「シン仮面ライダー」に登場するシン・ショッカーは「アルカイダ」?
今回の投稿の発端は以下のTweet。
シン・ショッカー。「人類の幸福」を考えた時に最大多数の最大幸福ではなく「より深く絶望している不幸な者こそ優先的に救済されるべき」というテーゼを見いだした結果、殺人淫楽症や弁明の余地なきファシストなどの《悪人》に力が与えられるというのは、実に《現在》である
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
困った事にこのテーゼ、何度か言及している「静的少数者を尊重せよと主張する時、ネクロフィリアやズーフィリアの尊厳は、同性愛者と同様同等に守られるのか」という問題と地続きなんだよなぁ。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
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— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
現実には「他者の権利や尊厳を侵害する事でしか達成できない欲望・願望は無制限には認められない」という線は引けると思うのだけど、それさえ単純ではない。
「人間の屍肉を食べたい奴」と「自分の肉体が死後無為に焼却されるのはもったいないので求める他者に提供したい」という個人間に合意があっても、現状では《死者の肉を喰らう》のは社会通念上、死体損壊その他の法的な罪に問われてしまう。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
ごく個人的は話として、ワシは自分の死後この肉体という《貴重な生態系資源》を、同じく《貴重な生態系資源》である化石燃料を使って焼却するのは無意味なので、飼料や肥料にする方がいいと考えている。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
「最大多数の最大幸福」という一見わかりやすいテーゼは「じゃあ邪魔になる少数の弱者は切り捨てたりパブリックエネミーとして憎まれ役を押しつけたりしましょう」と直結しちゃうのよな。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
その動きを抑止する力としては民主主義の理念は有効だと思う。これまでに何度も言及しているが、民主主義の根本は「同じ社会に生きるすべての市民を、同じ社会の構成員として公平に扱う」という思想であり、それは「自分と仲良しグループ以外の事など知った事ではない」と言わせない強力な拘束力を持つ
— まかるがえし(Makaru.G) (@Makaru_G) 2023年3月23日
20年ほど前、藤岡弘、さんに「現在の世の中はショッカーが望んだような様相を呈してませんか? 藤岡弘、ではなく本郷猛として語って頂きたいのですがどうでしょう?」と企画書を出したら、マネさんが「藤岡が大変気に入りまして」とすぐにOKを出してくれました。
— 囚人番号6 (@F4EJ2Phantom) 2023年3月23日
結局ハビッタト計画も実質的な人類補完計画でしたしね
— ペドロローグ (@soVWseWopyxRVTS) 2023年3月24日
『シャーマンキング』に登場するこの世のすべての魂の集合体グレートスピリッツ
— 津希名魅 (@iurx8AuWPqwHw4I) 2023年3月24日
ここに乱入…
実はシンショッカー観点からすれば「他人に実害を与え合る自由までは許さない」古典的自由主義を掲げる緑川ルリ子=ヒトオーグの考え方や本郷猛=バッタオーグの他愛主義すら「勝っても負けても良い選択肢の一つ」としか映ってない可能性…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月23日
竹宮惠子「地球へ」のスーパーコンピューターも、一応人類側について洗脳を担当しつつ「別に人類(旧人類)が勝ってもミュウ(新人類)が勝手も従うのみ」みたいなスタンスでしたし、ああいう突き放し方をどことなく感じてしまうという…もしかして70年代共通の時代精神みたいなもの?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月23日
「より深く絶望している者こそ優先的に救われるべき」はあくまでショッカーをシステムとし運営を開始した大富豪が用意した「初期値」に過ぎず、自分でも自信が持てないから(かといってそれ以外の結論への到達も見たいくない旧人類なので)さっさと自殺してしまった可能性も…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月23日
そして…
https://t.co/qIwJ81Rjp0
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
この意見は的確なんですよね。
ライダーと政府が協力関係という展開。原典からするともやっとしないでもないが、最低限のリアリティの担保だけでなく、ショッカーと戦い人々を守るのを「単なるバッタオーグの幸福追求」に留めず、パブリックな行為としてつなぎ止める意味もあるのかも知れない。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月24日
まぁ「シンゴジラ」「シンウルトラマン」で構築してきた21世紀的公権力の在り方、コウモリオーグが示した「頑迷な個人主義の限界」を考えると「立花」「滝」がああいう立場の人間として再解釈されるの致し方ないかと。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
あとあえて誤魔化されてますが「シン仮面ライダー」における一般人は「チェンソーマン」みたいに「そのままでは無力な存在→だから悪魔化やオーグ化に受容者も絶えない」みたいな構造になってて(21世紀的リアリティ)20世紀的反権力の理想視がもう不可能になってる気も。 https://t.co/eXKYMOz8mE
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
21世紀的リアリティー…アルカイダみたいな「狂った大富豪が始め、その後世界に遍在する様になって完全討伐が不可能となった究極の反権力」が登場してしまった事も受けての「チェンソーマン」の悪魔システムであり「シン仮面ライダー」におけるショッカー設定とも?https://t.co/8od8wrJ0H7
