要するにこの時代においてそれは(次第に機能しなくなっていく)貴族主義の一時的代替物の役割を果たしたとも考えられるのです。江戸幕藩体制を放棄した大日本帝国が「華族」なる暫定階層を必要とした様に。
「iris」データを実際に集めたのは,植物分類学者にしてデータアナリストだった Edgar Anderson なので,「Fisher 憎けりゃ iris まで憎い」というのは単なる “誤爆” ですね.Anderson のお友だちの John W. Tukey が化けて出てくるでしょう.ワタクシは iris データ愛用者です. https://t.co/xguPypsS6g
— Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 (@leeswijzer) 2022年5月13日
すでに三中先生 https://t.co/ieg53V50Zv が同様のご指摘(もちろん、私の意図とはまた別の意思表明かもしれません)があったことを知りました。袈裟まで憎いか否かは個人の感覚、選好、思想・信条に委ねられる部分もありそうですが、背景を知った上で使う・使わないの判断もありかと思い直しました。
— Tetsuo Ishikawa (@fronori) 2022年5月13日
「iris」データを実際に集めたのは,植物分類学者にしてデータアナリストだった Edgar Anderson なので,「Fisher 憎けりゃ iris まで憎い」というのは単なる “誤爆” ですね.Anderson のお友だちの John W. Tukey が化けて出てくるでしょう.ワタクシは iris データ愛用者です. https://t.co/xguPypsS6g
— Minaka Nobuhiro 〈みなか食堂〉店主 (@leeswijzer) 2022年5月13日
ソースどこからだか忘れた(いつぞやのTokyoRだった記憶)のですが、フィッシャーの思想ではなくて、irisのデータがその長い歴史から改変や散逸がひどくなったから、というのも理由にあった気がします(irisを使った実験で再現性が取れない問題への対策) https://t.co/yGwIMiCwo9
— Kien Y. Knot🤔 (@0_u0) 2022年5月13日
ランダム化比較実験(RCT)と最尤法はフィッシャーの業績なので、考案者を理由にした排斥運動を行うと、統計学どころか科学が死にますね。 https://t.co/apomKizlib
— uncorrelated (@uncorrelated) 2022年5月13日
最尤法はフィッシャーさんが広めたとは言え、ガウスやラプラスなどの先行者もいるから、ANOVAを捨ててベイズファクターで頑張ればいいのかな?(゚∀゚)
— uncorrelated (@uncorrelated) 2022年5月13日
ピアソンさんも優生学者だから、相関係数も線形回帰もχ二乗検定も使えなくなるのか。さらに指数分布族とか言えなくなる。
— uncorrelated (@uncorrelated) 2022年5月13日
UCLのGaltonは回帰直線とか相関係数とか提案してますが,優生学の研究の課程だったと思います.https://t.co/GED89BcTpX
— はかせ Mk-II (@hshimodaira) 2022年5月13日
それを言い出すと「相関係数」概念の起源からして、色々と…https://t.co/PzIGjwY501
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月13日
これについては、私の提唱している「認識範囲が開いてる/閉じてる」概念自体が「ネオ一向衆」から「くだらない前時代的倫理観念を振りかざすな!! そういうのはもう、20世紀で終わったんだよ!!」と攻撃対象にされているので、ある意味最前線。
そう「統計学的手法によって示される客観的事実」は、何かと「良心が直感的に告げる主観的事実」を裏切るので、常に一部の方々から疎まれ続けているのである!!
