とにかく最近はこのお二人がお強い…
今回の投稿の発端は以下のTweet。
少女漫画の由来がまた紛糾してるけど、美術界の圧倒的な西洋被れにも関わらず、昭和の美少女絵の塗りが日本画に寄ってるのは不思議。描き手の予算?
— ヤヤネヒロコ ⚡️ (@chat_le_fou) 2022年9月20日
浮世絵(主線強調)と日本画(フラット)という感じ。
— ヤヤネヒロコ ⚡️ (@chat_le_fou) 2022年9月20日
もしかしたらこの手の話、明治時代以降の文明開化期に海外小説をちゃんと翻訳して読むのではなく、勝手に翻案してどんどん日本人好みに改変してきた歴史と繋がるの?https://t.co/H8Yk8RLIxj
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
かかる伝統、江戸時代の人形浄瑠璃や歌舞伎の認識まで遡ります。なにしろ中国から「朱盗=王墓を荒らし「自来也(私が来た)」と書き残す怪盗団」の話を輸入したら「大蛇の術や蛞蝓の術に蝦蟇の術で対抗する幻術師児雷也」が生まれてしまう国柄…https://t.co/Q91pJCo3kz
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
ところで明治時代以降の翻案小説には「幽霊塔」「白髪鬼」みたいな「精神力による容姿の変貌」に異様な関心を示すという特徴が。「ベルバラ」だって種本シュテファン・ツヴァイク「評伝マリー・アントワネット」に「アントワネット最晩年の肖像画には白髪と見えるもの混ざっていた」なる記述から…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
「一夜にして髪が白髪と化した精神超人マリー・アントワネット」を誕生させてフランス人から逆に「これ誰?」と聞き返される始末。そういえば大正時代から昭和初期にはヴァン・ダインの衒学的推理小説が輸入され、これがまた思わぬ魔改造を受けてこんな有様に。https://t.co/vlHGBQ3v2F
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
このただひたすら衒学的で耽美主義的な華麗な文体が現れた時代と「日本人顔の金髪少女」が現れた時代が重なるのは決して偶然ではなく、背後に「どんな外国要素も日本化して吸収してきた精神超人性」みたいなものがあるのかもしれません。https://t.co/Fq7yxEAei1
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
この辺の耽美小説の、読者が読み進めていくうちに「あれ?この人達どんな容貌の何人だったっけ?もしかしたら金髪碧眼のギリシャ人だったんじゃ?」と困惑していくテクニック、実は「ガルパン」や「ごちウサ」の様な最近の作品にもしっかり継承されているというのを忘れてはいけませんね。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
そう「金髪の日本人顔少女」だけがおかしいのではなく「金髪碧眼のアキレスやイエス=キリスト」も同じくらいおかしいのです。これはそういう次元の話なのでは?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
そもそも「日本人の対白人コンプレックス」とか言い出したら「(もはや日本に定番キャラとして定着した)諸葛孔明の奥さん(三国志現史料の記述に従って金髪や赤髪)」該当者が「旦那様」をズリズリ引回す漫画の流行をどう説明するの? pic.twitter.com/VWbysrQPwr
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
もちろん私は「ローマ支配下に入ったガリア地方では、現地地母神がギリシャ/ローマ神話の男神を婿に取る信仰が現れた」歴史も踏まえてこの発言をしてますが…またもや伝統の「三竦みで全部どうでも良くする」テクニックを使ったんじゃないか疑惑が…https://t.co/xM4pjU37z8
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月20日
ここから推理小説。
ヴァンダインの衒学性からしていわゆる黄金時代の英国推理小説を米国の欧州コンプレックス持ちスノッブ向けに魔改造した際に追加されたような属性で、その勘違いスノッブぶりが受けたのか小栗虫太郎以外にも浜尾四郎などの戦前日本探偵小説には絶大な影響を与えていますね。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
またこうしたヴァンダインのスノビッシュな衒学性は初期エラリー・クイーンに多大な影響を与えつつ、クイーンはヴァンダインでは弱かった解決に結びつける(飛躍ある)ロジックを異常に強化。この遊戯的ロジック性は乱歩や虫太郎のはるか後に平成の日本新本格推理に多大な影響を与えることに……。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
で、戦後坂口安吾が猛否定するという…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
安吾はクリスティ派でしたからね。一方で横溝はディクスン・カーに傾倒し、これまた日本本格推理小説の異常なまでの密室好きにつながったり。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
ここから1980年代前半の音楽について。
1980年代の話になりますが、ある女性漫画家が、一房だけ金色に染めた髪を撫でながら「自分が金髪美少女のキャラになり切って描く為の依代」と紹介してました。この執念、何処かに既視感がと思ってたら、紀貫之が亡くなった自分の娘になり切って書いたとされる「土佐日記」!
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
一部分だけコスプレ…!
