以下の様に全体像を俯瞰してみると「日露戦争(1904年~1905年)」を「第零次世界大戦」と呼びたくなる人の気持ちが分からないでもありません。これを契機に露仏同盟(1891年~1894年)、英仏協商(1904年)とあわせ、英露協商(1906年)が成立し(第一次世界大戦を戦う)三国協商体制が構築された訳ですから。
ところで…
以下の戦争が第0次世界大戦または第零次世界大戦と呼ばれる場合がある。
浅田進史「開戦100周年における第一次世界大戦研究を振り返る(2017年)」にも「およそ10年前に、日露戦争の世界史的意義を検討するために、それを第0次世界大戦と呼び、軍事技術上の重要性や国際関係上の影響の広がりが議論されたことは記憶に新しい」とある。
いやそれ「紀元前1200年のカタストロフ」の話じゃないですか、やだもう…
今回の投稿の発端は以下のTweet。
まだわからないけど、ロシア軍のようにすさまじく負けていく軍隊と言うのは士気が低いとか戦略が間違っているというレベルではない傾向があるんだよね。
— MASA (@masa_0083) 2022年9月30日
もはや通常の軍組織が維持できなくなって崩壊していく。
現実と理念が乖離するというのは企業でも個人でもあるどそういうレベルではなく、もはや現実と指導が分離していて、弾がないのに攻撃命令が出るとか、食料が送れないのに前線を維持しようとするとか、組織的な行動が実行不可能になるレベルでめちゃくちゃになっていく。
— MASA (@masa_0083) 2022年9月30日
そのうちに軍組織に不満を抱いた最高指導者が直接現場介入したりするんだけど、前線の現状や兵站の状況を把握せずに命令するからさらにめちゃくちゃになっていく。
— MASA (@masa_0083) 2022年9月30日
破滅が破滅を呼び、誰にもどうする事ができない状況に陥っていく。
そしてそういう軍隊というのは、開戦前にはすでに国力の限界に達していて、「このままではじり貧になる」という無茶な政治判断で場当たり的に投入される。
— MASA (@masa_0083) 2022年9月30日
長期的な目標も無く動かされているので、軍人たちでさえどう戦争を動かしていくのかわかっていない。
当然外交方針も場当たりなので外国からは冷たい目で見られるばかり。
— MASA (@masa_0083) 2022年9月30日
全方位が敵になった上に軍も崩壊して、ついには国そのものが粉々になってしまう。
そういう「国家としての末期的フェーズ」の匂いがロシアからはする。
— MASA (@masa_0083) 2022年9月30日
ここに乱入。
日露戦争終結時の帝政ロシアの様ですな。①停戦協定が結ばれて以降も国内の好戦版貴族は戦争を継続すべく増援を送る命令を発効し続けた。②しかしシベリア鉄道の輸送力はあくまで貧弱で、それを極東に送り込む能力がなかった。③そもそも肝心の予備戦力が国内革命鎮圧に総動員され消失していた。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
つまりクロパトキンの当初の計画通り満州進駐が10年続けられたら、シベリア鉄道の輸送能力は大幅に増強し、その間に送り込まれた兵力も数倍となり…その段階で始まった日露戦争は現在のウクライナ戦争みたいに泥沼化して終わる見込みを失っていた可能性が…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
その前に日本の金が尽きて大陸から撤退だよ
— 野澤ヒロアキ (@8c60VPz6sZYqJWb) 2022年9月30日
確か、撤退プランも一応あったでしょ
そもそも当時の日本は「義和団の乱後も満州から撤兵しないロシア進駐部隊」という国際的不正に対して(ボーア戦争泥沼化によって一時的に衰弱した)英国と日英同盟を結んでその代理人として対峙していた事…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
その「英国代理人」大日本帝国が日露戦争で勝利したのを契機にそれまで英国と敵対関係にあった(というよりそれまで「栄光ある孤立」を貫いてきた英国に味方はいなかった)フランスとロシアが仲間に加わって第一次世界大戦の対立構図が準備される事を思うと…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
話は単純に「大日本帝国が大陸から撤退してめでたし、めでたし」で終わってはくれそうにないんですね。例えば最悪の部類では「朝鮮半島まで手中に収めたロシアは(沿海州でやった様に)その原住民を全員中央アジア送りにしたり(中央アジアでやった様に)虐殺したりしてロシア移民と置き換え…」
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
「日本列島のロシア編入も秒読み段階に入った」というシナリオも(何しろこのロシア、極東で好き勝手振舞って何のお灸も据えられないのである!)。こうなると完全に日本がウクライナ(朝鮮半島がクリミア)の立場に…まぁ、そもそもそこまで同盟相手が追い込まれる事を大英帝国が許すとは思えず…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
ここで思い出すべきは、クロパトキンが(英国とのグレートゲームとしての一環としての、敵対部族に対する殲滅戦を含む)中央アジア獲得戦争で名前を上げた軍人だったという事。ただ、それ故にいち早く「大日本帝国がそれまでの敵対原住民のを様に簡単に滅ぼせる相手ではない」と気付いて…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
陸軍大臣時の1903年、同皇帝の勅命により極東視察のため来日、日本では新築後の芝離宮に国賓として滞在した。事実上の偵察であったが、青山練兵場で挙行された観兵式などの歓迎を受けた。日本の軍事力を高く評価、日本との軍事衝突には一貫して反対していたが、日露戦争開戦直前にロシア満州軍総司令官に任命され日本軍と直接対決する事となる。
とはいえ、ロシア軍の任務遂行能力はクロパトキンの想定を遥かに下回っていたのである。このあたり、それまで現代ロシア軍同様「少数精鋭の特殊編成部隊による襲撃」ばかりで功を上げてきた弱点が出たとも。