そういえば学生時代にフェミニストによる特別講座を受けた時、講師が「AVの9割はレイプです」などと発言していて、本当かよと思って色々調べてみたら100%デタラメだということが判明して、それ以来フェミニストの言うことなんか一切信用しなくなったという経験がある。
— 長谷川 (@hasegaw15328076) 2022年5月11日
「全ての性行為はレイプである」とか、そういうドウォーキン的な話ではなくて、具体的に「巷でレンタルされているAVの9割はレイプ"モノ"です」ということを仰っていたので純然たる嘘つきでしたね。
— 長谷川 (@hasegaw15328076) 2022年5月11日
ドウォーキン的な話ではなかったとは言え、思想のベースにあるのは間違いなくマッキノン=ドウォーキン主義だろうし、今でもフェミ切りの判断は正しかったと痛感している。当時の講師よりも、最近のフェミニストの愚劣さの方が遥かに上回っているので。
— 長谷川 (@hasegaw15328076) 2022年5月12日
そういう方々は「良心が直感的に告げる主観的事実」は、究極的には人類全体で一致する筈なので、その結果は「統計学的手法によって示される客観的事実」より重いと考えます。いわゆる「自然法論」がそれで「人間は天体が宇宙の法則によって運動している様に、普遍的良心がもたらす倫理規範に従って生きている(「天体がある法則に従って運動している」事実と「人間はある法則に従って生きるべきだ」と考える理想論の無邪気な同一視)」と考える古代ギリシャの宇宙論や、逆に「政治の乱れが天変地異を引き起こす(その都度、政変が必要とされると考える)」と考える古代中国の天人相関説などに由来。
- 実際には後者は古代世界において普遍的な考え方であり、旱魃や凶作の都度、時の祭政者が責任を負わされ生贄などに捧げられてきた。かかる歴史を伝承などから再現しようと試みた労作がフレーザー「金枝篇(The Golden Bough,1890年~1936年,全13巻)」となる。
- さらに1956年にはマリヤ・ギンブタス(Marija Gimbutas)が「ロシア・ウクライナ南部に存在した騎馬民族的文化(クルガン文化)がインド・ヨーロッパ祖語の話し手であった」とし、これを考古学的証拠と結びつけた「クルガン仮説=クルガン考古学」を提唱。その拡大過程を純然たる悪意と軍事的侵入によるもの、すなわち「古ヨーロッパの平和な母権制(女性の首長制)」が「侵略者による戦士文化(防御性集落、丘陵上の砦、戦士としての族長墓の出現)の強要」によって侵食されていく過程として描く。
- これらに立脚する形でバーバラ・ウォーカー(Barbara G. Walker)が「失われた女神たちの復権(The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets,1983年)」を発表。「(騎馬民族的家父長制に侵食される以前の)新石器時代原インド・ヨーロッパ人(Pre-Indo-European)の母権社会 (Matriarchy)における地母神信仰」を宗教、神話、文化人類学、スピリチュアリティを統合したネオペイガニズム(Neo-Paganism=復興異教主義)の観点から再現を試みると同時に「人類は家父長制から脱脚し家母長制に回帰すべき」と主張するウルトラ・フェミニズムの大源流の一つとなる。
20世紀においてこの種の考え方に最初に飛びついたのは萩尾望都ら女性漫画家だったのですが、不思議にも体系的に受容して後世に伝えたのは浦沢直樹・勝鹿北星・長崎尚志脚本、浦沢直樹作画「MASTERキートン(1988年~1994年)」や、星野之宣「宗像教授シリーズ(1990年~)」や岩明均「ヒストリエ(2003年~)」パフラゴニア編といった男性作家の作品だったのです。「創作の世界において「異端の正論」設定として活用された」という辺りがミソで、いずれにせよその後のエビデンス追加によって、この考え方の学術的価値はどんどん失われていきます。
こうして「マルクス主義に次いで地母神信仰の援用も受けられなくなった」ウルトラ・フェミニズムの分野がどうして国際的に(家父長制に立脚する)キリスト教原理主義に傾斜する展開を迎えたのか、私は詳しくは知りません。おそらく「残党の中ではマッキノン=ドウォーキン主義が最も優勢であり、党争に勝利して全体を代表する様になった」みたいな展開があったのでしょうが、既にそうした歴史過程そのものを自らが見失ってしまう末期的段階に到達しているのです。
日本は宗教保守的な性嫌悪を内面化してる人が「フェミニスト」を気取ってるのが問題点だなと思う。
— 人間ジェネリク (@DividedSelf_94) 2022年5月12日
あんまり「正しいフェミニズム」という言葉を使うのは嫌いなのだが(様々な派閥があるので)、彼ら/彼女らは本当にフェミニストとして正しくないと思う。
家父長制(パターナリズム)ならぬ家母長制の時代。
— 人間ジェネリク (@DividedSelf_94) 2022年5月12日
「原始、女性は太陽であった」と「家母長制」で押したいならバーバラ・ウォーカーくらい読めと。しかもそれ、日本の作家なら20世紀のうちに通過した道という…https://t.co/6kuMEfvhs7
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月12日
ただし、ガッツリ異教秘儀系だから、キリスト教原理主義との相性は最悪という…かろうじて接点を探すなら「(キュベレー崇拝を大源流とする)マリア信仰」辺り?https://t.co/mtppjAF3J0
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年5月12日
そう「自然法主義」を貫くなら貫くで「イデオロギー(日常生活を包括的に説明する形而上学的概念)」の共有が不可欠であり、それを怠るなら「内面から届く良心の命令」が集団的に一致する筈がないので「(フランス革命からナポレオン戦争の過程でフランス人の1/5を殺し、ベトナム系市民の民族浄化に着手してベトナムの軍事的介入を招いて自滅したクメールルージュがカンボジア人の1/3を殺した様な)地獄の無限党争」が待つばかりなのですが、この集団はもはやそんな事も見失ってしまっているという次第…