— ヤヤネヒロコ ⚡️ (@chat_le_fou) 2022年9月21日
梅図かずお先生みたいに「人間捨てました」みたいな覚悟がないと、まだまだ「いきなり全金髪」は難しい時代だったのです…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
この心理的距離感を理解しないと、当時の女性ファンがデビット・ボウイやデビット・シルヴィアンやへの熱狂は理解出来ない模様(棒読み。ボーイジョージは「別腹」だったらしい)。ビョルン・アンデルセンも負けず劣らず崇拝の対象でしたが「ミッドサマー」であんな事に…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
ボウイ、シルヴィアン、ボーイ・ジョージはそれぞれ登場年代にずれがありつつ、そこへの視線と70年代少女漫画世界と、それらに多々引用されていたパープル、ツェッペリン、クイーンなどのメジャー洋楽ロックの精神的アイドル視には関連はまああるだろうなと。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
私自身は当時で言うとヴィサージ(スティーブン・ストレンジ)やウルトラヴォックス(ミッジ・ユーロがヴィサージから移籍した後期)派だったので、この辺りの流れが微妙に重なったり重ならなかったりという…https://t.co/5ER3Uxwfaw
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
×スティーブン・ストレンジ○スティーヴ・ストレンジ。この人物こそがマルコム・マクラーレンのパンクムーブメントに惹かれてロンドンに上京…https://t.co/7dmfrLfl0h
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
伝説のナイトクラブ「ブリッツ」を開店して英国にクラフトワークとYMOを紹介し「デビット・ボウイ・ナイト」を通じてニューロマなる音楽ジャンルを創設した事をどうやら最近の若者派はあまり知らないという…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
時期的にはニューロマ近辺、先の一連でいえばシルヴィアンとボーイジョージの間くらいの時期ですかね。洋楽アーティストがアーティスティックな雰囲気を持つアイドル的な人気を持て、それが少女漫画文脈にも反映されえたのが大体80年代半ば位までと思いますから、まあまあ後期の時期という感は。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
青池保子の「顔の長い金髪美少年」のオリジンはあくまでビョルン・アンドレセンながら1980年代に入るとニューロマ(特にデビット・シルビアン)が分布範囲を拡張。もちろんツェッペリンやクィーンのファッション面などの影響は受けるのですが…ちなみに私も「ボーイジョージは別腹」の真意はさっぱり。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
あ、私少しだけ分かる気がします。ボーイジョージは美少年&美青年枠ではない処で認識されていた印象があります。ベースが男子なのは間違いないけど、極論するとデビッド・ボウイとディバインの中間にある存在という感覚。※個人の感想です。「美しくて素敵」という取り扱われ方ではなかった気がする。
— おタクの奥さん (@OTA_OKU) 2022年9月21日
ディバインってまさか「ピンク・フラミンゴ」の? ああ、でも言われれてみれば…https://t.co/ULNqXbKxww
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
ボーイジョージ、一応デビュー時は美形枠の扱いで漫画『ストップ!ひばりくん』でもインスパイアされたイラストがありつつ、早々に肥大化してゲテモノ枠への移行を余儀なくされた感は……。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
そのディバインです😅
— おタクの奥さん (@OTA_OKU) 2022年9月21日
今考えるとですが、ロックスターや銀幕の美少年に対する女子ファンの認識はBLGTQでいうとBとGへの思い入れ→BLの系譜に組み込まれてたけど、ボーイジョージは性に関する部分よりTとQの要素が愛好されていたような印象です(その辺は『STOP!ひばりくん』も一緒のような気がする)。
「タルカス」の話。
栗本薫の「翼あるもの/生きながらブルースに葬られ」や「キャバレー」など一連のハードボイルド小説を読むと、もっと音楽方面にズブズブと深く沈み込んでいく感じがしますが、少女漫画方面はそうでもなく、かといってチープトリックやアバにまでは流れない不思議なバランスを維持した印象が。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
栗本薫先生はご自身でもバンドをなさってましたし、グインサーガのイメージアルバムがディープ・パープルやレインボーにインスパイアされた様式美ハードにプログレふりかけたような音楽性になっていたのは先生の嗜好を反映して、と聞いた記憶が。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
女流SF作家ですと大原まり子先生がやはりSF作家でもあるミュージシャン、難波弘之の協力を得てプログレ的な歌入りアルバムを作っていらしたはず。大原まり子先生、作中でもイタリアのプログレバンド、PFMの名を出したりしてましたから、結構マニアックですね。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
グインサーガのイメージアルバムの「ノスフェラス」、原作者自らがELP「タルカス」のイメージで指定したんですね。確かに時代を超えた名曲なんですが、若者に教えると「で、このジャケットのアルマジロ戦車何?」と聞かれ、納得のいく答えを返せないという…https://t.co/7TX6LDzVmM
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
「世界を滅ぼす怪物」みたいな公式説明では絶対納得してくれなくて、それで気付いたのがクィーン「ボヘミアン・ラプソディ」のミュージック・ビデオ公開以降、世界が本当に不可逆的に変わってしまったという事。その意味合いにおいてアレは旧世代の神なのだという事…https://t.co/ZQ1RqVSpl4
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
タルカス、ジョジョにもしれっと名前だけは出ますから……。「イギリス人なら誰でも知るタルカスとブラフォード(こっちはイエス〜キングクリムゾンのドラマーから)の伝説」とかぬけぬけとホラを吹くという。
— SowiloiSowiloi (@reefedgeswim) 2022年9月21日
現場猫「どうして人名になったんですか?」。一方、当時の仲間内ではタルカス「幻魔です」サイオニクス戦士達「やっちまえ‼︎(数の暴力でボコボコにする)」からの「爽やかなエンディングテーマ斉唱」みたいな流れでネタ化されてましたね。https://t.co/i7o6LUVXBB
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
「タルカス」…立体化されていたとは。もはやヘミングウェイ文学における「キリマンジャロ山頂の豹のミイラ」状態?https://t.co/GINKlvwdCo
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
大原まり子(敬称略)というと処女作「一人で歩いていった猫(1980年)」で等身大猫化したヒロインの乳首を探す場面で「これエロいの?」と本気で悩んだ記憶が。完全に映画「バーバレラ(Barbarella,1968年)」の世界で、そこに登場するアンドロイドが「デュランデュラン」の由来…https://t.co/bzPzW1TzPZ
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月21日
そんな感じで以下続報…