日本軍の能力を高く評価していたクロパトキンは、日本軍との全面直接対決を極力避けた上でシベリア鉄道の輸送力を活用し、兵力と物資の蓄積を図りつつ、日本軍を北方に吊り上げて補給路が伸びきり疲労が激しくなった所を一挙に殲滅するという作戦を計画した。しかし会戦においては敗北を繰り返し結果的に後退したのみだった。そして後退を繰り返した結果、各兵士の士気低下を招き終始指揮系統が混乱した。またクロパトキン自身も時勢に流されたその場しのぎの作戦指揮を展開したため、日露戦争においてロシア軍が敗北する結果に繋がった。
そして…
それで「10年以上の時間稼ぎ」を計画していた事が今回のこの想定の出発点であるという辺り。そう、まさに日露戦争締結時点においてすら本国の好戦的貴族にとって大日本帝国は「あと一押しであっけなく殲滅可能な脆弱な敵対的原住民」としてしか映ってなかったというエピソードがまるで現在のロシア…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
これまで、それなりに「日露戦争前夜の歴史的研究」に目を通してきましたが、こうやって「ロシア・ウクライナ戦争から浮かび上がってきたロシアの伝統的思考様式」みたいな考え方を反映させると随分と改訂を余儀なくされる事になるでしょうね。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
そう、これは「(もしかしたら歴史のその時点でGame Overだった)日本史」ではなく「中央アジアを巡るグレートゲームではアフガニスタンとインドの墨守に満足した大英帝国が、極東ではどこを境界と定めるか
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
?」「その時、中国進出の機会を虎視眈々と狙うアメリカはどう動くか?」なる世界史観点…
そもそも当時の帝政ロシア、「対等な同盟相手」の筈の大韓帝国を終始「最終的には滅ぼす心積もりだからどんな仕打ちを加えても心が痛まない原住民扱い」しかしてないんですね。 https://t.co/qsX5F1TjlX
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
そして当時のドイツときたら…相変わらず「貴様の血は何色だ?」と糾弾せずにはいられないニヒルなエゴイスト(鬼畜)仕草… https://t.co/bGNSsJCZgI
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
あ、そうか「伊藤博文と井上馨が推進していた日露協商が成立し、かつシベリア鉄道拡充と満州進駐軍増強が成功した後におもむろに大日本帝国を裏切って南下を開始する」シナリオ…この時、日本は(日露戦争当時の様な)英国の「好意的中立を隠れ蓑としての後援」も…https://t.co/wqTGSsBCWs
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
(帝政ロシアへのユダヤ系銀行家の反感を背景とする)米国からの資金援助も受けられず…詰んだな日本民族。おそらく朝鮮半島と一緒くたに「今回のロシア・ウクライナ戦争においてウクライナ側が一瞬で降伏し西側の支援も間に合わなかった場合のシナリオ」に…
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
さらに別の切り口。
色んな人の話を聞いている感じ、「日本が今もアメリカと同盟国なのは、日本の教育では原子爆弾を投下した国がアメリカだと習わないからである」という話が、現代のロシアでは結構信じられているようなんですよね...。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年9月30日
ロシア人に関する話を聞いてると、時々この話を耳にします。個人的にはロシア人に得意げに「原子爆弾を日本に投下したのはアメリカなんだぜ」って教えられたっていうエピソードが印象的。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年9月30日
一般的な人が聞いたら「めちゃくちゃなこと言うな」という認識でロシア人は世界を捉えてるからこそ、今回のプーチンの演説の「アメリカやNATOの属国となったヨーロッパ諸国」といった主張内容は、ロシア人に対しては非常にクリーンヒットな内容だったんじゃないかなと思う。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
同様の主張をしている日本人の親露派の方も多く、このツイートのリプライ欄でも実際に来ています。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
おそらくロシア側の主張をそのまま日本のSNSにシェアしているせいだと思うけど、今まで受けてきた教育を生かしてそれぐらいの情報は、嘘かどうか見分けてほしいところ...。https://t.co/19EPoLFy7q
ここで言いたいのは、ロシア人から見た世界の認識ってかなり事実とずれている可能性が極めて高いということです。彼らがウクライナに侵略する理由もまた、「無知な日本人を日本政府から解放して原爆の投下した国名を教えてあげる」と似たような主張が多々あり、それもロシアでは広く流布されています。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
ロシア内のインターネットは非常に強く制限されていますし、多くのロシア人はお金の問題で諸外国に行くことは叶いません。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
そのため、こういった「日本の教育はアメリカによって支配している」というプロパガンダが平気が罷り通ってしまいます。
小泉先生のツイートですが、やはりそういう方が多いんですね...。https://t.co/42dM2D0qCQ
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
そういえば外務省報道官のザハロワも最近これ言ってるんですよぬ。ザハロワなんか中国語研修だからアジアの事情は一般ロシア人より遥かによく知っている筈だが、それでもこういうことを割と本気で言ったりする。
— 丸の内炒飯OL (@OKB1917) 2022年10月1日
そういう人には、「日本は空母でアメリカを奇襲したことがある唯一の国だ」とドヤ顔で言ってやるのがいいと思います(#^.^#)
— 猫虎--ハンター猫 (@schmidkhdk) 2022年10月1日
リプライ欄の反応を見ていて思ったことですが、「原子爆弾を投下した米国と日本が同盟関係である」ことは全然違和感のない話ではないでしょうか?
