秋といえば国際的にキノコの季節ですが…
案外その類別基準は博物学レベルに留まっているのです。
- 紀元前16世紀より(ピタゴラスが健康への効能を説いたのを嚆矢にギリシャ・ローマ時代中心に)多くの文献にその生態や調理方法、健康への効能などが記され(ただし当時そう呼ばれたのは食用きのこテルファス)、14世紀以降のフランスにおいて再脚光を浴びてフランス、北部イタリア、イストリア半島(クロアチア)の伝統的食事に組み込まれ(潰して肉汁に和えて肉料理に掛けたり、牛乳やバターを合わせ野菜に掛けるといったソースとしての使われ方が発達)、美食家ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(Brillat-Savarin)がその著書「美味礼讃(1825年)」の中で「台所のダイヤモンド」と称して媚薬としての効能を賞賛して以降国際的グルメ食材として認知される様になった(黒)トリュフ。日本へのその概念の伝来は遅く1990年代以降「南仏プロヴァンスの12か月(A Year in Provence,1989年)」「南仏プロヴァンスの昼下がり(Encore Provence,1999年)」などで知られる英国人作家ピーター・メイル(Peter Mayle)の南仏プロヴァンスを舞台とするエッセイの翻訳を通じて伝わったとされる。
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16世紀における南欧からのフランスやイギリスの様な西ヨーロッパ寒冷多雨地域メロン栽培導入の副産物として人工栽培が始まった(17世紀中旬に厩肥を熱源とする廃温床に勝手に自生しているのが発見され、菌糸の蔓延した前回栽培時の厩肥に土を被せる畝床法(ridge bed system)が開発され、18世紀以降屋内栽培に移行)マッシュルーム。
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日本、中国、韓国などで食用に栽培される他(特に日本においては伝統的精進料理に欠かせず、食卓に上る機会も多い)ほか、東南アジアの高山帯や、ニュージーランドにも分布する椎茸。日本では江戸時代以降栽培可能となった。
旨み成分がダシともなるため、数あるキノコの中でも知名度、人気ともに高いもののひとつである。
生椎茸は遠火で炙り焼きにしたり、鍋料理、スープ、茶碗蒸し、うどん、巻き寿司などに入れたり、炒め物、天ぷらなどにして食べる。鮮度が落ちやすい食材で、切り口や傘の裏が茶色く変色したものや、開封すると刺激臭のあるものに至っては食さないことが望ましい。日本料理ではしいたけの傘の部分に十字の形や星型の形に包丁で飾り切りがされることがある。
干し椎茸(乾椎茸)はこれを乾燥させた食品で乾燥によって旨み・香り成分が化学的に増す。出汁をとったり、水で戻してから煮物や佃煮にしたりする。もどし汁も出汁として利用される。また、陽に当てて干すことによって、ビタミンD2の含有量も増える。
椎茸のうまみ成分・風味は熱に弱いため、出汁を取る際には冷水に5時間以上漬けておくことが望ましいとされる。また超音波照射が干し椎茸の水戻しに効果がある為、食品加工業者向けには超音波霧化分離技術を利用した加熱の不要なシイタケエキスの抽出装置が開発され、生椎茸栽培の盛んな徳島県内にて2014年に実用化されている。麺類のたれなどの食品のほか、保湿作用や美白作用があり、化粧品にも利用されている。
中国医学では生薬ともした。成長程度の違いから肉厚でかさが開ききっていない(傘の開きがおおよそ七分まで)冬菇(どんこ)と、薄手でかさが開いている香信(こうしん、本来は香蕈と書く)、さらに両者の中間的存在の香菇(こうこ)の区別がある。いずれも中国での呼び方を取り入れたもので、どんこは中国語の発音dōnggūを模している。かさの表面に亀裂の様な模様がひろがっているものは花冬菇(はなどんこ、中国語では花菇)と呼ばれる。この他、スライスしてから乾燥させた製品もある。益気、健脾、健胃、化痰の作用があり、貧血や高血圧に効くとされる。近年は、β-グルカンの免疫強化、抗癌作用の研究も行われている。その他の医療的利用ではシイタケ属から抽出されたAHCCが健康食品として利用されている。代替医療科学研究センターの発行する資料によると、シイタケ菌糸体には免疫抑制細胞を軽減する働きがあり、肝機能保護作用があることも報告されている。またシイタケから発見された特異的に多く含まれる生理活性物質として、エリタデニン、レンチナン等が単離されている。
