最近知った「ディズニー長編アニメの初期悪役(Early Viran)」なる概念…どいつも基本的に倒し方が存在せず、作品全体に独特の影響力を及ぼす存在として描かれてきました。クリストファー・ノーラン監督映画「ダンケルク(Dunkirk、2017年)」におけるナチス・ドイツ軍の描かれ方にその影響が見て取れるとする説も。
*どちらかというと対象心理学が扱うべき領域だが、当時は人格心理学の全盛期だった為にそうしたアプローチそのものが全面否定されていた。御蔭で観客は「本当に未知の領域からの未知の手段による攻撃」としか認識不可能な展開を迎える。
- 「ファンタジア(Fantasia、1940年)」の一編「魔法使いの弟子」における「自動箒の暴走」。召喚して暴走を引き起こした当人には絶対に止められないとはいえ、師匠ならあっけなく止められる辺りにまだ救済の余地がある?
*マイケル・クライトン描く「(カオス理論に基づく)科学パニック映画」の先駆けとも?
- 「ダンボ(Dumbo、1941年)」における「ピンクの象」。アルコールで酩酊すると現れ、当人の意識を飛ばして何が起こるか分からないパルプンテ状態に陥れる。ダンボはこの体験を通じて自分に飛翔能力がある事を発見。
*ある意味ヒッピーのイニシエーション志向を先取りした内容。ウォルト・ディズニー自身が朝食としてウォッカに浸したドーナツを好んで食べる様なアル中患者だったのでリアルに描けたとも。
- 「バンビ(Bambi、1942年)」における「ヒト」。「試写会までのバージョンには日本人に擬える場面があったが、鑑賞者が揃って「やはり大日本帝国には敵わないのか!!」と戦意を減退させたので削除した」なる真相不明な逸話まで存在する。今日なお歴代悪役ランキングで上位に君臨し続ける。
*ちなみにアメリカのオタクは諫山創「進撃の巨人(Attack on Titan、2009年)もバンビの影響を受けた作品と解釈している。 - 「プーさんと大あらし(1968年)」に登場する「ズオウ(Heffalump)とヒイタチ(Woozles)」。ゾウ(Elephant)とイタチ(Weasel)の聞き間違いから生じ、想像の中で「ハチミツを盗もうとする悪者集団」なる役割を与えらる。
*まぁ「本人の疑心暗鬼が生んだ想像上の存在」だから倒せる筈もない…実際、物語上においても現実の脅威は全く別口から迫ってくる。*これまでの投稿に照らし合わせると以下に該当。
不思議にも「ピノキオ(Pinocchio、1940年)」における「(悪い子を甘やかすだけ甘やかしてロバに変貌させて売る)わくわくランド」はこのグループに分類されない模様。堅苦しいプロテスタント的倫理観念が吹っ切れてないせい?
さらに興味深いのがディズニー長編アニメの初期悪役(Early Viran)なる概念が21世紀に入ってなお、その恐ろしさをずっと保ち続けている辺り。
鮮度を保つ為に幾度もリニューアルを繰り返してきた様な他の悪役とは出来が全く違うのだよ?