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
例えば、ドイツ占領下の間、医者・弁護士・教師の50%が処刑され、さらに国民の16%が虐殺されたポーランドも、現在のドイツとは友好関係です。
国土の半分を爆撃によって焦土化され、日本のような降伏さえも認めてくれず、政府が完全に消滅した扱いにされたドイツも、現在の米国とは親密の関係です。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
またドイツは百万人に及ぶドイツ人をシベリアに抑留し、徹底的に産業の徴収を行ったロシアとも、ウクライナ侵攻前まで深い関係を築いてました。
隣国と一回も戦争しない国なんてありませんし、禍根を残す事件が一つもない国もありません。しかし、遡っていたらキリがないと思います。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
原子爆弾を理由にアメリカとの同盟関係を疑問に思う人が多いですが、それを言えば満州で日本人を殺害し、さらにシベリアに抑留したロシアと仲良くするのも不可能です。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
また、戦後に親日派を徹底的に逮捕・処刑をした台湾(国民党政府)と友好関係を築くのは不可能でしょう。
もしこの理論が正しいなら今回の戦争の結果次第ではアメリカを切らないといけないかもですね
— ゆっくりアルガ(基本週1投稿) (@Aruga_train) 2022年10月1日
そうさせてくれるかは別問題ですけど
今回のウクライナ戦争の結果次第、ってなるでしょうか?
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
米国を切るということは中露側につくと意味していると思うのですが、そのメリットが私には思いつきません。
ウクライナがロシアの侵略に屈したとしても、太平洋における米国の自由主義の力は衰えないと思いますから。
個人的には、独裁主義、全体主義、管理経済、思想統制を行っている中国やロシアと、100年前から殆一貫して自由主義、反共産主義体制の日本がそう簡単に同盟関係になるとは思えません。それこそ日本が中露に武力で脅かされたとしても、日本は彼らから自由を死守すると思います。
— アイザックZ@ゆっくり実況者(23万人) (@Isaac1234Z) 2022年10月1日
この辺りの話の最前線はインド?
ここにも乱入。
そもそもロシア人「日露戦争に負けたから極東進出を諦めた」「すかさず黒幕の大英帝国が(日露戦争におけるロシア側資金源だった)フランスとロシアにたたみかけて同盟を締結。第一次世界大戦における「三国協商」の骨格が定まったという歴史を学ばない? https://t.co/jeHaEDY3wx
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
それでは第一次世界大戦中の認識はどうなっていたかというと①ドイツに対しては宿敵意識を爆発させる②大日本帝国との対立は避けつつ中国における影響力拡大を狙う。という感じだった模様。https://t.co/GzBPfH0xiD
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
日露戦争時の明治政府は、フランスの同盟国家江戸徳川ランドの敵でしたし
— 旧秋芳町地域活性化を考える会 (@minegunsyuhotyo) 2022年9月30日
というか、もう「三国干渉の恨み」が凄い…https://t.co/SAZzmBFVYj
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
遼東半島なんで邪魔したんやろ
— 旧秋芳町地域活性化を考える会 (@minegunsyuhotyo) 2022年9月30日
ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世「ドイツにとってフランスやロシアの目が極東に向かい、勝手に消耗する事が国益だったからです(キッパリ)」。当時の大日本帝国も、まさか(ロシア王室と親族関係にある)こいつが裏で焚き付けた黒幕だったとは気付いてなかった模様。
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年9月30日
そもそもロシア、これまで本当に歴史上一度も「それ以上戦う意味がなくなったし、備える敵が他にいるので同盟相手に選ぶ」なる政治的判断を下した事がない疑惑が…(そういえば中国も?不幸な結果に終わってばかりだけどトルコには一応ある)
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月1日
ここは多分×ロシア○ロシア人、×政治的判断○国民としての受容が正解。絶対王政時代の同盟と対立は王族が勝手に決めるものであって、国民感情なんてほとんど意識される事がなかったが(そうもいってられなくなると立憲君主制や共和制に移行)当時の雰囲気が今も続いてる感じ?
— Yasunori Matsuki (@YazMatsuki) 2022年10月1日
そんな感じで以下続報…