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マッシュルーム、椎茸に並ぶ世界三大栽培用キノコの一つフクロタケ。中国南部や東南アジアで盛んに栽培され、八宝菜やスープ、あんかけ料理など中華料理の食材によく利用されるほか、タイ料理を代表する辛くて酸味のあるトムヤンクンの具やタイカレーにも利用される。
- イタリア料理、ポーランド料理、中国雲南料理などでその香りが珍重されるポルチーニ茸。人工栽培には成功していない。
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アンズタケやヤマドリタケをピクルスに漬け込むロシアの伝統的キノコ食文化。素人がキノコ狩りに勤しむので、常に毒キノコ食の危険と隣り合わせ。
日本における知名度は一般に低いが、世界中で食用菌として非常に重宝されている。フランスではジロールと呼ばれる亜種が重要な食菌として扱われている。
アンズのような香りとコショウのようなピリッとした味で、鶏卵、カレー、鶏肉、豚肉、仔牛肉などと良く合い、ピザのトッピングやシチュー、マリネ、フライ、クレープの具などに用いられる。伝統的には鹿肉と合わせて食べられる。他にもアンズタケシャーベットなどのデザートにされることも多々ある。
肉質は味にくせがなく、傘・柄とも繊維がしっかりしていて歯ごたえがよい。生から調理してもおいしいが、乾燥させると独特の強い芳香をはなち、うま味も増す。パスタソース、リゾットの具、ソテー、マリネ、オイル漬けなどさまざまなレシピに使える。乾燥品を水でもどすと黄褐色のだしが出るのでこれも料理に利用できるが、味が濃いのでひかえめに使うのがよい。
イタリアでは近縁種たるヤマドリタケモドキ(肉がやわらかく、香りもヤマドリタケには及ばない)と併せポルチーノ(porcino、複数形ポルチーニ)と総称され、アンズタケ、トリュフと並び珍重されている。フランス語ではセップ(cèpe (de Bordeaux))、ドイツ語ではシュタインピルツ(Steinpilz)と総称され、近縁種のヤマドリタケモドキやススケヤマドリタケなどとともに食材として珍重されている。
類似の毒キノコとしてウツロイイグチ(Xanthoconium affine)と、強毒のドクヤマドリ(Boletus venenatus)が発見されている。ドクヤマドリは、美味であるといわれるが、下痢嘔吐などの激しい胃腸障害が長時間にわたって続き、場合によっては脱水症状などで生命の危険に陥る可能性も考えられるので要注意。それ以外のイグチ科でも幾つかの激しい中毒を引き起こす種類の存在が報告されている。ヤマドリタケ同様亜高山性針葉樹林性といわれているが(富士山に特に多いという)、本種と思われるキノコを広葉樹林で見かけたという情報もあるので要注意。なお毒きのこではないが、本種とよく似たニガイグチは苦くて食べられない。
栽培法が確立しておらず、現在でもすべてが天然物である。日本ではイタリア料理の普及とともにイタリア産が早くから輸入されており、イタリアが本場とされている。一方、北海道と青森県の針葉樹林においてその発生が確認されている。
ポーランドではボロヴィック・シュラヘートニィ(Borowik szlachetny)と呼ばれ、これはポーランド語で「シュラフタ(ポーランド貴族)たちのポルチーニ」を意味する。ポルチーニ一般は「ボロヴィック」と総称され、これは「針葉樹の森のキノコ」という意味がある。ヤマドリタケが豊富なポーランドでは昔からこれを採取して伝統的料理にふんだんに使う習慣がある一方、ヨーロッパで広く珍重される為にその採取が森の近くに住む田舎の人々にとって割の良い秋の収入源となっている。
そもそも「類別基準が博物学レベルに留まっている」とはどういう事なのでしょうか。
詳しい話は以下続報…