一方、これまで見聞した範囲ではフローベール の写実小説「ボヴァリー夫人(Madame Bovary,1856年発表,1857年刊行)」とトーマス・ハーディの自然主義小説「ダーバヴィル家のテス(Tess of the d'Urbervilles,1891年)」の女性への不人気が群を抜いてます。どうやら「愚かな女がその愚かさ故に自滅していく様子」を実証主義的=反形而上学的すなわち揺らぎ幅の一切を剥ぎ取られた「習性の連鎖だけで全ての説明がつく昆虫の生態観察」あるいは「(全てが明文化された)プログラムの動作確認」として描き切った辺りが嫌われる原因となった模様。
同様の指摘は「(日本では池田理代子「ベルサイユのばら」原案として名高い)マリー・アントワネット(Marie Antoinette,1932年)」でも耳にしましたが、こちらは「ジョゼフ・フーシェ(Joseph Fouché,1929年)」と合わせて「フランス革命二部作」を為しており、その全体像において彼女は「(フランス革命勃発の原因の重要な一つとなった)欧州貴族の軽薄気周りないロココ気質」の体現者の一人として登場するに過ぎないのです。
今回の投稿の発端はこのTweet
「悪役令嬢」ものというジャンルが確立した今こそ、リアリズム志向のお嬢様バトル作品が登場する下地が整ったと考える。すなわち、20世紀初頭以前のイギリスのお嬢様界隈で実在したバトル「貴族の殿方のムコをゲットし、レディーの称号を得て一生安穏に暮らす」という婿取り合戦である
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
これいろんなイギリス社交界に関する本や記述を読む限り、相当熾烈だったらしいんだよ
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
この婚活バトルが熾烈になった背景として
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
①戦後の女性解放運動以前、女性の就職先は労働者階級を除いて「結婚」しかなかった
②Ladyという英単語は女性全体の尊称と思いきや、イギリスでは厳密な定義のある「限られた女性」の事である
③Ladyの席は有限だった
がある
Ladyとは、伯爵以上の高い爵位の家に生まれた娘か、爵位を持つ男性と結婚した妻のことである。ただ貴族の家に生まれついただけの娘はLadyではないのである。そして、イギリスでは長子相続制のため、爵位と財産は長男のみが引き継げる。要するに、Ladyの席はほぼ爵位を持つ貴族の家の数しかない。
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
んで、産業革命後、裕福になった中産階級に生まれた娘が上流階級へのステップアップを目指して、このバトルに参戦する。やもすれば、労働者階級の女性が飛び込んでくることも稀にあった。ますます椅子取りゲームは熾烈になる。
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
貴族の家に生まれたって、自動的に美女や理知的になれるわけじゃない。このバトルに敗れた貴族の娘はどうなるか……マーヴィン・ピークの「ゴーメンガースト」に出てくるコーラとクラリスのような、家にずーっと住み着いて、他人を呪い続ける妖怪になる…… pic.twitter.com/D1Yd5J0zkx
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
この「実録!仁義なきお嬢様」バトル、世界観がカッチリしていて、「ルール」が定まっているのがバトルものにふさわしいと思うの。要するに、「お嫁に行けない」ようなことをしでかして、知れ渡ると死ぬの
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
・基本的なマナーをトチる→死
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
・家族以外の男性と一瞬でも二人きりになる→死
・親の監視下を外れる、少なくともそれが知れ渡る→死
・エッチする→今更だけどもちろん死
という、現代の婚活よりもはるかにクリフハンガーな状況で、コミュ力を最大限に生かし、金を使ってパーティーを開いたりお呼ばれしたりドレスを作ったり洗ったり、楽しい余興を考えたりしつつ、ライバルを蹴落とす頭脳戦を繰り広げなければならない(ただしそういう陰湿なことをしているとバレたら死)
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
つまり、「登場人物全員、悪役令嬢。純朴な主人公がいない」
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
ハーレムの女性のバトルを描いた作品の場合、ゴールとなる男性が一人なんだよね。しかしお嬢様婚活バトルの場合、貴族令嬢という「能力」を失わせる、脱落させるというバトルで、実は男性がほとんど介在しない。
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
ちなみにルールの一つ「家族以外の男性と一瞬でも二人きりになると死」っていうのは、「ということはエッチしたかもしれない。エッチしたかもしれないという可能性を作った時点でアウト」という意味。なお、この家族以外の男性というのは使用人も含む。