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
そう、水面下で蠢いているのはベルセルク的怪物の誕生過程、すなわち「一方的に殺される側に留まるよりは、いっその事殺す側に回りたい」なる暗い願望という… pic.twitter.com/dxQUZMA6Jx
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
しかし「脅威」の誕生過程から描くのが「チェンソーマン流」とすれば「シンウルトラマン」に引き続きその観測から排除までを淡々と描くのが「シン仮面ライダー流」というアプローチの違いもあったりして。 pic.twitter.com/gcpwLZliL3
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
そんな感じで以下続報…
そして…
「ショッカーが世界支配を目論んでハチオーグがその任務を担っている」のではなく「ハチオーグ個人が他者を支配したくてショッカーがその後押しをしている」なんだよな。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
だからハチオーグとチョウオーグの目的は最終的には両立しないし、ライダーがいなかったらいずれ衝突していた。
これは「より現代的な悪」の描写だし、怪人が行動の主体になる幹部格という原典初期の描写のリメイクだし、「なんで怪人がやられるとその計画が全部放棄されるの」というツッコミに対する回答でもある。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
怪人たちがどんなに自己実現を果たしてもそこに未来はない、なのにあいつらあんなに楽しそうにしている。
— 淀橋遠道 (@yodobasiend) 2023年3月23日
…っていうのが、私が作品全体に感じている「覚めそうな夢を見ている寂しさ」の大きな要素だと思いますね。
その組織が「持続可能な幸福」を掲げているという矛盾。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
より深い絶望を抱えている者を優先的に救済するという方針だからこそ、未来や我が子、次世代に希望を託せられるような奴はオーグにはならないという筋の通り方。
— 葛西伸哉 ラノベ作家 (@kasai_sinya) 2023年3月23日
どん底の人をオーグメント化して幸せにしても、その過程でとんでもねー数の被害者(新たな不幸)が生じるんじゃねえの?
— 火雛@安倍晋三の功績を (@HibinaKageori) 2023年3月24日
と思ったけど、どん底以外の大抵の不幸なら「多幸感による洗脳」でどうとでもなる。
だからショッカーは生半可の不幸には興味がないのかな?
ショッカーは全人類に適用できる「大きな値のプラス」を求めていて、それを導き出すために「より深い不幸と、その救われ方」を収集しているようですからね。
— スッキリした銀丈 ☽ ニーさん (@guin_geow) 2023年3月24日
ちょっとやそっとの不幸は観測対象として不十分なのでしょう。
おんなじような事してるラストマンのラブ&ピースは、その結果エゴとエゴがぶつかり合い、より強い者が弱い者を喰らう新たな生態系を作ろうとしていたな。
— 九頭龍@5yと3y兄弟育児中 (@kutouryuu479) 2023年3月24日
でも、アイちゃんはDATAさえあれば良さそうだけど、人類皆がチョウに魂抜かれたら目的遂行出来なくない?あっち側の世界でも観測続けるのかな pic.twitter.com/yQXYUL6GRR
ひょっとすると本来の計画ではバッタオーグは「間引き役」だったのかも
— 枝毛上げ (@edageage) 2023年3月24日
他と比べて妙に戦闘力高いし
原作のショッカーよりかなりオーグの権限が大きいですね。
— 岬ほたる (@misakihotar) 2023年3月24日
明確な目標を持った首領の独裁ではなく
上層部は各オーグ間の調整だけしてる感じ。
満たされてない者たちの幸せを叶えるってこと以外は放任主義な感じですよね
— テキーラ (@tkyonmatotaka01) 2023年3月24日
いずれはデルザー軍団化しますよねこのショッカー
— BigHopeClasic (@BigHopeClasic) 2023年3月24日
ここに乱入…
こういう遺伝子アルゴリズム進化要素って実は20世紀時代精神もポテンシャルとしては備えてたけど、当時はハマー怪奇映画(特に70年代ドラキュラ映画)とかJホラーが「勝ち組」だったので…そこを割と序盤にコウモリオーグがあっけなく倒される事で突破するの「その手があったか‼︎」と膝を打ちました。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月23日
あの「吸血鬼が細菌兵器を扱う」発想の大元って恐らく「新ドラキュラ悪魔の儀式」。この作品で「何度死んでも復活させられるので人類を滅ぼす決意をする」クリストファー・リーがSTARWARS出演の際「出来るだけあっけなくバカらしく殺せ」と条件をつけたのを思い出しました。https://t.co/IyDVHfH11z
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月23日
史上最大級のKill Me案件が思わぬ形で割とパーフェクトな形で実現?https://t.co/K9wGntVTXy
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
こんな話も。
仮面ライダーの第2話、蝙蝠男がヴィールスを使って人間を操る話が71年4月放送。
— 出刃 須太郎⋈ (@devastar5800) 2023年3月24日
新ドラキュラの劇場公開(英国)が73年10月だから、蝙蝠男の方が早いのでは。 https://t.co/TJLYFJET2L
そういえば横山光輝「バビル2世(1971年~1973年)」にも第三部で「人間を操る吸血ウィルス」の話が…そもそも1960年代には既にゾンビ物で「隕石に付着した未知のウィルスが死体を動かす」設定が…(ちなみにハマー映画のウィルスはただ人を殺すのみ)。https://t.co/5SKxO8THcH
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2023年3月24日
そんな感じで以下続報…