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
だから執事を連れて二人で町へお買い物に出かけたら、死
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
という前提の知識を得てから森薫の「エマ」を読むと、
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
・主人公のウィリアム・ジョーンズは「上層中流階級」であり、上流階級ではない。彼と結婚してもLadyにはなれない
・エレノア・キャンベルは子爵家の娘。生まれついてのLadyではない
ので、キャンベル家の視点からするとエレノアがジョーンズ家に嫁ぐのは滑り止めの大学に受かるようなもので、エレノア自身の人生としても結構崖っぷちなのである。それを一方的に婚約破棄したウィリアムは当時の価値観の上では鬼畜外道
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
エレノアには最後の最後でなんか「間に合わせ」のように男が登場するけど、あの救済措置は当時のお嬢様バトルの実態を知ってると必要だったと思いますね
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
とどのつまり私は、「高慢と偏見」のような(割と最後はハッピーエンドが約束されてる)既存の作品じゃなくて、世界観はお淑やかなのにこのテーマ曲が似合って、やってることはジョジョや嘘喰いという「バトルもの」が見たいのだ https://t.co/Og0xx2Yhp4
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2021年2月14日
リアルに書くよりコミカルなタッチのラブコメのが受けそうですね!
— 松井(無電ゲーアカ) (@DUNGEONATACKER) 2021年2月14日
見えてくると深い物ですね。
— まりん@舞鎮⋈(粒) (@strega_aquariol) 2021年2月14日
日本でもこんな話が。
戦前の警察の捜査法の本を読んでいたら、「処女強請」という言葉が。これは女学生などに偽のラブレターを送り返信があれば、これをネタに「学校や親に言うぞ」と脅して金銭を要求するものらしい。男女交際が厳しい時代の話だが、色んな犯罪があるなぁ。
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
戦前の賭場の手入れのやり方。賭博を行なっている場所には見張りがいる。見張りは子供、子守や老婆のこともあるので注意を怠ってはいけない。この見張りをかわし建物内に突入しないといけないので、場所にもよるが円タクやトラックで乗り付け、一気に襲撃することもある。
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
現場の賭場にある掛け金や駒札などの証拠品はすぐに放棄隠滅される可能性が高いので、襲撃側は逮捕ばかりに集中せず、逮捕係、証拠収集係を決めておく。逃亡するものは絶対いるので、これを捕捉して追跡する係も決めて、あらかじめ逃走ルートに配置する。なるほど、参考になる(なんの?
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
ペーパー師は、偽札を種にする詐欺師。しかし、偽札を使うのではなく、被害者に偽造を持ちかけて機材買い入れなどの資金を出させる詐欺。「こんな偽札が作れます」と言って本物紙幣を見せたり、わざと粗末な偽札を見せて「××の印刷機があれば良くなる」などと思っともらしい技師を装うなどの手口。
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
戦前の警察の本はこういう当時の犯罪事情が載っているので、非常に面白い。戦前の警察ものとかやるときに使おう。
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
そういえば、昔の賭場が行われていたという家屋は、東西南北に出口があって、どの方向からも逃げれるようになっていたり、襖を何枚か開けないといけない部屋があったりと面白い。あういうのは「賭場建築」とか名付けて調べられないものだろうか?
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
違法な「賭場建築」は今も世界中にあるので、そういうドキュメンタリーが見たい!違法な賭場を開帳するために注意せべきことは何か?とか知りたい。いや、単なる興味で!下はサンホセ警察が一斉摘発した違法賭場のニュース。アメリカは何かの店舗のバックルームにあるよね。https://t.co/tRgGClkKBE
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
コネチカットのノーウォークで摘発された違法な「ロイヤル・ポーカー・ルーム」。監視カメラが仕掛けらた廊下の奥まった部屋。Illegal casino bust in Norwalk office https://t.co/e144hfcJh8 @YouTubeより
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
しまった。だんだん変なことツィートして、話が逸れだしている(笑
— 白土晴一 (@manetoke) 2021年2月14日
そんな感じで以下続報…